「東京物語」や「晩春」などで知られる日本を代表する映画監督、小津安二郎監督の戦前の喜劇作品「突貫小僧」のこれまで確認できていなかったシーンを含む、新たなフィルムが見つかりました。
横浜市の「神奈川近代文学館」では、「東京物語」などの作品で知られる小津安二郎監督の生誕120年と没後60年を記念した企画展が開かれています。
5月13日には作品の収集や研究をしている長野県立大学の築山秀夫教授が講演し、戦前の作品のフィルムが新たに見つかったことを明らかにしました。
新たに見つかったのは、昭和4年に公開された喜劇映画「突貫小僧」の家庭用の16ミリフィルムです。30年以上にわたって小津監督のゆかりの品の収集や研究をしている長野県立大学の築山秀夫教授がインターネットオークションに出品されているのをみつけ、「国立映画アーカイブ」で本物と確認されました。
「突貫小僧」は昭和4年に公開された松竹の喜劇映画で、間抜けな人さらいが暴れん坊の小僧をさらったものの、小僧のわがままに困り果てるという物語。元々は38分の作品でしたが、これまでは家庭用に編集された9.5ミリフィルムの短縮版しか確認されていませんでした。
築山教授によりますと、今回見つかったのは9.5ミリフィルムのものとは別に、20分39秒に編集された16ミリフィルムで、より画質が鮮明な上、これまでカットされていて確認できなかったシーンも含まれているということです。
築山秀夫 教授
生誕120年、没後60年の節目にこの作品を観ることができて感無量です。
これまでに観たことがなかったシーンがたくさんあって、現存している9.5ミリのものでは、間のつなぎがなんでこうなるのかなと不可解なところがあったのですが、その謎が解けました。新しい小津監督の作品を見たような気持ちで、本当にすごい発見だと思います。
できる限りたくさんの小津ファンに観ていただきたいというのが一番の願いで、国内だけでなく、世界中にたくさんいる小津ファンいち早く見ていただきたいです。
作品は松竹の協力でデジタル化され、ことし秋に都内で公開される予定です。