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神奈川県横浜市の科学館に、ギネス世界記録に認定された、“世界最多の星を投影できる”プラネタリウムがあります。
7億超の星の輝きをご紹介します!
取材:越田穂香キャスター
神奈川県横浜市にある「はまぎん こども宇宙科学館」のプラネタリウムが、 “少なくとも7億個の星を投影できる”と、ことし2月ギネス世界記録に認定されました!
プラネタリウム鑑賞後のインタビュー
昔より星空がすごくきれいになっていて、大人の方が楽しんでしまいました。
子どもたちも「きれい!」と言っていたので、連れてきてよかったなと思います。
本当の星空と見間違えるぐらいのきれいさが、この機械(投影機)にあるのかなと思いました。
星を映し出しているのは、去年12月に導入された投影機「MEGASTAR-ⅡA」(メガスターツーエー)です。
明るい1等星から肉眼では見えない20等星まで、およそ12億個の星を投影することができます。
なぜ「12億個」ではなく、「少なくとも7億個」として認定されたのか・・・
肉眼では見られない微細な星まで再現されていたためです。
「はまぎん こども宇宙科学館」プラネタリウム解説員
一番暗い星を見つけること、確認することそのものが難しかったです。
そこで、プラネタリウム内で撮った写真をもとに、一番暗い星がどういう風に映っているかを確認しました。
その後の天文学者の先生方が新しい計算式を作るところでも色々と苦労があって...
ようやく計算結果として出たのが「少なくとも7億個」という数字でした。
およそ2ヶ月にわたって検証が行われ、2月8日、
「プラネタリウム投影機により投影された星の最多数(ワンオフ)は、少なくとも7億個である」とギネス世界記録に認定されました。
※ワンオフ:特注品等の意味
投影機を開発したのは、横浜市にあるプラネタリウムメーカー「大平技研」です。
代表の大平貴之さん(おおひら・たかゆき)は世界屈指のプラネタリウム開発者です。
小学生のときにプラネタリウムを作り始め、 高校・大学時代には本格的な投影機を個人で作り上げました。
最初プラネタリウムを作ろうと思った時は、人間がコントロールできない夜空を自由に操れるという夢やロマンがあって、わくわくして。
いかにきれいなものを作ってみんなをびっくりさせるか、そんな面白さがありました。
投影機の本体には、ドーム全体に星を映し出せるよう32個のレンズがついています。
そして、レンズのさらに中には「恒星原板」という小さな穴が開いた薄い板が入っています。
《 星が映し出される仕組み》
真ん中のライト(電球)の光→恒星原板の穴を通る→レンズを通る→スクリーンに星が映る
最新の恒星原板「GIGAMASK」(ギガマスク)です。
直径5cm程度のガラスで、片面に薄い金属の膜がコーティングされています。
実はここに、小さな穴がたくさん開いているんです!
光を当ててみると・・・
一番小さな穴だと180ナノメートル。(1ナノメートルは、100万分の1ミリメートル)
この天の川のきらめきは、なんと、およそ3億個の小さな穴で表現されています!
「本当の星空を見ているように感じて欲しい」と、去年6月に発表された宇宙望遠鏡の最新の観測データをもとに、星の位置や明るさなども忠実に再現しています。
夜空には明るい星は数が少なくて、暗い星は数が多いんです。
より細かい星や暗い星を表現するために、これまでより小さな穴を正確に開けることが大変で、工夫したところでもあります。
恒星原板の微細な穴は、CDやBD(ブルーレイディスク)などに使われている「光ディスク」の技術を応用しています。大平さんが以前勤めていた会社との共同開発です。
世界一のものを、昔の上司と一緒に作れて嬉しかったです!
小さな穴を正確に開けることで、より細かい星や暗い星を表現することができ、 本当の星空のような「奥行き」を感じることができるようになったといいます。
プラネタリウムから投影された星空で、見え方を比較してみました。
上の四角が最新、下が従来の星空です。
最新(上)の星空は、隙間がないほど細かい星で表現されています。
投影機の進化により、表現の幅が大幅に広がりました。
プラネタリウムは星空を疑似体験できるものですが、こんなにたくさんの星があって、その中の一つに住んでいるということを小さい子どもの時に実感できると、もっと違ったスケールで物事を考えられる人が育つような気がします。
開発者の大平さん、解説員の甲谷さんにプラネタリウムを楽しむコツを伺いました。
投影機の開発者 大平貴之さん
プラネタリウムの中で20~30分ほど目を慣らしていくと、どんどん暗い星が見えてきて「宇宙の広さ」を感じられます。
双眼鏡を持ち込んでみると、肉眼では見えない星が見えて面白いと思います!
プラネタリウム解説員 甲谷保和さん
プラネタリウムでは、主役は星空です。
まずは星空をメインに楽しんで欲しいです。
そこから発展して、機械が好きな人は投影機の近くで動きを楽しんだり、 解説員に興味がある人は解説台の近くで解説員の操作を見たりと、 それぞれの好きな世界を楽しんでもらいたいと思います。
プラネタリウムの詳しい情報は、
「はまぎん こども宇宙科学館」のHPでご確認ください!