横浜市内の相鉄線の駅で積極的な一声がきっかけで特殊詐欺の被害を未然に防いだ女性がいます。そのひと言とは?あなたの勇気ある一声が詐欺の被害を防ぐかもしれません。
NHK横浜放送局の神奈川県警担当の記者が、特殊詐欺の被害を防いだ実際のケースや被害防止のさまざまな取り組みを「かながわ情報羅針盤」で随時お伝えしていきます!
横浜市にある瀬谷警察署の濱井署長から感謝状を贈られたのは石川満千子さんです。
オレオレ詐欺の被害を未然に防ぎました。
どのようにして詐欺を防ぐことができたのかを取材すると、それはひと言の声かけがきっかけでした。
ことし1月、仕事帰りに相鉄線の瀬谷駅の売店で買い物をしていたところ、高齢の女性が電話番号が書かれた紙を手にして困った様子で店員に何かを尋ねていました。
それを見た石川さんは女性に声をかけました。
2人のやりとりです。
「どうされましたか」
「この電話番号に電話したいんだけど、電話がつながらない」
そこで、石川さんは、駅の公衆電話を使って、紙に書かれた電話番号に何度もかけましたが、つながりませんでした。
そのため、女性にこう尋ねました。
「電話をかけたいのは誰ですか?」
「息子に電話をかけたい」
石川さんは、「自分の息子に連絡するのにわざわざ駅まで来て、公衆電話を使うのはおかしい・・・」と不審に思いました
機転を利かせて、こう伝えました。
「近くに交番があるから電話を借りに行きましょう」
石川さんが女性とともに駅近くの交番に行き、警察が女性から経緯を聞きとりました。
すると、女性の自宅に息子を名乗る男から「妊娠させてしまったのでお金を用意してほしい」という、うその電話があったことが判明しました。
電話を信じてしまった女性は多額の現金を用意して駅まで来ていたのです。
ぎりぎりのところで被害を免れることができました。
オレオレ詐欺の被害を未然に防いだことに対して
こんな特殊詐欺が身近にあるんだなと思ってドキッとしました。
困っていた姿を見て声をかけて本当によかったと思う。
もし、駅や金融機関、コンビニのATMなどで困っている高齢者がいたら声をかけてみてください。その勇気ある一言で詐欺を防げるかもしれません。
県警によりますと、1月の被害件数は143件で、被害額は1億8700万円となっています。
2月の被害件数は182件で、被害額は3億7600万円となっています。
ことしの1月と比べると39件増えていて、被害額も1億7300万円増加しています。
手口別で見ていくと最も多かったのは、▼息子や孫などを装ってうその電話をかける「オレオレ詐欺」でした。
次いで、▼医療費や保険料などの還付があるといってATMを操作させてだまし取る「還付金詐欺」でした。
「オレオレ詐欺」と「還付金詐欺」の2つを合わせると、全体の69%を占めています。
その次に、▼身に覚えない料金を請求してくる「架空料金請求詐欺」でした。
神奈川県内の過去5年の被害の状況です。
去年(2022年)は、2089件、43億円余りの被害でした。
依然として深刻な状況が続いてます。