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元横浜DeNA 石川雄洋 プロ野球からアメフトへ 2年目の挑戦

  • 2022年12月28日

横浜DeNAベイスターズで3年間キャプテンを務めた石川雄洋選手は、去年(2021年)のプロ野球引退後、日本のアメリカンフットボールのトップリーグ(Xリーグ)でアメフトに挑戦しています。昨シーズンは経験が少ないながらも、公式戦でパスキャッチを記録し大きなインパクトを残しました。今シーズンの挑戦はどうだったのでしょうか?

石川雄洋(いしかわ・たけひろ)
平成17年に横浜高校からドラフト6巡目で当時の横浜ベイスターズに入団。その後、DeNAでは初代キャプテンも務める。プロ野球選手としての16年間、横浜一筋でプレー。2019年には通算1000本安打も達成。2021年3月にプロ野球を引退し、その約2か月後の2021年5月11日にアメリカンフットボールチーム「ノジマ相模原ライズ」への入団を発表、挑戦を続けている。

アメリカンフットボール
様々な戦術を駆使し、ボールを敵陣のゴールラインまで進める、いわば陣取り合戦のスポーツ。石川選手はワイドレシーバー。司令塔であるクォーターバックが投げるパスを、敵をかわしたり、コンタクトしたりしながらキャッチし、ボールを前に進めるポジション。

シーズン開幕前、成長を重ねる姿に期待

シーズンの開幕直前、昨シーズンに続き公式戦のメンバー登録枠を勝ち取った石川選手は、昨シーズンから体重が7キロ増えて85キロになり、アメリカンフットボール選手としての体作りが着実に進んでいました。すべてが初めてだった一年前との違いなどを語ってくれました。

去年は、右も左もわからない中で、すべてが初めての体験だらけ。焦りとか、緊張を感じることがなく、あっという間に過ぎていきました。でも今は一度経験できたことが大きくて、流れがわかるようになり、考えてプレーできるようになっています。
また、去年はメディアなどが見に来ている中、パスを一つ捕ったことによって、あいつもアスリートだなって思ってもらえました。それはいいことだけど、試合に出たことで、よりしっかりやらないといけないという怖さもあります。自分がメンバーに選ばれることで、選ばれない選手が出てくる。その選手の分も頑張らないといけないと思いますし、選んでもらうことへの責任とプレッシャーを去年よりも感じます。
まだまだ課題もあるけど、できたときはすごい嬉しいし、できないとすごい悔しい。僕の場合は、経験が少ない分、経験していけばどんどん伸びると思っています。少しでも僕が伸びればチームの力の伸びになる。力になりたい、とにかくうまくなりたい気持ちです。

なかなか活躍できない現実

飛躍を誓い臨んだ今シーズン。しかし、石川選手に与えられたプレー時間はわずかでした。出場してもパスのターゲットになれず、キャッチを記録できませんでした。

そんな中、チームはリーグ戦を突破し、プレーオフ出場を決めます。プレーオフ初戦となった11月20日の準々決勝、会場はなんと横浜スタジアムでした。プロ野球引退後、初となる横浜スタジアムでプレーをする機会がやってきました。

「もっと試合に出たかった」

試合当日はあいにくの天候にも関わらず、スタンドにはベイスターズのユニフォームやグッズをまとったファンの姿もありました。しかし、凱旋試合でも石川選手の出場は1プレーにとどまり、ファンに活躍する姿を見せられませんでした。チームは惜しくも敗戦、石川選手の2シーズン目が終わりました。試合終了直後、石川選手からは悔しさがにじみ出ていました。

やっぱり試合にもっとでたかったな…やっぱ普通に試合にでたいよね...

---ハマスタへの凱旋については?

やっぱり以前働いていた職場なんで。そこで違うスポーツで、このグラウンドに立てるっていう事は、本当に幸せなことでしたし、僕を受け入れてくれたノジマ相模原ライズのチームの人たちにも感謝しています。試合に出れられなかったですけど、やっぱり、本当に自分の努力で試合にでられるように、また努力していきたいなとすごく思います。

---スタジアムにはベイスターズのレインコートやグッズを持った方々もいました

そうですね。ちらほら見えてました。声もかけて頂いたので。野球を引退してからアメフトを始めて、今もまだ応援してくださった方々がいるっていうのはすごく幸せなことです。

来シーズンも挑戦を続ける

公式戦終了から約1か月たった12月、石川選手に改めて今シーズンを振り返ってもらい、今後の目標を聞きました。

---今シーズンはどんなシーズンだった?

去年より技術的に成長している実感は間違いなくあって、体のサイズも大きくなっているし、スピードも落ちていないです。ただ、試合にあまり出場できなかったことは確かで、技術的なところの課題もそうですが、戦術のコンセプトだとか、ディフェンスの動きだとか、そういったところの競技への理解がもっと必要だと感じています。
それでも、成長している実感がやっぱりあるので、楽しい反面、ミスしたくないなっていう気持ちが出てくるんです。僕は試合でのプレー数が多くないので。逆にそういう気持ちが出てきていることが、アメフト選手になってきてるんだなと思います。

---来シーズンの目標は?

まずは試合に出ることですが、やっぱりタッチダウンをしたいです。そのためには自分が何をすべきかを考えて地道に取り組んで結果を出していくしかないですね。そして自分を受け入れてくれたチームに対して、貢献することで恩返しをしたいです。チャンスは多くないかもしれないけれど、僕もプロで16年やってきたので、その少ないチャンスでキャッチをしたり、その時に決める、その集中力は誰にも負けない強みだと思っています。

いつから挑戦しても遅くはない
取材を続けるなかで石川選手が何度か口にする、印象に残った言葉です。

僕は年を重ねてからアメフトをやっていますけど、これが、もっと若かったらもっとチャンスもあるかもしれないわけだし、いつから挑戦しても遅くはない。そういったチャレンジすることを子どもや子どもじゃなくてもいろんな人に見てもらい、何かを始めようとしている人たちに少しでも背中を押せていればいいなとも思います。

石川選手は、今シーズンの悔しさを糧に来シーズンを見据えてトレーニングを続けています。2023年、さらなる飛躍をしてタッチダウンをとる石川選手の姿に期待したいと思います。

  • 髙見彰良

    NHK横浜放送局 経営管理企画センター

    髙見彰良

    2014年入局。2020年から横浜放送局勤務。2021年5月からはデジタルを中心に地域の課題や魅力を発信している

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