イノシシで2人けが やりで駆除されジビエに

イオンにイノシシ、高齢者がけが

この日秦野市の中心市街地では、朝からイノシシの目撃情報が相次ぎました。
市によりますと、最初に目撃通報があったのは午前9時ごろ。
市内の水無川にかかる平和橋でした。
そこからイノシシは南東方角に向かったとみられ、桜土手古墳公園や本町中学校で目撃情報が寄せられました。

午前10時ごろ、「イオン秦野店」の出入り口付近で、80代の女性に突進。
女性はよけようとした際に転倒し、頭に軽いけがをしました。

同じ頃、およそ200メートル西の曽屋の路上でも、30代の男性がイノシシに体当たりされて左足に軽いけがをしました。

小学校の校庭に侵入

その後、イノシシは末広小学校の校庭に侵入。
当時屋外で活動している児童はおらず、けが人はいませんでした。
通報を受け、警察官や市の職員が駆け付けました。

秦野市農業振興課の岩田雅弘課長代理は、同僚と2人で末広小学校に駆けつけました。
校庭にあったイノシシの足跡を追っていくと、隅の方で歩いているのが見つかりました。
まず電気が流れる器具を使ってしびれされようとしましたが、実際に近づいてみると、興奮状態のイノシシが岩田さんに向かってきて、パンと突き返されてしまったといいます。

市の職員が“やり”で駆除

岩田さんは、「剣なた」と呼ばれるやりのような刃物に持ち替えました。
突進してくるイノシシと睨み合いながら、慎重に刃物を繰り出しました。
何度も跳ね返されましたが、動きが鈍ったところを仕留めることができました。

イノシシはジビエに

市によりますと、駆除されたイノシシは体長1メートル60センチ余り、体重88キロのオスでした。
市は去年から、里山に設置した罠にかかったシカやイノシシについて、「秦野産ジビエ」として商品化しています。

今回駆除されたイノシシも、市内の飲食店でジビエとして提供されるということです。
今の時期は脂がのっていて、食べごろだということです。

なぜ市街地に出没？

現場は小田急小田原線の秦野駅から1キロほどの、秦野市中心部です。
岩田さんによりますと、イノシシは夜から朝方にかけて動き回る傾向があり、日中から人前に出てくることは珍しいといいます。
昼間に市街地に現れた理由について、岩田さんに聞きました。

イノシシに出会ってしまったら

イノシシは本来人を避ける生き物です。
岩田さんは、「もし目撃したら距離をとって、近づかないように。目をそらさず、後ずさりしながら離れるようにしてほしい」と話していました。