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東京 大田区 横断歩道あるのに車が一時停止しない どんな通学路?

通学路のあんぜんウイーク(1)
  • 2023年3月20日

新入学、進級の春が近づいてきました。
NHKではこの1週間を「通学路のあんぜんウイーク」として、お伝えします。

おととし、千葉県八街市で児童5人が死傷した痛ましい事故のあと、NHKでは特設サイト「その通学路、安全ですか」を立ち上げ、寄せられた投稿をもとに取材を続けてきました。
今週は、これまでにいただいた投稿をもとに各地の通学路を見ていきます。

第一回は東京・大田区からです。
「横断歩道で子どもが待っていても車にスルーされてしまう」という投稿が寄せられたため、どのような通学路なのか、現場を取材しました。

車が一時停止をしない横断歩道とは

投稿を受けて向かったのは大田区中央の通学路。信号機のない横断歩道です。

投稿してくれた菊池由佳里さんです。

辻智史記者

横断歩道でもなかなか車が止まらないという。

菊池さん

そうなんです。ここに(人が)止まっていても、やっぱスピードが出ている車が多かったりして結構止まらなかったり、危険な場面を結構見てきました。

通学のとき、この横断歩道を利用する小学3年生の息子、太郎くんは…。

辻智史記者

横断歩道のところで待っていると、車は止まってくれる?

太郎くん
小学3年

止まってくれる車と、止まってくれない車がある。止まってほしい。

現場で取材してみると、横断歩道の前で足を止める子どもたちは、車が通りすぎるのを待って渡ります。

続いて、画面の右側から渡ろうとする子どもがいますが、止まりません

この横断歩道は、太郎くんに加え、4月からは小学生になる妹も利用して通学するため心配しています。
 

どうして車が止まらない?

車が止まらないのはなぜか、近くに住む人に聞いてみました。

近所の住民

裏道で抜け道になってまして、目測ですけど、60(キロ)とか70(キロ)で結構入ってくる方も、いますので。

実はこの通学路、おととし千葉県八街市で起きた事故のあとに行われた全国一斉の点検で危険性が指摘されていました。

それを受けて大田区や警察はスピードを落とすよう呼びかける幕を電柱に設置したり、横断歩道の白線を塗り直したりしてきました。
しかし、依然として止まらない車が多いのです。

菊池さん
「通学路であることも知ってほしいし、人が止まっていたら止まってほしい。みんなに気をつけてほしいです」

横断歩道の一時停止率 東京約27% “なぜ低いのか”

横断歩道を渡ろうとする人がいるとき、車が止まらなければ「横断歩行者妨害」になります。違反点数は2点、反則金は普通車で9000円となっています。

しかし、止まらない車が多いのが現状です。
横断歩道の一時停止率をJAFが去年調査したデータがこちらです。
東京は27.3%と全国平均の39.8%を大きく下回っています。
千葉27.2%、神奈川34.3%、埼玉34.5%も下回っています。

なぜ、これだけ多くの人が止まらないのか。
理由について6年前にJAFが行ったアンケート調査の結果です。

▼ 自分が止まっても対向車が停止せず危ないから(約45%)
▼ 後ろから車が来ておらず自分が通り過ぎれば渡れると思うから(約41%)
などとなっています。

こうした意識を変えてもらおうと、今、警察は取り締まりなどに力を入れています。

警視庁 “危険な横断歩道 洗い出し 取り締まり等”

周英煥記者

こちら、小学校のすぐ近くにあり子どもたちも多く利用する道路です。ただ横断歩道の近くには信号機がなく、そのまま通り過ぎてしまう車も少なくありません。

去年、歩行者がはねられる事故があった三鷹市の横断歩道で先週、取り締まりが行われました。

警視庁は、都内の危険な横断歩道などを洗い出し、見守りや取締りを行うとともにドライバーに注意を呼びかけています。

三鷹警察署 中村角栄 交通課長
「横断歩道付近の事故に関して、特に子どもは、非常に大きな事故につながることがありますので、十分気をつけていただきたいと思います」

こうした取り締まりのほか、啓発活動などさまざまな取り組みの効果が表れつつあります。

横断歩道の一時停止率、全国の推移です。
2018年までは10%以下でしたが、その後、上昇し、2021年は約30%、去年は約40%まで増えました。こうしたデータから、ドライバーひとりひとりの意識次第で今後、横断歩道をより安全にしていくことができるのではないかと感じました。

  • 辻 智史

    首都圏局 記者

    辻 智史

    2022年入局 都内の通学路などを取材

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