首都圏ネットワーク

  • 2023年3月7日

東京 賃貸マンションの家賃も高い “統計開始以降 最高額も”

不動産のリアル(6)
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「マンションの価格が上がっているので賃貸物件を探しています」 
東京では、新築マンションだけでなく、中古マンションも価格が高騰している実態をお伝えしたところ、このような投稿が寄せられました。この投稿者に連絡をとってみると、賃貸マンションも家賃が高くて見つからないとのこと。 
なにが起きているのか、実際に調べてみました。 
(首都圏局/不動産のリアル取材班 記者 牧野慎太朗)

私たちは高騰し続ける首都圏の不動産のリアルを取材しています。 
みなさんからの情報や意見をこちらまでお寄せください。

賃貸も高いです…

取材のきっかけとなった投稿を寄せてくれたのは30代の女性です。その内容は以下のようなものでした。

30代女性 
「今は都内の社宅に住んでいますが、マンション価格が上がっているので、とりあえず賃貸かなと賃貸物件を探しています。 
ただ、不動産業者に行って『60平米以上、築30年以内、家賃25万円まで』と条件を提示すると、都内では“区内で数件”のレベルでしかヒットしません。自分達が望むような物件に出逢えるかどうか本当に心配です」

私たちは、先日、東京23区では新築マンションだけでなく、中古マンションも値上がりが続き、なかなか手が届きにくくなっている実態をお伝えしました。

共働きでも・・・予算が通用しない

この女性がいうには、分譲マンションだけでなく、賃貸マンションの家賃も上がっているとのことでした。 
実際にオンラインで話を伺ってみました。

女性は40代の夫と5歳と2歳の子どもの4人暮らし。世帯年収は1300万円ほどです。いまは東京・港区にある夫の会社の社宅に住んでいますが、娘が小学校に入学する前に新たな住まい探しを始めているといいます。 
夫婦は当初、分譲マンションを考えたそうです。ただ、価格が高騰しているうえに、転勤の可能性もあるため、購入は見送りました。そこで、23区で上記のような条件(60平米以上、築30年以内、家賃25万円まで)で賃貸マンションを探し始めたといいますが、それに見合う物件はほとんどなかったといいます。

夫婦 
「予算内だと築50年とかになってしまって、地震のリスクを考えると踏み切れませんでした。広さも家族で住むには狭かったり、治安が心配だったりで住みたいと思えるところは見つかりませんでした。共働きで、そんなにぜいたくな暮らしをしているわけではないのですが、“捻出した予算がこんなにも通用しないのか”という衝撃がすごくて。一定の広さと家族4人で寝られる部屋があればいいなと決して高望みをしている自覚はないのですが、やはりとても難しいですよね」

分譲だけでなく賃貸も高騰?

実際に東京23区の賃貸マンションの家賃の推移を調べてみて驚きました。 
全国の賃貸マンションやアパートの家賃動向を調べている「アットホーム」によると、東京23区では、軒並み家賃の平均価格が上昇し続けていました。以下がその一覧です。

広さが30㎡以上の物件は統計を取り始めた2015年以降、最も高くなっていました。 
特にファミリー向きの物件は、2015年当時16万2762円だったのが、ことしは20万5923円と、25%以上も高くなっていたのです。

なぜ家賃も高騰?

それでは、なぜ賃貸マンションの家賃がこれほど値上がりしているのでしょうか。 
その理由を「アットホーム」の担当者に聞いてみると、「分譲マンションの高騰と関係しています」という答えが返ってきました。

アットホーム 磐前淳子 チーフアナリスト 
「新築マンションの高騰に伴って中古マンションの価格も上がり、平均的な収入の世帯には購入が難しくなっています。そのため、住宅の購入を見送った人たちの受け皿として賃貸マンション、特にファミリー向きの物件に注目が集まっています。また、金利の動向も不透明で物価高もあるので、もうしばらく賃貸に住んで様子を見ようという人も多いためです。そこで、本来は築年数に応じて家賃を下げていく貸主たちも、いまは家賃を下げなくてもいい、場合によっては少し値上げしても入居者が決まる状況になっていて、全体の家賃平均が上がっているんです」

都内への通勤圏を探したものの…

投稿を寄せてくれた夫婦は、予算を超えてしまう東京23区以外にも、妻の実家があり、今、人気の千葉県流山市や船橋市なども検討してきました。ただ、家賃は少し割安になるものの、これまでより交通費や子どもの保育料など、家賃以外の出費が増えることになります。また夫婦はともに都内に職場があるため、子育てをしながら現在より2倍以上の時間をかけて通勤することを考えると、家賃が割安だからという理由だけでは決められなかったといいます。

夫婦 
「都内に近いエリアとはいえ、フルタイムで働き続けるとなると、保育園のお迎え時間も遅くなったり、朝も早くなったりして、子どもにかかる負担も増えますし、自分の体力的にもきついなと。そうなるとやっぱり都内の方がいいのかなと思ってしまいました。もう少し家賃に予算を割ければいいのですが、物価も上がっているし、春には電気代も上がるし、子どもの教育費もかかってきて、コストがかかることしか見えてこないので、なかなか家賃に充てられる予算を広げるのは難しいです」

都内に通勤圏内の神奈川、埼玉、千葉の賃貸物件もいずれも高くなっています。 
70㎡以上のファミリー向けの物件は、いずれも2015年と比べて20%以上も値上がりしています。 
磐前チーフアナリストによると「東京23区の家賃の高さから外側に目を向ける人たちは増えています。都心にアクセスのよいエリア、さいたま市や柏、流山などは特に人気が高く、それが家賃の値上がりにつながっています」ということでした。 
これに加えて、この夫婦がいうように、地方は、財政力がある東京の自治体と比べれば医療費、保育料、教育費などへの補助は手厚いとはいえないことも、都心に人が集中する背景になっているようです。

住みたいところに住めない…何を優先するか

都心だけでなく、通勤圏内まで値上がりを続けるマンションの市場。どうすればいいのでしょうか。 
あらためて磐前チーフアナリストに伺うと、「譲れない条件の整理が必要です」ということでした。

アットホーム 磐前淳子チーフアナリスト 
「家族全体で何を優先されるのかは、いま特によく考える必要があると思います。通勤通学時間を短くすることを優先し都心を選ぶのか、子育て環境を優先するために自然が多いエリアを選ぶのか、自分たちのライフスタイルと照らし合わせて、経済的な面以外の価値観も含めてよく話し合うことがこの時期は大切だと思います」

この夫婦も、いまはエリアを特定せず、妥協できる部分はどこなのか、住宅選びの軸を再び考え直すことにしました。ただ、今のマンション価格の高騰にはやるせない思いが拭えないといいます。

夫婦 
「私たちも家を探し始めて、こんなに選択肢が少ないのかと驚きと残念さですごく複雑な気持ちになりました。自分の思っていた理想の家に住むことは、人生の1つの目標であったりとか、楽しみであったりとかすると思うんですけれども、そこの希望や夢が叶わないと思ってしまうと…。自分の住みたい、思い描くような空間での生活は今の時代では少し難しいのかなと感じています」

不動産にまつわるみなさんの体験・情報を

「みなさん、日々の生活をやりくりしながら、どんな家に住んで、どうやってこんなに高い家賃を捻出しているのでしょうか」。 
取材の中で夫婦からこう尋ねられ、私も返す言葉が見つかりませんでした。特に、保育所の入園や小学校の入学時期が迫る子育て世帯にとっては、どこかで決断しなければならない状況に悩んでいる人たちは少なくないのではないかと感じます。

空前の高騰が続く東京の不動産で今、何が起きているのか。私たちは引き続き皆さんからの情報や意見をもとに取材していきます。ぜひこちらから投稿をお寄せください。

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