WEBリポート
  1. NHK
  2. 首都圏ナビ
  3. WEBリポート
  4. シャンシャンが教えてくれた“ありのままの無邪気さ”今度は私が応援する番!

シャンシャンが教えてくれた“ありのままの無邪気さ”今度は私が応援する番!

  • 2023年2月21日

上野動物園のジャイアントパンダ「シャンシャン」は、2月19日、中国に返還される前の最後の観覧日を迎えました。混乱を避けるため、あらかじめ抽せんで選ばれたのは、およそ2600人。倍率は24倍だったといいます。

その中に、シャンシャンを人生の支えとなった特別な存在だと思って毎日のように通い続けてきたファンの姿がありました。最後に会えた2分間、どんな思いで迎えたのでしょうか。
(取材・撮影:首都圏局/記者 小原茉佑子)

シャンシャン返還控え盛り上がる地元

シャンシャンが中国に返還されるのに合わせ、地元上野の街では、感謝の気持ちで送り出そうと巨大な垂れ幕が掲げられたほか、写真展などさまざまなイベントが開かれました。

最後の観覧日感謝を込めて

そして迎えた最後の観覧日。
上野動物園には観覧の抽せんに漏れた人も含め多くのファンが「抱っこシャンシャン」というおよそ65センチの大きさのぬいぐるみを持参するなど、思い思いのスタイルで訪れました。

そのひとり、水口奈津季さんは、シャンシャンを人生の支えとなった特別な存在だと思って毎日のように通い続けてきました。
身につけてきたパーカーや靴などは、自分で撮影したシャンシャンの写真をふんだんに使ってみずからデザインしました。

水口さん

全身シャンシャンです!

体調不良でふさぎ込む日々シャンシャンに心奪われ・・・

水口さんは一時、海外で暮らしていましたが、体調を崩して帰国し、家にこもる日々が続きました。そんなとき、シャンシャンの存在を追うようになりました。体調面から外出が難しく、テレビやインターネットで成長の様子を見守ってきましたが、中国への返還が発表されたことで動物園に見に行くことを決めました。

水口さんの自宅

ふだん見ていた画面上以上のシャンシャンのかわいさに心を奪われ、それをきっかけに出かけることができるようになりました。シャンシャンの無邪気な姿を見る度に、前向きな気持ちになれたと言います。

水口奈津季さん
「初めて会ったその日に年間パスポートを購入して、それから毎日行っています。きょうは、どんなシャンシャンなんだろうと見たいがために電車に乗り、会いに行っていました。ありのままでいいんだよと言われているような。勇気をもらったり、励まされたりしました」

手作りグッズで自信も

水口さんは自分で作ったシャンシャンのグッズを欲しい人に無料で配るようになり、ファンの間でも評判になりました。新しい友人もできました。

「だんだん自信にもつながっていきました。この格好をしているとシャツもパーカーも発売してほしいと言われることもあります」

最後の最後の観覧者に!!そのとき、水口さんは…

シャンシャンの最後の観覧枠は午後4時から。水口さんはこの枠に当選した100人の中でも整理番号100番と本当に最後の最後の観覧者になりました。

観覧前は「最後という実感がわかない」と話していた水口さん。
たくさんのファンからシャンシャンへの伝言を託され、パンダ舎に入りました。

シャンシャンの前では「かわいい」と声を漏らしながら与えられた2分間の観覧時間ぎりぎりまでシャッターを切り続けました。

最後まで名残惜しそうにシャンシャンに手を振ってパンダ舎を後にしました。
シャンシャンとの最後の時間を終えた水口さん、100番の整理券を眺めながら、涙を流していました。

「この券は宝物になりました。本当に終わってしまったんだと思うと辛いです。シャンシャンは心の中の全て、唯一無二の存在。今度は私が応援する立場なので中国に遊びに行きたいです」

取材後記

取材の過程で、たくさんのシャンシャンファンの皆さんにお話を聞くことができ、シャンシャンがいかに愛されてきたのかがわかりました。
記者自身はシャンシャンには1回しか会えませんでしたが、すっかりシャンシャンとそのファンの方たちのファンになりました。多くの皆さんが「別れはつらいけれど、感謝の気持ちで見送りたい」と話していたのが印象的でした。

パンダの保全という重要な役割のために中国に返還されるシャンシャンが、環境の変化に戸惑うことなく、次の命をつないでほしいと思います。

  • 小原茉佑子

    首都圏局 記者

    小原茉佑子

    2022年入局。 もうすぐ記者になって2年目になります。シャンシャンのように元気を与えられるような取材を目指します。

ページトップに戻る