首都圏ネットワーク

  • 2022年10月7日

もはやマスクは外せない?…その下にある心理とは

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“いつでもマスクをつける”日々も、もうすぐ3年。
顔を隠せる気楽さから、私は、マスクを外すことに少しためらいも感じるようになりました。
 “外すのが恥ずかしい”という声も聞かれるマスクですが、政府が「屋外では原則不要」というみかたを示すなど、外す雰囲気も高まっています。
マスク無し生活の不安…その正体やつきあい方を追いかけてみます。
※この記事はマスクが必要な方に外すことを求めるものではありません。(首都圏局/ディレクター 古田優季)

※当初の記事で、「人前で外せない」との意味でマスクを下着に例えた表現を用いましたが、不快感を示す意見が寄せられました。このため表現を改めました。また、この記事はマスクが必要な方に、外すことを求めるものではありません。

マスクが当たり前

私は、すでにコロナ禍だった1年半前にNHKに入りました。
マスクの下の素顔を知らない上司や先輩がたくさんいます。逆に、私の素顔を知らない人も多くいて、“お互いにマスク有り”が当たり前の関係です。

こうして過ごしてきた中で、初めてマスクを外すとなったとき、「素顔を知られてしまう」と、私はドキマギ緊張してしまいます。
だから、今年に入ってネットを眺めていて、マスクを下着に例える表現を知ったとき、「わかるなぁ」と思いました。

マスクが手放せない? 友人に聞いてみた

周りの友人たちはどうだろうと質問してみました。
メッセージを送ったのは、大学時代の同級生や高校時代の後輩たちです。

古田

マスク外すとき、相手にどう思われるんだろうって気にならない?

20代男性

初対面だとまだいいけど、ある程度時間がたってからは、思っていたのと違うと思われそうで気になっちゃう。

20代女性

肌に自信がないから、マスク外すの嫌だなって思うことは結構ある。

 

私と同じように素顔を見せることを気にする人が、男女ともに一定数いることが分かりました。 
「やっぱり、そうだよね」とちょっと安心しました。

他の世代の人たちは? 街で聞いてみた

10代の男の子・女の子たち、そして、上の世代の人たちはどう思っているんだろう?
次に、街で聞いてみました。

高校生

マスク外すのはちゅうちょする。 “思ってた顔と違う!”とか思われそうで。

高校生

あ~たしかに。高校入ってからずっとマスクだから、がっかりされそうで怖いなっていうのはあるよね。

 

小学生

マスク外したときに自分の素顔見られてどう思われるかなって…。思ってたのと違うと思われるのがいや。

 

(いまカメラの前でマスク外してって言われたら)絶対嫌です!心の準備ができていないです!

僕も嫌です。

 

え、嫌なの?!初めて知った!

 

ひげとか手入れしていないから。他の人がマスク外したときに「こういう顔だったんだ」って思うことあるので、自分が外すときもちょっと気になります。

 

「ちゅうちょせずマスクを外せる」と答えた人も多くいた一方で、年代や性別にかかわらず、同じような気持ちを抱えている人がいることもわかりました。

「見た目」じゃなくて「コミュニケーション」が気になる?

さらに取材を進めると、「容姿」よりもむしろ「表情」をあらわにすることへの抵抗感を感じている人たちにも出会いました。

男性

口元の表情が隠せるじゃないですか。それが前面に出るじゃないですか。
それがなんかこわばるっていうか。気持ちがひけちゃうっす。

 

女子高校生

あんまり人前で顔を見せたり、表情見せたりするのが好きじゃない。
会話の時に表情見られると気をつかっちゃうから、マスクがあると楽。

確かにあらためて考えると、マスクをしているからこそ、見せたくない気持ち・表情を隠しておけたり、目だけで感情表現を済ませたりできるような気がしてきました。
みなさんは、“マスクの下の表情をあらわにする”ことへのためらい、どうですか?

マスクで隠したいのは自信のない自分? 専門家に聞いてみた

コロナ禍になってから久しく、マスクで顔を覆い、何かを隠し続けてきた、私たち。

そのことは、想像以上に、私たちの気持ちに、複雑で大きな変化をもたらしてきたのかもしれません。
私は、こころの専門家に、お話を伺うことにしました。

精神科医の反田克彦さんです。
反田さんは、心療内科のクリニックを開業し、若者を中心に、さまざまな不安を抱えるひとたちの思いや悩みに向き合っています。

 

“マスクがあると安心”という人は、けっこういらっしゃいますか?

反田医師

不安の症状が軽い人の中にも、けっこういます。年齢は、さほど関係ありません。
以前から、対人場面での緊張や外見への不安をうっすら持っていた人が、コロナ禍でマスクの心地よさに慣れ、かつて以上に、“実際の自分”“本当の姿”を見せることが、怖くなってしまっているのだろうと思います。 

 

先生の言う “本当の姿”ってどういうものなのでしょうか?

 

本来の飾らない本当の自分というか、弱くてあんまりぱっとしない自分。
“多分、これは自分しか知らない”って自分では思いこんでいる自分だと思います。

 

もともと不安の症状がなかった人も、「マスクの楽さ」が続く中で、どんなことが懸念されますか?

 

いわゆる“普通にコミュニケーションをとる”ということが苦手な方がすごく増えるだろうと。実際に、この2年半でとても増えている印象があります。マスクで表情が隠せるので、本音でしゃべったり、本音と建て前を使い分けたりする練習の機会が少なかったことの影響を感じることがあります。

反田先生は「マスクをし続けることが悪いことだということではなく、ツールとしてうまく利用する分にはいいと思う」とした上で、「マスクを外したいけど外せない」という人のための対処法も教えてくれました。

精神科医 反田克彦さん
「相手を見ることを意識するといいです。相手に“見られてる”と思うと緊張してしまうけど、相手に興味をもって“見てみる”と、“見られてる”意識が和らぎます。
あとは気の許せる相手に写真を送るなど画面上からはじめてみる。徐々に徐々に、『自分ってこんなもんか』と自分で自分を許してあげることが大事」

 

“マスクをとるのが怖い” この気持ちと向き合っていくために、今後も取材を続け、放送や記事の続編の中でお伝えしていきます。
ぜひ、みなさんの思いやご意見、疑問、体験談を教えてください。
こちらの 投稿フォーム にお寄せください。

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