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部活動の地域移行 “指導者の確保”課題も 千葉 柏の中学校の現場は

  • 2022年6月2日

部活動と教員の働き方改革を両立させるため、休日の中学校の部活動を地域のスポーツクラブなどに移行する「部活動の地域移行」。スポーツ庁の有識者会議は5月31日、大会のあり方などを盛り込んだ提言案をまとめました。
すでに地域移行を始めた千葉県内の中学校を取材してみると、教員の働き方の改善にはつながったものの別の課題も見えてきました。 
(千葉放送局/記者 杉山加奈)

地域移行が始まった中学校の現場は…

去年6月から休日の部活動の地域移行が始まった千葉県柏市の中学校です。バドミントン部の顧問の遠藤桂教諭は、平日は部活動の指導を終えると午後6時半前には急いで子どもたちを迎えに行きます。

遠藤教諭は5歳と4歳、それに2歳の3人の息子を育てながら、教員の仕事と両立しています。かつては部活動のため土日も毎週のように出勤していましたが、地域移行が始まったこの1年で休日の出勤は、試合の引率など3日間に減りました。

遠藤教諭
「ひとつは家族と向き合う時間が増えたということと、その次の週の仕事の準備もゆっくりできるようになりました」

休日、遠藤教諭に代わって指導しているのは、市から委託を受けた地元のスポーツクラブに所属するコーチです。

高校でも指導経験がある競技歴45年のベテランです。生徒たちからは専門的な指導を受けられると好評です。

バドミントン部
部長

楽しく教えてもらえています。自分としては、コーチの練習メニューやコーチに教えてもらったことで次の試合で結果が出ています。

その日に行った練習内容は、遠藤教諭に携帯電話のメッセージで報告します。

さらに、生徒の体調やささいな変化についても共有することで、先生に安心して任せてもらおうと考えています。

外部コーチ 本多英洋さん
「先生たちのワークライフバランスが取れて、そういう面でも支援できるのがうれしい」

“指導者の確保”に課題も

先生にも生徒にもメリットが見られる地域移行。しかし、“指導者の確保”という課題も見えてきました。この中学校では、地域移行を始めた4つの部活動だけでも、土日に指導ができるコーチがなかなか見つからず、2か月かけてようやく確保できました。

さらに、今後、市内にある21の中学校すべてで地域移行を進めると、少なくとも200人ほどの指導者が必要だということで、人材をどのように確保するのか課題に直面しています。

遠藤教諭
「学校だけで部活動を見るというよりは、地域の方と一緒に協力してみんなで生徒の成長を見守れる場であってほしい」

取材後記

柏市は今後、ほかの自治体でも地域移行が進み指導者を探すことがさらに難しくなることを見込んでいて、来年1月にも募集を始めることにしています。競技によっては指導者が少ないことから、学生時代に選手として活躍した地域の人など幅広く協力を求めたいとしています。

保護者からは、外部のコーチが指導している際のトラブルを心配する声も聞かれます。生徒の安全を守ることも重要な役割で、柏市では、育成のための研修を行い、質の高い指導者を確保したいとしています。

これまで部活動は、先生たちのある意味“善意”に支えられてきましたが、これが大きく見直されることになります。教員の働き方改革を進めることは子どもたちの充実した学びにもつながるので、先生と生徒双方の声を聞きながら今回の地域移行を実のあるものにしてもらいたいと思います。

  • 杉山加奈

    千葉放送局 東葛支局 記者

    杉山加奈

    2018年入局。警察・司法担当を経て、現在は東葛支局。地域の取り組みを取材。

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