WEBリポート
  1. NHK
  2. 首都圏ナビ
  3. WEBリポート
  4. 海老名 廃バス活用し地域の居場所づくり 若者の力で交流の場を

海老名 廃バス活用し地域の居場所づくり 若者の力で交流の場を

  • 2022年5月13日

長期化する新型コロナの影響で、さまざまなイベントや学校行事などが中止され、人々の交流の場が失われました。
神奈川県海老名市では、コロナ禍で失われた地域の活力や交流の場を取り戻そうと、若者たちが動き出しています。
(横浜放送局 厚木支局/記者 高橋哉至)

会場は使われなくなったバス

ことし3月、地元の学童クラブを卒業した子どもたちのための「お泊まり会」が開かれました。新型コロナの影響で、さまざまな我慢をしいられた子どもたちに楽しんでもらいたいと企画されました。

会場は使われなくなった古い路線バス。横浜市のバス会社から学童クラブを運営する海老名市のNPO法人が譲り受けたものです。
イベントを企画したのは、NPO法人で活動する10代から20代の若者たちです。みんな、地域の学童クラブで育った仲間です。

そのひとりで専門学校生の中峰陸歩さん(21歳)です。母親が日中、働きに出ていた中峰さんにとって、学童クラブは第2の家のような場所でした。

中峰陸歩さん
「ドッジボールをするのに学童に行ったり、もうひとつの自分の居場所になっていました。自分も楽しみながら子どもたちも楽しませられるようなかたちで、子どもと関わりたいなと思っています」

コロナ影響でさまざまな学校行事が中止に

新型コロナの影響で、お泊まり会に参加した子どもたちの学校でもさまざまな学校行事が中止になったといいます。中峰さんたちは、少しでも子どもたちに思い出を作ってもらいたいと、学童での6年間をまとめた動画など、およそ1か月かけて準備しました。

中峰陸歩さん
「子どもたちがすごいい顔をして見てくれていたので。正直、準備は大変なところもありましたけど、喜んでくれたのでやったかいがあったなと思います」

子どもたちに大好評でした

“地域の人たちが集まれる場所を”

子どもたちが喜ぶ姿を見て、中峰さんたちは、バスを子どもからお年寄りまで地域の人たちが集まれる場所につくり替えたいと動き始めました。

4月、中峰さんたちはバスの内装の相談をするため、地元の建設会社を訪れました。

完成予想図

そして、建設会社の社員たちに、バスの中に本を読めるスペースや映画鑑賞ができるスペースを作って、子どもから大人までみんなが楽しめる場所にしたいと説明しました。

高校3年生

寄り道したくなるような場所だから、温かみがあるような感じがいいなと思って。床も壁も木をベースとした感じがいいかなと思う。

大学1年生

年齢を問わずに寄っていける内装にできたら。

社員たちも、活動の内容を知って無償で手伝ってくれることになりました。

建設会社 代表
見上健一さん

人工芝ではだしで歩けるようなのとかいいんじゃないの?

社員

石積みの所にベニヤ板を敷いて、黒板みたいな落書き帳みたいのを作っちゃう。そういうのができたりしたらいいな。

建設会社 代表 見上健一さん
「自分たちでなにか、人にやりたいことを話すとか、巻き込んでいくとか、多分僕たちもいまやらなきゃいけないのにできていないっていうことを、着々と若者がやっていっている。僕なんかも頑張らなきゃいけないし、彼らの背中も押してあげられるような、大人として、地域として、見守っていきたい」

“行政にも思いを知ってほしい”

居場所づくりにかける思いを行政にも知ってもらおうと、中峰さんたちは市長と直接話をすることになりました。

大学1年生

商店街のシャッターが閉まってきているなっていうのがある。私たち学生がバイヤーとなって、海老名のいろんなお店の食べ物だったりとかいろんなものをこのバスの中で区画ごとにいろいろ持ち寄って売ってみる。

中峰さん

僕らも学童出身で、いまの子たちが5年後、10年後に僕らの年齢になってくる。循環を作って、学童から町づくりをする。

市でも今後、資金面など、中峰さんたちの活動を応援したいと話していました。

海老名市 内野優市長
「ひとつの学童というきっかけをもって、こういう仲間を作って海老名市の町作りを何かやっていきたいという気持ちは市としても大切にしないといけない」

中峰陸歩さん
「僕たちはこの活動をしていて、子どもたちと一緒に楽しみたいという気持ちを持っているので、どんどん周りを巻き込んでいってみんなで、みんな楽しい町を作っていきたい」

取材後記

自分たちが暮らす町をよりよくしたいと、若者たちが理想の未来像を語りながら居場所づくりに取り組む姿は、周りの大人たちにも多くの勇気を与えていました。
コロナ禍で失われた人と人のつながりを取り戻そうと奮闘する若者たちの声に、私たち大人も耳を傾け、ともに前に進んでいきたいと感じました。

  • 高橋哉至

    横浜放送局厚木支局 記者

    高橋哉至

    平成30年入局。宇都宮放送局や両毛広域支局を経て、令和3年11月から横浜放送局厚木支局。県央地域の行政課題やマチネタ、スポーツ関連の話題などを幅広く取材。

ページトップに戻る