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「ダークストア」いま人気のネットスーパー どんなサービス?

  • 2022年3月28日

インターネットで受注した商品を宅配するネットスーパー。いまや広く普及していますが、最近さらに新たな仕組みのネットスーパーが登場しました。その名も、「ダークストア」。東京では利用者が急増しています。一体どんなサービスなのか、取材しました。
(アナウンス室 鈴木貴彦)

いま人気のダークストアって何!?

「ダークストア」は、宅配専門スーパーの施設の通称です。
インターネットで受注して宅配する仕組みはこれまでのネットスーパーと同じですが、実店舗では直接販売せず、宅配だけに特化しています。

一般的なネットスーパー
注文を受けると実際にお客さんが買い物をするスーパーの棚からスタッフが商品を取って配達。

ダークストア
利用客がいない店舗に置かれた商品をスタッフが取って配達。

利用客は店舗で直接買い物ができない仕組みのため、基本的に店舗の場所は公開されません。実体が見えにくいお店であることから、この名称がついたと言われています。

ダークストアは、コロナ禍でデリバリーサービスの需要が高まる中、欧米や中国で2年ほど前に登場しました。

日本では去年の夏ごろから東京など大都市を中心にいくつもの会社が相次いで運営し始め、新しい業態として急成長しています。
私は今回、東京・目黒区の自由が丘に店舗があるダークストアを取材しました。
店舗内に入ってみると…

内部は倉庫のような印象です。商品棚がずらっと並び、そこに食料品や飲料、日用品がすき間なく置かれていました。お客さんは店内に入れないので、もちろんレジはありません。

冷蔵・冷凍用の大きな棚もあり、中には生鮮食品や冷凍食品が並べられていました。
ダークストアが扱う商品は現在2000~4000品目ほどのところが多く、だいたいコンビニエンスストアと同じくらい。価格もスーパー並か、高めでもコンビニと同水準くらいに設定されている場合がほとんどです。

30分以内に届く 早さと手軽さが人気!

人気の理由は、注文から配達までの時間の早さです。ダークストアを運営するほとんどの会社が、注文から30分以内の配達を売りにしています。
なぜこんなに早く届けられるのか?
店舗内に貼られた配達用の地図を見て、その理由がわかりました。配達エリアを狭くしているのです。

配達用の地図

多くのダークストアが店舗からの配達範囲を半径2~3キロ程度の近い地域に限定し、「エリアの広さ」よりも「届ける早さ」を優先しています。
今後は各社とも店舗の数を増やしていくことで、エリアの狭さをカバーする方針を立てています。

また、配達料は会社によってばらつきがありますが、数百円程度と安く抑えられています。
すでに普及している一般的なネットスーパーとの競争に負けないよう、ダークストアは早さと手軽さを強く打ち出しています。

受注から数十秒で発送できる早ワザ!

早さの競争は激化していて、今回取材した会社では注文を受けてから10分以内に宅配を完了するサービスを展開しています。驚異的な早さで、今すぐ欲しいものを、しょうゆ1本からでも頼めるとしてニーズが高まっているということです。

ダークストアの店舗内をさらに取材すると、その驚きの早さのヒミツが見えてきました。受注から発送までの時間を極限まで短縮していたのです。そのための工夫が、11-A、11-B、12-C、などの記号がつけられた商品棚と、店内スタッフの腕に装着された専用端末です。

記号がつけられた商品棚

これらは、注文を受けたら「すぐに一筆書きで商品を選び取る」ための仕掛けです。棚についた記号は、商品の置き場所を示す番地のようなもの。目的の品を瞬時に選び取るための工夫です。

スタッフがつけている専用端末

またスタッフの腕についている端末には、ネット注文が入ると同時に、集めるべき商品とその場所の記号が表示されます。その際、無駄な動きなく商品を効率的に一筆書きで取っていける順番が自動で示されます。いずれも店内に利用客が入らないからこそできる仕組みです。

自転車配達の専属ライダー

さらに店内には自転車配達の専属ライダーが何人も待機しているので、すぐに発送できる態勢が整えられています。
こうした工夫によって、注文から発送まで早ければなんと数十秒で完了します。

発送後は、道を熟知したライダーが数分で宅配するということです。

近い将来 身近なサービスになる?

ダークストアは店内にお客さんを入れる必要がないため、商品をストックできる空間さえあれば、さまざまな空き店舗や物件を活用してどんどん増やしていけます。
取材した会社の店舗の中には、以前は車の展示スペースとして使われていた場所もあるということでした。

新業態のダークストアは、今後さらなる工夫や新手法で運営される店舗が登場する可能性もあります。消費者にとっては直接買い物に出かける手間や時間を違うことに振り向けられる選択肢になり、子育てで忙しい親や高齢の利用者をはじめ社会的ニーズが高いサービスとして認知され始めました。もしかすると近い将来、私たちにとても身近なサービスになっているかもしれません。

  • 鈴木貴彦

    アナウンス室

    鈴木貴彦

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