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栃木 益子町に誕生した牧場は元耕作放棄地 牛が育てる人の交流

  • 2021年12月1日

雑草が生い茂り、人が訪れることもない耕作放棄地はいま、農家の高齢化や労働力不足で日本各地で増え続けています。その耕作放棄地を牧場にすることで、牛だけでなく“人”のにぎわいも取り戻そうとしている酪農家が栃木県にいます。
(宇都宮局・西川祐喜カメラマン)

誰もいなかった場所が、誰もが集まる場所へ

酪農家の山川将弘さんです。12年前、那須町で使われなくなっていた山林を切り開いて牧場を作りました。

山川さんの牧場は人々に気軽に来てもらえるようにと入場料は設定していません。牛を自由に見学することができます。子牛と触れあえる場所もあるほか、搾りたての牛乳で作る乳製品も好評です。

かつて誰も入ることのなかった山林は今では県内外から多くの人が訪れる人気のスポットになりました。

「こんなに近くで牛さんに触れあえるところはなかなかないので、非常に珍しい牧場かなと」

価値あるものに変えてくれるのは、牛

使われていない場所であっても、そこに牛がいることで新たな価値を生み出すことができる、と山川さんは考えています。

山川さん
「牛が、僕らが食べられない雑草をミルクにしてくれて、価値に変えてくれる。牧場にすることで使われていないところを、もう一回価値を生む場所にするっていうことが、すごく大事だと思っています」

牧場を より身近に楽しんでもらうために

生まれ変わる前の耕作放棄地

山川さんが那須町の牧場に続く新たな牧場として選んだのが、益子町で耕作放棄地となっていた8ヘクタールの土地でした。ここにより多くの人々が集い、つながりを深めていく場所にしていきたいと、山川さんはあるアイデアを思いつきます。

それは、一般の人にも牧場作りに参加してもらうことです。

呼びかけに応じて参加したボランティアの皆さん


SNSなどで牧場作りのボランティア参加を呼びかけたところ、ふだん牧場を訪れる機会のない家族連れや自然が好きな人たちが、東京など各地から集まりました。

女の子

いつもはできないことが出来て楽しいです。

母親

牛がここに来たらどうなるんだろうなって。東京ではまず出来ないことなので、とてもありがたいと思っています。

山川さん
「いやもううれしいですね、なんかみんな楽しそうにしてるし。できるだけ多くの人に関わりながら “自分の牧場” っていう意識を持ってもらえたらうれしい」

そこにある命が教えてくれる

作業の合間には、生き物の調査も行います。
草を刈った場所では、都会に住む人たちにとってはふだん目にすることのない「ヤマカガシ」や「ニホンアカガエル」なども見つけることが出来ました。牧場は牛だけではなく、いろいろな生き物が暮らす生態系にもなっていること、そしてそのつながりを知ることも、牧場に愛着を持ってもらうためには大切だと山川さんは感じています。

山川さん
「どういう管理をしていったらもっといい牧場になっていくのか、もっとたくさん生き物が集まってくるのかっていうのを、次のステップでみんなで考えられたらいいなと思っています」

作業開始から半年以上、のべ200人もの人たちが参加し、8ヘクタールの荒れ果てた耕作放棄地は緑輝く牧場として新たに生まれ変わりました。

牛が運んできた笑顔

11月16日、いよいよ牧場に牛を放つ時が来ました。自分たちで手入れをした場所に牛が入るということで平日にもかかわらず、牧場作りに参加した家族などが、駆けつけました。

使われなくなっていた場所に新たな命が吹き込まれ、訪れた人たちにとってかけがえのない場所に変わったのです。

訪れた人
「草を刈って大変だったけど、牛が来たんですごいうれしかったです」

感動しきりの人々に目を細めながら、山川さんはこう話していました。

山川さん
「牧場があることによって人が集まるし、使われてなかったものが価値になるし、人が集まることによって人間関係だったり、自然と人間の関係だったり、いろんなことが新しく生まれていく。そんな場所になったらいいなって思いますね」

 

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