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成田空港でCO2削減 植物由来燃料や“アイドリングストップ”

  • 2021年11月29日

航空機に植物由来の燃料を使うことや、自動車のアイドリングストップのような取り組み。
二酸化炭素の排出量を減らす新たな取り組みです。

11月、国連の会議「COP26」がイギリスで開催され、二酸化炭素の排出量の削減が世界的に議論されました。
成田空港では、排出量のおよそ7割を占める航空機の対策が進められています。
(千葉放送局 成田支局/記者 佐々木風人)

植物由来の燃料 CO2排出量 約80%削減も

千葉港に到着する、タンカー。積み込まれているのは、航空機で使用される大量の燃料です。

この燃料が、千葉港から成田空港まで、およそ47キロにも及ぶ長いパイプラインを通って、毎日、供給されています。

いま、この航空機の燃料に注目が集まっています。成田空港から排出される二酸化炭素のおよそ7割をしめるからです。航空業界は、2050年に二酸化炭素の排出量、実質ゼロを目指しています。

その切り札とされているのが、「SAF」と呼ばれる代替燃料です。原料に石油を使わず、トウモロコシなどの植物のほか、食品廃棄物や家庭ゴミからも開発されていて、製造過程を含めたトータルで見れば、従来と比べて二酸化炭素の排出量をおよそ80%削減できるとされています。

成田空港では去年、初めてSAFを使用した運航が行われました。しかし、SAFの大量生産は2030年以降になるとみられていて、運航した全日空でも、1年を通した調達はできずにいるのが現状です。

全日空調達部エネルギーチーム 吉川浩平マネジャー
「世界中で脱炭素のニーズが高まっていて、航空業界でも、ただ飛行機を飛ばすだけではなくて、航空燃料での脱炭素に取り組んでいかなければならない。SAFはなかなか調達が難しい燃料だとはいえ、2030年には10%くらいの使用比率を目指していきたい」

“アイドリングストップ”の取り組みも

航空機の二酸化炭素の排出削減に「特効薬」がない中、自動車のアイドリングストップのような地道な取り組みも行われています。

成田空港会社は、駐機している航空機に対して、照明などのための電力をまかなうエンジンをできるだけ使用しないよう呼びかけています。
地上からケーブルをつなぎ「GPU」と呼ばれる、空港の電源を供給しています。
駐機している航空機の二酸化炭素の排出量を、およそ15分の1に削減できるということで、昨年度、ほとんどの航空機で実施するようになったということです。

成田空港会社では、こうした新たな取り組みによって、空港から排出される二酸化炭素を、2050年度には2015年度の半分に減らす目標を掲げています。

成田空港会社サステナビリティ推進室 片岡祥マネージャー
「いろいろな新技術を導入するなどあらゆる取り組みを進めていかなければ、二酸化炭素排出量は減らせないと思っています。引き続き、航空会社など空港に関係する多くの方と連携しながら、削減に向けた取り組みを進めていきたいと考えています」

取材後記

取材した全日空によりますと、現在、世界でSAFを商業規模で供給できるのは、全日空が調達しているフィンランドの会社など2社だけ。なかなかSAFを調達するのが難しいのが現状です。

一方、海外では、航空会社に対して、使用する燃料の一部にSAFを使うよう義務づける国が出るなど、世界で規制強化の動きが広がっています。特に環境意識が高いヨーロッパの若者の間では、二酸化炭素の排出が多い飛行機に乗るのは恥ずかしいという意味の「飛び恥(Flight Shame)」という言葉まで生まれているということでした。

日本で暮らす利用者の私たちも、今後は航空会社を選ぶ際に、どの航空会社が二酸化炭素排出の削減に向けてどんな取り組みをしているのか調べて“賢い選択”をする、そんな時代がすぐそこまで来ていると感じました。

  • 佐々木風人

    千葉放送局 成田支局

    佐々木風人

    新聞社を経て、2018年入局。前任地の富山から11月に着任しました。新型コロナで便数が激減する成田空港ですが、いつか人々がもっと自由に海外と行き来できる日が来ると信じて“日本の空の玄関口”を取材します。

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