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コロナ疲れで感じるイライラや不安 対処法は? お坊さんに聞いてみた

  • 2021年2月18日

長引くコロナ禍の生活。外出自粛や感染対策にも疲れ、イライラや不安を感じていませんか?
でも大丈夫。お坊さんに話を伺うと、幾多の戦乱や疫病をくぐり抜けて来た仏教には、心おだやかに過ごすための教えがあるというのです。
「独去独来」「求不得苦」この4文字が伝えるメッセージとは…?
イスでできる座禅など手軽な対処法もお伝えします。
(首都圏局/ディレクター 井手 遥)

当たり前だった日常に変化 私たちの心にも影響が

今回、伺ったのは東京 中央区の築地本願寺。5年前から僧侶が悩みや相談を聞く「よろず僧談(そうだん)」の他、心の調子を整える講座も運営しています。この1年、新型コロナに関する相談も数多く寄せられ、悩みを聞いてきた僧侶の石川勝徳(いしかわ・しょうとく)さんは、環境の変化が私たちの心にも影響を与えていると言います。

石川さん
「今まで当たり前だったことが当たり前じゃなくなったということに不安を抱える方は多いです。お御堂で久しぶりに会う方と、お互い不安ですね、心配ですねとご挨拶することも。コロナで職を失いそうだという話を聞くこともあれば、在宅になったことで、今までと違う環境で仕事しなきゃいけない、そのせいで自分の思うようなパフォーマンスが発揮できないとフラストレーションを抱えている方もいらっしゃいましたね。今の状況で安心だという人の方が当然少ないので、今、耐えなければいけないこの環境というのは、皆さんの心の中に大きな変化を及ぼしていると思います」

家族でのレジャーや外食もままならない。在宅勤務でずっと家にこもりっぱなし…。「新しい生活様式」を強いられる中、家庭内でイライラしてしまったり、なんとなく不安を感じたりする時は、どのように心を落ち着ければよいのでしょうか?石川さんに聞いてみました。

在宅勤務でケンカが増えてイライラ! どうすれば…

家にいる時間が増えたことで、家族のちょっとした行動が気になり、イライラしてケンカになってしまう…。そんな悩みに石川さんが示したのは、「善人ばかりの家庭は争いが絶えない」という言葉。多くの人に伝えたいと、お寺の境内の掲示板にも掲げていたそうです。

「善人ばかりの家庭」とは、家族それぞれが“自分の考えこそが正しい”と思い込んでいる状態のことです。例えば、家で過ごす時間が増えた子どもに対して、父親と母親で「勉強するべきだ」「外に出て体を動かすべきだ」など異なる意見が出てぶつかりあってしまうこともあるでしょう。しかし、「自分の考えが正しい」と思い込んだまま、お互い意見を押し付け合うとケンカになってしまいます。主張するばかりでなく、相手の立場に一度立ってみることが大切だと説きます。

石川さん
「コロナの環境で人との距離感が変わり、会わなくなった人もいれば毎日顔を合わすようになった人もいる。その変化の中で、お互いがストレスに感じるのが自分の実は心の中にあるもの、私たちの人間性っていうものが出てきているのかなと思います。やっぱりお互い自分の立場でしか我々は物事をみることができないので、自分にとっての「良いこと」「悪いこと」が家庭の中でも目につきやすくなる。そうすると家族間の中でも諍いが出やすくなるのだと思います。家庭の中においても自分の独りよがりなところからなかなか離れることができなくて、怒ってばっかりいるんだなと気がつくこと、そしてそれと同時に逆に自分も認めていただいてたんだなと、お互いの環境を認められる、心のゆとりというか、そういうものの見方ができるといいですよね。自分の心の有り様を見つめ直してみることで、お互い優しく接しあうことができるのかなと思います」

人に会えなくてさみしい… 仏教の教えは?

コロナ禍で友達や実家の両親に会う機会がなくなり、寂しさを感じる人もいるのではないでしょうか?
そんな悩みに石川さんが示したのは、「独去独来(どっこどくらい)」という教えです。

「独去独来」とは、人は一人で生まれ一人で死んでいくという仏教の言葉です。本来孤独な存在であるからこそ、人との出会いや支え合いをあらためて実感してほしいといいます。

石川さん
「このコロナ禍で寂しさを抱えている人というのはたくさんいらっしゃると思います。コロナで寂しさを感じるというのは、私たちがある意味気づかされたということですよね。そもそも私たちは一人で生まれて、一人でご縁が尽きる、そのような命をいただいている。けれども実はお互いを思い合い、感じ合って私たちは生活していたんだなということを、この悪い環境だからこそ、見つめ直して欲しいと思います。」

そして、会えない時間を乗り越える心の持ちようをこんな風に語りました。

石川さん
「自分のやりたいことがいくら求めても得られない苦しみというのがお釈迦様の言葉の中にあって、求不得苦(ぐふとくく)というんです。でも出来ないことばかり追いかけるのではなく、今ある中での喜び、いわゆるネガティブケイパビリティというか、自分で変えていくことができない中を耐えていく力が必要です。明けない夜はない、やまない雨はない、じゃあ終わったときにどうしようかな、なんて明るい兆しが見えるような心持ちでいられるように心がけて欲しいです」

気軽にすぐできる 心のモヤモヤ対処法

寺では「よろず僧談」だけでなく、さまざまな分野の専門家が、心のモヤモヤを解消する具体的な方法を講座を開いて教えています。気軽にできる対処法をいくつか教えてもらいました。

◆「歩く瞑想」

<やり方>
(1)息の吸い始めなど、呼吸の最初と最後に集中する
(2)歩くときに、かかとが地面についた感触、次は土踏まず、つま先と順番に細かく感覚を意識する
(3)口角を上げて微笑みながら行うとなお良い

通勤や買い物の途中など、少し歩いている時でさえ、私たちはつい考え事をしがちです。そんなときは、動作ひとつひとつの感覚を意識することで、不安を感じる時間を減らす事ができるそうです。
(メンタルケア:川畑のぶこ講師)

◆「イス座禅」

<やり方>
(1)普段自分が使っているイスで行う
(2)体重をまっすぐにイスにあけわたして座り、床に足が、尻が座面に出会っている感覚を捉える
(3)マスクをしないでよい安全なスペースで深い自然な呼吸をする
(4)音、光、におい、味や触感、思考に意識を向け、それぞれを「すでに知っているもの」ではなく、新たな気づきとして受け入れる
(5)目標を立てて頑張るのではなく、自然な姿勢に任せ、日々自分の調子の良い姿勢を探求するような心もちで行う

その日の自分の状態だけでなく、これまで見過ごしていた心地よさに気づく事もできるということです。
(曹洞宗:藤田一照講師)

◆「ハッピーログ」

<やり方>
(1)その日にあった心地よいと感じたことを書きとめる
(2)いつ書くかというタイミングと、いくつ書くか目標を決めてやってみる

良いことを書きとめて可視化することで、自分が幸せと感じられることをより強く意識できるそうです。
(一般社団法人 アンガーマネジメント協会:伊藤佳恵子ファシリテーター)

  • 井手遥

    首都圏局

    井手遥

    2016年入局。札幌局を経て、2019年から首都圏局。性的マイノリティやシベリア抑留などを取材。

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