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第2波?指標で見る7月の東京都<後編>

  • 2020年8月7日

7月の感染拡大を受けて、「特別な夏」へと入った東京都。
感染確認数、経路不明の人の数、陽性率など、7月で状況が大きく変わったことは前編でお伝えした。
今回は、そうした感染状況の変化に伴って、医療体制の現状はどうなっているのか、指標から読み解いてみたい。
首都圏局 西浦 将

「感染防止の最後のチャンス」 医療界に危機感

ことしの夏は「特別な夏」だと述べた小池知事。
引き続き、「感染拡大特別警報」の非常に厳しい状況のなか、ことしのお盆や夏休み期間は大切な家族や医療現場を守るためにも、「旅行や帰省」、「夜間の会食」、「遠くへの外出」を控えて欲しいと呼びかけた。

7月30日。小池知事が危機感をあらわにしたのと同じ日。
もう1人、同じように強い危機感を示した人がいた。東京都医師会の尾崎会長だ。

7月30日の会見

「今が感染防止の最後のチャンスだと考えている。東京だけの問題ではなく国がきちんと対策をとらないといけない。国民を安心させてほしい」

強い口調で述べた尾崎会長。政府に対しては、新型コロナウイルスの特別措置法の改正なども求めた。

専門家は、入院患者が増え、感染の収束の兆しが見えないとしたうえで、「医療現場では今後、患者を受け止めきれるのかと感じていて、緊張が続いている状態だ」と指摘している。

いま医療現場ではいったいどのような変化が起きているのか。

重症患者数の推移 - 4月と7月

医療提供体制の状況を分析するうえで、東京都の幹部や専門家が特に注目しているのが「重症患者」の数だ。
人工呼吸器や集中治療室で対応する重症の患者が増えると、新型コロナウイルスだけでなく、ほかの病気の患者にも適切な医療を提供できなくなるおそれが高まるからだ。

  4月28日・29日 7月10日 7月17日 7月30日 7月31日
重症患者数

105人
最多

5人
最少

10人

22人

16人

 

都は、重症患者の数をことし4月27日から公表していて、最も多くなったのは4月28日と29日の105人だった。
その後は減少傾向が続き、7月2日には10人を下回って9人に、7月10日には、これまでで最も少ない5人となった。
ただ、その後は再び増加に転じ、7月17日に10人を超え、7月30日には22人だったが、翌31日には16人となった。

 

4月や5月に比べるとまだ低い水準なものの、都の専門家は、重症患者の増加は、「新規陽性者数」の増加からしばらく遅れて生じると指摘している。
都は、重症患者を受け入れる病床をこれまでに100床確保していて、今後の状況によっては、体制の強化を検討する考えだ。

死亡者は60代以上9割

高齢者が感染し、重症化すれば、亡くなるリスクは若い世代に比べ大幅に高い。
都内では、7月末までに新型コロナウイルスの感染が確認され亡くなった人が333人にのぼった。
およそ93%にあたる306人は、5月末までに亡くなっている。
このなかには、クラスターが発生した複数の医療機関の入院患者のほか、コメディアンの志村けんさんや俳優の岡江久美子さんも含まれている。
その後、6月は21人、7月は6人と減少した。

亡くなった人の年代別では、40代までが7人、50代が18人、60代が32人、70代が95人、80代が115人、90代が63人、100歳以上が3人だ。
10歳未満と10代は確認されていない。
60代以上だと全体のおよそ93%、70代以上だとおよそ83%で高齢の人の割合が高くなっている。

急増する入院患者

重症者や死亡者の数が抑えられているように見えるが、一方で、7月1か月間は入院患者の数は急増した。
医療提供体制に直接的な影響を与える「入院患者」は、感染が確認される人の増減にあわせて変動している。

都が入院患者の正確な人数を把握、公表するようになった5月12日以降は、12日の1413人をピークに1か月あまりは減少傾向が続き、6月20日は最も少ない204人まで減っていた。

しかし、その後、入院患者は増加傾向となり、感染が広がった7月に入ると急激に増えていく。
7月11日には500人を超え、7月31日には1197人にのぼった。7月1日の280人と比べるとおよそ4.3倍に増加した。

都は、増加する入院患者に対応するため、都内ですでに2400床を確保していて、さらに増やしていくとしている。
都の専門家からは、「受け入れの体制を整えることは大変な作業だ。医療現場は本当にひっ迫し、疲弊している」という指摘が出ていて、入院患者が増え続けることへの危機感が高まっている。

今後はどうなる?

8月に入っても、感染確認は200人や300人を超える日が続いている。
東京都は、8月3日から会食を通じた新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、酒を提供する飲食店などに対し、営業時間を午後10時までに短縮するよう要請を始めた。

7月1か月間のさまざまなデータを見ると、一瞬の油断が拡大を一気に加速させる危険性をはらんでいることが分かる。

「特別な夏」の夏休み、お盆休みをはさみ、感染確認はどう推移していくのか。
引き続き、日々の動向を注視していきたい。

  • 西浦 将

    首都圏局 記者

    西浦 将

    広島局などを経て、2019年8月から都庁担当

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