人口の密集する大都市を大地震が襲ったら?
東日本大震災では、都心から自宅へ帰ろうとする「帰宅困難者」が街にあふれました。
人が密集した状態の中では、一人が倒れただけで、周りも雪崩を打つように転倒する「群集雪崩」の危険もあります。
東京都心部の500万人がいっせいに徒歩で帰宅したら?
専門家によるシミュレーションを元に、どう備えればいいのか、考えます。
ナレーション:高井正智アナウンサー
大都市を地震が襲ったら、人が密集する都市ならではの危険があります。そのひとつが、「群集雪崩」が起きる可能性です。避難などで多くの人が移動する際に、人が密集しすぎると、1人が倒れただけで、周りも雪崩を打つように転倒。命の危険もある恐ろしい現象です。
こちらは、2019年のハロウィーンの時の渋谷の様子です。
東京大学の廣井悠さんと一緒に人混みを歩いてみました。廣井さんは、大地震が起きた場合、これよりも密集した状況になるだろうといいます。
東京大学 廣井 悠 准教授
「足元が見えないで地震被害が起きていると、つまずいてしまう可能性もかなり高い。群集雪崩とか将棋倒しが起きる可能性があります」
東京都心部のおよそ500万人が、地震の後、一斉に徒歩で帰宅した場合、何が起きるのか。廣井さんのシミュレーションでは、都内のあちこちに、人が密集し事故のリスクが高まる場所が現れました。
その一つ、東京丸の内です。ビルの間の通りに沿って、赤で示された場所が現れました。赤い場所は、1平方メートルあたり、6人以上の超過密状態を示しています。これは、ほとんど動くことすらできず、群集雪崩などが危惧される状態です。
ほかにも、渋谷、新宿、赤坂など都内30か所以上で、満員電車並みの超過密状態が予想されています。
群集雪崩を防ぐために、一人ひとりにできることがあります。それは、“できるだけ移動せず、帰らない” こと。一人ひとりが、帰宅を避けて、職場や学校など、安全な場所にとどまることで、群集雪崩を防ぐことができるのです。
そのためには職場に、災害時に数日間過ごせる備蓄があるか確認しておきましょう。
街中の屋外で被災した場合は、人の多い駅などに向かってはいけません。自治体が指定した “一時滞在施設” などに避難しましょう。
例えば、東京都の場合は、 “東京都防災ホームページ” を見てください。
都内に1000以上ある一時滞在施設を地図で確認することができます。
しかし、家族の安否が確認できない状況では、 “家に帰らざるを得ない” と考える人もいるかもしれません。
そういうときのために、災害時に開設される安否情報の確認サービスを知っておきましょう。災害用伝言ダイヤル(171)や、災害用掲示板(web171)などです。
いざという時の不安をいま減らしておくことで、「出来るだけ移動せず、帰らない」が可能になるのです。
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