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「共同生活の寮」で地震・火災が起きたら?

拝見!あなたの防災訓練
  • 2019年12月26日

首都圏には、さまざまな背景を持つ人たちが共同で生活をする寮や施設が多くあります。もし、そのようなところで地震が起きたらどうすればいいのでしょうか。
複数の企業の社員たちがシェアする企業寮では、異業種交流が進む一方、人の入れ替わりが激しいので、いざという時の備えもしっかり考えなくてはなりません。どんなことに気を付ければいいのでしょうか。

所属企業も国籍もさまざまの企業寮

東京・中央区、月島にある企業寮は、すべて単身用で644室。1階には、ラウンジやスタディールーム、各フロアに共有のキッチンも設けられています。
現在、この寮を利用している企業は食品会社や不動産業など39社。入居している人の国籍もアメリカやインドなどさまざまで、8割が20代です。

11月16日、年に1度、入居者と一緒に防災訓練を行う日です。自分で手を挙げた人に加え、会社からの指示で来た人も含めて合わせて20人が集まりました。
企業やマンションなどの防災計画づくりに携わる、防災アドバイザーの三平 洵さんと訓練に立ち会いました。

●消火器は火元へ向けて

近くの消防署の協力も得ながら、まずは消火器の使い方から。意外と使い方を知らない人が多く、いざという時、役に立たないことがあるといいます。

気をつけるポイントの一つ目は、消火剤を向ける方向。例えば鍋が燃えていたら、炎ではなくて鍋に向かって消火剤をまきます。火元を断つのが大切だからです。
二つ目は、届く距離。一般的な消火器の場合、届くのは3~5メートルとされています。あまり遠くからやっても届きません。逆に近いとやけどしてしまうので、適度な距離を保つのも重要です。

●ベランダの仕切りは足で破る

次に、ベランダに設けられている隣の部屋との仕切りを破る体験。手で破ろうとするとケガをする危険があるので、足で蹴って逃げ道を確保します。足の裏やかかと側で蹴るといいそうです。

●ロールプレイング形式で避難行動を確認

最も重要だと位置づけられていたのがロールプレイング形式での避難訓練です。
共有のキッチンで火災が起きたことを想定しました。
台本が渡されているのは、火災の通報を担当する人と初期消火にあたる人の2人だけ。他の参加者は2人を見て手順を覚えようとしますが、避難を促されてもどうしたらいいかわからず、すぐに行動することができません。

とりあえず台所を出て、非常階段を使って外に出ます。
この日は、屋外の広場で一旦集合することになっていましたが、その場所が周知されておらず、ばらばらになってしまいました。別の場所にいた人たちと合流することができたのは3分後。集合場所を周知することの大切さを確認しました。

訓練を見た防災アドバイザーの三平さんは「イメージするのと実際体験してみるのとでは違います。やったことないことはたいていできないので、一度経験してみるのは、訓練する上でとても価値があります」と話していました。

さらにポイント

●知らない人同士で協力し合えるルール作りを

マンションを所有する会社の担当者、酒井美幸さんは、災害時にどう行動すればいいのかを周知していく上でネックとなっているのが「人の入れ替わりが激しい」という、この寮ならでは特徴だといいます。
外国から来る人も多く、転勤などで入居者が頻繁に入れ替わるので「いざ何かあったときに助け合いが絶対に必要だけど、隣の部屋の人も知らないので不安」という声もあるんだそうです。

そこでこの寮では、入居したばかりの人に、寮の先輩たちが建物を案内するツアーを行っています。廊下に備えてある非常ベルや防災設備の使い方などを、時には英語などの外国語を交えて説明します。

さらに、知らない人同士が協力し合えるルール作りのヒントにしようとしているのが、企業ごとのリーダーの集まりです。この寮では、ゴミ出しやキッチンの使い方などのルール作りのため、企業ごとのリーダーを決めて、月に1度集まっています。この仕組みを活用することで災害時の対応の情報も共有できるのではないかというのです。
参加者からは「いま台風がどのへんにあるとか、近くの隅田川の水位があがってきているということなどきっかけがないと話せないので大事」「いまは知っている人がたくさんいるのでイベントごとと合わせてやることで防災意識を高めていけたら」などという声が上がっています。

●まずは訓練への参加の意識づけを

それでも訓練への参加者がなかなか増えない現状に悩んでいる酒井さん。どうすればいいのか、防災アドバイザーの三平さんに聞きました。

三平さん「集まることだけが訓練ではないので、少しでも参加することで意識を高めてもらうことをまず考えてください。例えば、地震などのときに安否確認のために玄関に貼るマグネットシートがおすすめです。防災訓練の日にこれを玄関先に貼ることだけでも参加とする。例えば、フロアごとに掲示率を競うというのも多くの協力を得るのに有効な方法です。また、スポーツや料理、国際交流など、それぞれが興味のあるイベントに防災の要素を少しだけ取り入れるという形で防災に取り組むのも1つの方法です」

  • 松尾 衣里子

    ひるまえほっと リポーター

    松尾 衣里子

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