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能登半島地震 なぜビルは倒壊した? 首都圏のリスクは?

能登半島地震の警鐘(1)後編
  • 2024年1月25日

能登半島地震では建物被害が相次ぎましたが、石川県輪島市ではビルも倒壊し、今回の地震の深刻さを強く印象づける被害となりました。この被害の特徴と首都圏でのリスクについてお伝えします。(2024年1月23日首都圏ネットワークで放送)

前編では住宅を中心とした建物被害について記事にしています。こちらからご覧ください。

ビルの倒壊はなぜ起きた

今回の記事も、建物の耐震や防災が専門で名古屋大学の福和伸夫名誉教授に、お話を伺った内容で構成します。

建物の耐震や防災が専門 名古屋大学 福和伸夫 名誉教授
「鉄筋コンクリートの建物は1971年に基準が見直されて、柱の鉄筋を多く入れるようになり、耐震性が少し強化されています。今回のビルがそれ以前の設計かどうかは現時点では分かりませんが、もし設計が1971年よりも前とすると、柱が粘り強くなく、壊れやすい可能性があります。さらに、注目したのは基礎の下に打たれる“くい”です」

「“くい”も以前の設計では、建物の重さを支えるだけで、建物が倒れようとすると抜けてしまう可能性があります。今回輪島市で倒壊したビルもくいが抜けてしまった可能性が考えられます」

ビルが倒壊したメカニズム 模型で実験

 

実際に模型で見てみます。左側は、比較的低く、“ずんぐり”としたビル。一方右側は今回のビルのように間口が狭く、高さがあり、1階部分に壁が少ない建物を模しています。

実験協力:応用地震計測

 

模型を大きく揺らしてみると、右側が明らかに大きく揺れるのがわかります。さらに強く揺らすと、建物の揺れが激しくなり、ついには倒れてしまいます。“引き抜き力“が強くなり、くいが横揺れに対して抵抗できず抜けてしまったためと考えられるのです。

首都圏でのリスクは?対策は

こうした被害、首都圏などの都市部では起こりうるのでしょうか?

 

起こりえます。都心には間口が狭く高さがある古いビルが多く残されているのです。阪神・淡路大震災をきっかけに、国は耐震改修促進法を作り、古い建物の耐震診断や耐震改修を積極的に進めるよう求めていました。建物が大地震に耐えられるのか。耐震診断は本腰を入れて進める必要があると思います。

大地震が起きても生き続けるために

今回の地震被害は私たちに何を投げかけているのでしょうか?

名古屋大学 福和伸夫 名誉教授
「自分の住んでいる家を強くしないと、大地震が起きたときに命に危険が及んだり生活ができなくなったりするおそれがあります。命と暮らしを守るには、なんとしてでも耐震化を進めないといけないのだということをあらためて示していると思います」

 

ビルの耐震化についてはこちらの記事も参考になります。

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