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長野県有数のスキーリゾート地 志賀高原に活火山?最新研究で浮かび上がる!

  • 2023年12月6日

日本にある活火山は現在111と、世界のおよそ1割にあたります。

スキーシーズンを中心に国内外から年間200万人以上が訪れる人気のリゾート地、長野県の志賀高原。その中心にある志賀山が活火山にあたるのではないか…。

専門家の最新の調査で浮かび上がってきました。
(長野放送局/記者 谷古宇建仁)

人気の志賀高原の中心「志賀山」

長野県北部の山ノ内町にある志賀高原。

スキーシーズンを中心に国内外から年間200万人以上が訪れますが、その志賀高原のほぼ中心にあるのが「志賀山」。志賀高原の地名の由来にもなっているとされ、地元には親しまれている山です。

火山であることはわかっていましたが、一帯での噴火については、およそ7万年前までしか明らかになっていませんでした。

「活火山」は、おおむね過去1万年以内に噴火した火山および現在、活発な噴気活動のある火山を指します。
つまり、これまで志賀山は「活火山」にはあたらないとされてきたのです。

その後も噴火していたのではないかと考え、調査をしてきたのが富山大学の石崎泰男教授です。
以前にも、栃木県日光市にある男体山がおよそ7000年前に噴火していたことを明らかにするなど、過去の火山活動を明らかにする研究を続けてきました。

志賀山の地形などをみて、7万年前よりもあとに噴火したのではないかと考え、調査を続けてきました。

まず注目したのは、白っぽい斜面です。

噴火によって出た火山灰が降り積もったものだと考え、周辺の地層の年代などを分析した結果、およそ400年前の水蒸気噴火で噴出した火山灰の可能性が高いことがわかったのです。

水蒸気噴火とは、マグマによって熱せられた地下水が水蒸気となって膨張し、周囲の岩石とともに吹き上がる噴火を指します。

富山大学 都市デザイン学部 石崎泰男 教授
「噴火したのは2、3000年前くらいかなという予想をしていたのですが、非常に若い年代が出て、最初は驚きました」

また、見つけた溶岩の年代を測定した結果、およそ6000年前、複数回にわたって地下のマグマそのものが吹き出る「マグマ噴火」が起きていたことも突き止めました。

これまでの見解を覆し、活火山である可能性がでてきたのです。

草津白根山と志賀山の関係は…

志賀山は隣の鉢山と「志賀火山」を形成しているとみられていますが、石崎教授が今、注目しているのは、南に9キロほどにある草津白根山との関係です。

2018年には噴火もしましたが、草津白根山と志賀山の中間地点付近の地下には、地殻変動の分析の結果、何らかの膨張源があることがわかっています。

さらに、石崎教授が草津白根山の溶岩と、志賀山で見つかった溶岩を調べたところ、成分が似ていたのです。

また、過去の噴火活動の時期も似ています。

そうした結果から、石崎教授は、2つの山が地下の「マグマだまり」を共有している可能性もあるとみて、さらに調べる必要があると考えています。

石崎泰男 教授
「志賀山と草津白根山で共有しているマグマだまりが地下にある。そのマグマだまりが、あるときは草津白根山で噴火を起こす、あるときは志賀山で噴火を起こす。そういったイメージを持っています」

噴火の可能性は??

そうなると気になるのは、志賀山が噴火する可能性です。

石崎教授は、突発的な噴火の可能性はわからないとしつつ、これまでの調査の結果を踏まえると、志賀山は頻繁に噴火する火山ではないとみています。

石崎泰男 教授
「これまでの活動で大部分の溶岩が出ていると考えられます。また水蒸気噴火の火山灰についても、現在のところまだ一層しか見つかっていません。ですから、草津白根山などと比べるとかなり活動度が低い。つまり、噴火がそれほど頻繁には起こらない火山だと今のところは推測しています」

地元の受け止めは

今回の研究結果を住民の方や自治体の担当者に聞いてみました。

地元の68歳男性
「へーっという感じです。活動は大昔かと思っていたので、そういう意味ではちょっと怖いかなという気はします」

地元の78歳男性
「覚悟だけはある程度持って、心の準備だけはしておきたいと思います」

山ノ内町 危機管理課 常田和男 課長
「ちょっとびっくりしたと言いますか。活火山だとなれば危機管理上、そういった目では見ていかなきゃいけないなと感じています。草津白根山周辺の自治体などとの連携を含めて、防災対策をしっかりしていきたいなと思います」

石崎教授は、今後論文を発表する予定で、気象庁によりますと、その論文を受けて、活火山と認定されるかが専門家などの間で協議されるということです。
どのような防災体制が必要となるかは、さらにその後の検討となります。

取材後記

スキーが大好きな父親に連れられ、幼い頃から何度もスキーに訪れていた志賀高原。その中にある志賀山が「活火山」かもしれないと聞いたときは正直驚きました。
ただ、長野県に住んでいても日々感じますが、日本には数え切れないほどの山があり、活火山が増えてもおかしくないと思うようになりました。数十年や100年は、火山にとってはごくわずかな期間でしかないのです。
長野県には、いまも時折活動が活発になる浅間山や御嶽山といった活火山がありますが、あまり注目されていない活火山にも目を向けていきたいと思います。

  • 谷古宇建仁

    長野放送局 記者

    谷古宇建仁

    2016年入局。高知局を経て、2021年から長野・松本支局に所属。2023年から長野局・県政担当。 信州に来て山登りが趣味になりました。

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