「モーメントマグニチュード」聞きなれない言葉ですが、「北海道・三陸沖後発地震注意情報」で使用され、その後の巨大地震への注意が呼びかけられます。ふだん、気象庁が発表しているマグニチュードとはどう違うのか、どんな特徴があるのかなどまとめました。
マグニチュードとは | |
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指標 | 地震の規模 “地下岩盤のずれの規模を示したもの” 世界中で使用 |
算出方法 | 地面の振幅などデータもとに計算 計算方法によりいくつもの種類 |
「マグニチュード」とは地震の規模(エネルギー)を示す指標で、世界中で使われています。“地下の岩盤のずれの規模がどれくらいかを示したもの”ともいえます。
一般的に、観測された地面の振幅のデータなどをもとに算出されますが、計算方法によっていくつも種類があります。
ふだん、ニュースなどで報じられているのは「気象庁マグニチュード(Mjma)」という気象庁が独自に使っている基準です。地震計で観測された最も大きい振幅などをもとに計算するため「規模を速やかに見積もれる」のが最大の特徴です。
周囲を海に囲まれる日本では津波のおそれがあるため、数分で地震の規模と震源を把握する必要があり、気象庁マグニチュードをもとに津波の有無を地震発生から3分程度で発表しています。
ところが、早さを重視する気象庁マグニチュードには弱点があります。マグニチュード8を超えるような巨大地震の場合、まだ岩盤の破壊(地震)が続いているため、規模を正確に割り出すことが出来ません。
実際、東日本大震災を引き起こした「東北地方太平洋沖地震」では当初、気象庁マグニチュードで「7.9」と速報しましたが、実際のエネルギーは30倍以上も大きく気象庁は「モーメントマグニチュード」を使って規模を割り出し、9.0だったと発表しました。
地下の岩盤がずれ動いた面積と量、それに岩石の硬さをもとに地震を起こす力(モーメント)を揺れの波形全体をみて計算します。
世界各地で観測された地震計のデータなども使って、岩盤のずれやメカニズムを割り出すので規模の大きな地震でも正確に見積もることが出来ます。
しかし、複雑な計算が必要になるため算出にはやや時間がかかり、気象庁の地震速報などには使われていません。
「北海道・三陸沖後発地震注意情報」は巨大地震の可能性が高まっているかどうか岩盤のずれの規模を正確に判断する必要があり、モーメントマグニチュードを基準にしています。
気象庁が情報の発表を地震からおよそ2時間後としているのは、モーメントマグニチュードの計算に時間がかかるうえ、結果をていねいに確認するためだということです。
「北海道・三陸沖後発地震注意情報」で気象庁は「〇〇を震源とするモーメントマグニチュード(Mw)〇.〇の地震が発生した」としてその後の巨大地震への注意を呼びかけることにしています。