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線状降水帯 気象庁の予測情報 精度は?13回発表で発生3回(2022年)

  • 2022年11月17日

気象庁は2022年6月から「線状降水帯」について発生を予測する新たな取り組みを開始しています。気象庁によりますと予測の情報を13回発表したのに対し、実際にその地方で発生したのは3回にとどまったということです。運用前から現在の技術では正確に予測することは難しいとしていた情報について、結果の詳細や気象庁の見方などをまとめました。

「線状降水帯」の発生予測 2022年6月開始

発達した積乱雲が帯状に連なって大雨をもたらす「線状降水帯」は、豪雨による災害で繰り返し確認されています。
気象庁は「線状降水帯」が発生するおそれのある場合には、半日から6時間前までに気象情報で発表する取り組みを2022年6月から新たに始めました。

この情報は「関東甲信」や「九州北部」など全国11の地方ごとに出され、「地方気象情報」や「府県気象情報」などに“線状降水帯が発生する可能性がある”という文言を盛り込んで警戒を呼びかけます。

情報発表13回で発生3回 情報出さず発生も

「線状降水帯」の予測の情報について気象庁は2022年の発表状況を分析しました。その結果、予測の情報を発表したのはあわせて13回で、このうち実際にその地方で発生したのは3回でした。一方、予測の情報を出さずに線状降水帯が発生したケースは8回ありました。

線状降水帯 予測情報の結果
(2022年11月 気象庁)
情報発表 13回発表 → 発生は3回
発生した
ケース
7月18日~19日(大雨)
山口・福岡・佐賀・大分
9月18日~19日(台風14号)
宮崎・熊本
発表なし 発表なしで発生 8回

 

具体的には、情報を出して実際にその地方で線状降水帯が発生したのは、7月18日から19日の大雨で山口県と福岡県、佐賀県、大分県で発生したケースに加え、9月18日から19日の台風14号の接近で、宮崎県で発生したケースと熊本県で発生したケースです。

予測の情報を出さずに線状降水帯が発生したケースのうち、8月上旬の東北や北陸、新潟県の大雨や、9月下旬、静岡県で断水などの被害をもたらした台風15号による大雨では、情報が発表されない中、線状降水帯の発生が相次ぎました。

“情報の精度 運用開始時の想定と同じ程度”

運用が始まる際に気象庁は、この情報について、過去の事例からみた“的中率”は、全国で2回に1回程度、地方単位ではおよそ4回に1回程度にとどまり、情報が出ない中で線状降水帯が発生するいわゆる“見逃し”はおよそ3回に2回程度としていました。

その上で気象庁は今回の結果について、情報の精度は運用を開始したときの想定とおおむね同じ程度だったとする一方、特に東北など線状降水帯の発生事例が少ない地域を中心に予測が難しかったと分析しています。

“今後も危機感を高めるために活用を”

気象庁 長谷川直之長官(11月16日会見)
「今のままの精度では改善の余地があるので、総力をあげて精度の向上に力を注ぎたい。ただ、予測の情報が出たときは線状降水帯が発生しなかったとしても大雨になるケースが多く、今後も危機感を高めるために活用してほしい」

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