気象庁は6日「関東甲信が梅雨入りしたとみられる」と発表しました。これから大雨が発生しやすい季節です。
千葉県の房総半島中部を流れる一宮川は3年前の豪雨で、流域に大きな被害をもたらしました。命を守る3つのポイントをお伝えします。
(千葉放送局/記者 櫻井慎太郎)
千葉県茂原市や長柄町など6つの市町村を流れる全長30キロ余りの一宮川。特に人口が多い中流域では、支流が集まるため増水しやすくなっています。
3年前の豪雨では、この中流域を中心に4300世帯余りが浸水し、7人が犠牲になりました。被害の大きかった茂原市では今、およそ4キロにわたり護岸の工事が行われていますが、3年前を超える豪雨が降れば、再び氾濫するおそれがあります。
一宮川で命を守るポイントの1つめは、「『早野観測所』の水位に注意」です。
茂原市にある早野観測所は、2つの大きな支流が合流したすぐ下流に位置し、増水の状況が最も分かりやすい場所です。避難指示の目安となっている水位が設定された観測所となっています。
3年前の豪雨の水位上昇のデータです。水位が上がり始めてからおよそ10時間後に、堤防の高さを越えたとみられることがわかります。観測所には監視カメラも設置され、国土交通省のサイト「川の防災情報」などで確認できます。
命を守るポイントの2つめは、「『水上観測所』の雨量も確認を」です。上流の雨量を確認することも重要です。長柄町にある「水上」の雨量観測所。
3年前の豪雨では、上流にある「水上」の雨量がピークとなったおよそ8時間後に、川下にある「早野」の水位がピークを迎えました。危険にいち早く気づくポイントになります。
命を守る3つめは、「車での移動を控える」です。3年前の豪雨では、車で移動していたとみられる4人が亡くなっています。
東京理科大学の二瓶泰雄教授が実施した実験です。30センチ程度の水位でも、水が入り込んでエンジンが動かなくなり、車が浮力を持つため流されてしまうおそれがあると指摘しています。
東京理科大学 理工学部 二瓶泰雄教授
「そんなに深くない、まさかこんなところでっていうようなところが被害の場所になり得ますので、雨が降っているときは、不要不急の外出を控えていただくってことがいちばん大事です」
一宮川ではさらに新しい考え方で治水対策が進められています。「流域治水」という考え方です。堤防を高くするなど河川整備だけでなく、水があふれる場所をコントロールして被害を減らしていこうという治水対策です。
上流の長柄町と長南町では、3年前の豪雨と同様の雨が降れば、水があふれる想定で取り組みが進められています。住宅地は小規模な堤防で集中的に守られます。一方、水田などに水はあふれてしまいますが、その分、川の水位を低くすることにつながるのです。
3年前の豪雨を経験した住民は、水田は浸水するおそれがあるものの住宅は守られるとして理解を示しています。
3年前の豪雨を経験 佐川和弘さん
「何とか家が守られるというような対策であれば、我慢できるかなと考えています」
長柄町 建設環境課 松井祐樹主査補
「住民の方々と協力して何か自然に立ち向かうすべを考えて、みんながその考え方を共有していくのが大事だと考えています」
水位が上がりやすい一宮川での命を守る3つのポイントをふまえて早めの避難を心がけることが大事です。