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埼玉・群馬「ひょう」の被害 降りやすい気象条件どんなとき?

  • 2022年6月3日

上空の寒気の影響で関東や東北を中心に大気の状態が非常に不安定になっていて、局地的に激しい雷雨になっています。2日から3日にかけて、関東の各地では、ひょうによる被害が相次ぎました。被害の状況とともに、どんな気象条件の時に、ひょうが降りやすいのかまとめました。

3日 各地で「ひょう」

上の画像は、東京 葛飾区の3日午後の様子です。
3日の関東甲信は、上空にこの時期としては強い寒気が流れ込んでいるため、午前中から局地的に雨雲が発達。
八王子市石川町でも、3日午後0時30分すぎに、激しい雨とともに、ひょうとみられる氷の粒が地面に激しく打ち付けられる様子が確認されました。

投稿した男性
「雷鳴が聞こえたと思ったら雨が降り出した。その後、急に音が大きくなったので外に出るとひょうが降っていて驚いた」

千葉県市川市八幡にある市川市役所の周辺でも、3日午後4時すぎ、急に空が暗くなり、ひょうがおよそ10分間降りました。

ひょうは、直径およそ10センチメートルあるものもあり、激しい音を立てて道路を打ちつけていました。周辺の道路では速度を落として走行する車や近くの建物に入って避難する人たちの姿が見られました。

市役所に避難した女性は「急に暗くなり、ひょうが降り始めたので、あわてて逃げ込みました。びっくりしました」と話していました。

2日 埼玉県北部「ひょう」の被害

上空の寒気などの影響で埼玉県内は、2日午後に大気の状態が非常に不安定になり、北部ではひょうが降りました。

本庄市児玉町の住宅では窓ガラスが数枚割れたほか、ガレージの屋根が破損し駐車していた車のガラスが割れたり車体が傷ついたりする被害が出ました。

住宅に住む60代男性
「ひょうはテニスボールくらいの大きさで庭が一面真っ白になりました。ひょうが降ったときには家にいましたが、とても怖くて外に出られませんでした。ここはほとんど災害がないところなのでびっくりしました」

本庄市は、被害が出た住宅の応急措置に役立ててもらおうと、市役所や支所でブルーシートを配り、訪れた人たちが次々と受け取っていました。

ガラス割れ農業被害も

埼玉県によりますと、ガラスが割れる被害は深谷市と上里町、美里町、神川町でも相次ぎ、本庄市や消防によりますと、本庄市と上里町では割れたガラスで手を切る被害が4件あったということです。

また、県などによりますと上里町の4つの小中学校のほか本庄市と神川町でもそれぞれ小学校1校で窓ガラスが割れ、一部が臨時休校になったということです。
このうち埼玉県上里町の七本木小学校では、校舎の窓ガラスおよそ30枚が割れる被害が出ました。

七本木小学校 福島実校長
「被害を受けた教室や廊下、庭などを清掃し来週の月曜までには子どもたちが安全に登校できるようにしたい」

このほか神川町の幼稚園の渡り廊下の屋根が破損したということです。

農作物にも被害が出て、上里町では農業用ハウスのシートに穴があいたり突風でシートがめくれたりして、中で栽培していたきゅうりが傷つくなどの被害が出ました。

農家の男性
「ひょうがここまで突き抜けるとは思いませんでした。初めての経験です」

県は、引き続き被害の詳しい状況を調べています。

群馬県でもひょう

大気の状態が不安定になった影響で、群馬県内では、2日の午後6時前から南部で10分から20分ほど激しくひょうが降りました。

藤岡市には被害の連絡や相談が相次ぎ、3日午前10時半の時点で300件を超え、市内の農業用ハウスでは屋根に2センチほどの多くの穴があく被害が出ていました。

また、市内の小学校と中学校1校ずつで窓ガラスが割れたため臨時休校になりました。

被害が出た藤岡第一小学校では校舎とプールの更衣室の窓ガラスが合わせて42枚割れ、午前中から職員が片づけに追われていました。

NHKが県内の各自治体に取材したところ、藤岡市以外に高崎市や安中市でも、市に被害の情報が寄せられていて、群馬県が確認を進めています。

住民の女性
「空が暗くなったと思ったら聞いたことのない銃撃のような音がした。こんなことになるとは思わず、ぼう然としたが、もう開き直るしかない。自然災害には何もできないと感じた」

下校中の生徒けが

群馬県内で2日降ったひょうで、藤岡市教育委員会によりますと、藤岡市の東中学校と西中学校で部活動を終えて下校途中だった生徒、合わせて87人が軽いけがをしたということです。

このうち6人が手足の打撲などの症状を訴え病院で手当てを受けたということです。

これを受けて藤岡市教育委員会は3日、市内16のすべての小中学校に対して、定期的に雷など気候の変化に気をつけることや、状況に応じて屋内への退避や下校時間を早めるなどの対応を行うよう通知を出したということです。

藤岡市教育委員会のコメント
「けがをした生徒に対して大変申し訳なく思います。学校側もレーダーで確認するなど気候の変化に考慮し下校時間を早める対応を行いましたが、なかなか判断が難しい状況でした。学校に対しては引き続き、子どもの安全を確保できるよう天候に注視すること、また、子どもたちにも避難を行うなどみずからの身を守る行動をとることなど指導をしていきたい」

「ひょう」降りやすい状況

気象庁によりますと、「ひょう」は、発達した積乱雲の中でできる直径5ミリ以上の氷の粒で、雲の中で上昇気流に持ち上げられて漂う間に氷の粒どうしやまわりの水滴がくっつき大きくなります。
そして、上昇気流が支えきれない重さになると、地上に降ってきます。

気象庁の解析では、2日夕方、群馬県南部や埼玉県北部で発達した積乱雲は高いところで上空13キロ以上に達していたとみられるということです。

上昇気流が強いため「ひょう」が降りやすく、かつ、大きくなりやすかった状況だとしています。また、群馬県南部付近ではひょうが降りやすい気象条件もそろっていたということです。

群馬県藤岡市に近い伊勢崎市では、2日日中の最高気温は30.1度と真夏日となりました。
加えて、群馬県など、関東北部にはこの時期としては強い寒気も流れ込んでいて、大気の状態が非常に不安定になっていたということです。

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