東京都は、10年ぶりとなる首都直下地震などの被害想定の見直しで、南海トラフの巨大地震によって東京の島しょ部で想定される主に津波による被害も明らかにしました。最大でおよそ950人が亡くなると想定しています。最も大きな被害が出ると想定されたのは新島。どのような備えをしているのでしょうか?
被害想定が出されたのは、東京都の伊豆諸島と小笠原諸島の11の島です。
想定ではマグニチュード9クラスの南海トラフの巨大地震によって式根島に地震発生後、およそ14分で最大で高さ28メートル、新島と神津島におよそ17分で最大で高さ27メートルの津波が押し寄せるとしています。
そのほかの島でも津波の高さは最大で7メートルから17メートルに達するとしています。
島の津波の高さや到達時間は、次の通りです。
被害想定 | ||
---|---|---|
最大津波高 | 到達時間 | |
大島 | 約16m | 約23分 |
利島 | 約17m | 約19分 |
新島 | 約27m | 約17分 |
式根島 | 約28m | 約14分 |
神津島 | 約27m | 約17分 |
三宅島 | 約16m | 約25分 |
御蔵島 | 約7m | 約30分 |
八丈島 | 約17m | 約32分 |
青ヶ島 | 約14m | 約36分 |
父島 | 約15m | 約126分 |
母島 | 約16m | 約108分 |
主に津波の被害で最大1260棟の建物が全壊するほか、冬の早朝に発生したときは最大およそ950人が亡くなると想定しています。
死者の想定は前回・10年前の想定の半数近くに減りました。
これについて、都は、住民へのアンケート調査の結果などから、避難に対する意識が高まっているためとしています。
このほか、航路が利用できなくなり島の外からの燃料供給が途絶えることで、ディーゼル発電所がストップして停電が発生したり、車やバスが長期間、利用できなくなる恐れがあるとしています。
また、海底通信ケーブルが断絶し通信が途絶える恐れも想定されています。
今回の想定で島しょ部のなかで最も大きな被害が出るとされた新島。
今回、見直された想定で、新島村の新島では、津波によって最大で800人あまりが死亡し、およそ750棟が全壊するとされていて、島しょ部のなかでも最も大きな被害が出るとされています。
新島村の前田総務課長は、見直された想定についてまずは都から説明を受けた上で、必要な対応を検討していく考えを示しました。
東京都からまだ説明を受けていないので、今後、詳細を確認したい。
新島村では、前回、10年前の想定を受けて、避難を誘導する標識を設置したり、津波避難タワーを建設したりして対策を進めてきたということです。
さらに、津波などによって物資の供給が不足する事態に備えて、日頃から、島民に対して1週間分の水や食料の備蓄を呼びかけているということです。
前田総務課長
「今回の想定内容を、今年度中に見直す地域防災計画に反映させるほか必要に応じて新たな避難所の設置などを検討する。また、新型コロナウイルスの影響で島民が参加する避難訓練も中断していたが、ことしから再開したい」
〇観光客への対応
「港や海水浴場には避難の誘導標識を設けているしハザードマップも島内各地に配っている。災害がいつ起きるかは分からないが、対策を講じている」