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3.11 東日本大震災から11年 “東京五輪・パラに福島県のひまわりを”

  • 2022年3月9日

福島県のひまわり。東京オリンピック・パラリンピックで、都庁に聖火を迎えた日、たくさんの福島のひまわりが用意されました。
「福島に寄り添っていたい」
そこには現地に駐在している都庁職員の思いがありました。
(首都圏局/記者 稲田清)

“被災地の今を知りたい”

東京都は都道府県では唯一、今も福島県に現地事務所を置いて支援にあたっています。
福島市にある東京都の被災地支援事務所で働く深作直哉さん(39)は去年4月、被災地の今を直接知りたいと希望して赴任しました。

深作直哉さん
「私たち首都圏に住む人は福島にこれまでお世話になってきた恩義があります。東京を代表して、都の職員が福島に寄り添うということが、いちばん大事なのではないでしょうか」

赴任後、県内各地に足を運ぼうと考えていた深作さんでしたが、新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言などの影響で活動は大幅に制限されました。

中間貯蔵施設で上司と

原発のある沿岸部で、関係者から直接話を聞けたのは半年近くたったころでした。除染で出た廃棄物を保管する中間貯蔵施設を訪れたのが初めてでした。

コロナ禍で思うように活動できないなか、できることを探そうと、福島県庁に足しげく通いました。そこで手がけたのが、東京オリンピック・パラリンピックで福島県産のひまわりを使うことでした。

時間も限られるなか、これまでの関係をもとに福島県に協力を仰ぐなどして奔走し、1週間余りで1300本を用意することができました。目標を大きく上回る本数でした。

深作直哉さん
「これは本当に一生忘れない仕事かなと思いました。福島の皆さんの思いが込められている花を見て感慨を深く感じました」

“福島のことを忘れないでほしい”

深作さんは3月、任期を終えて東京に戻ることになりました。福島の事務所と都庁を結んだリモート会議で、4月から新たに派遣される予定の職員に地震、津波、原発事故、それに風評被害を忘れないでほしいと訴えました。

深作直哉さん
「福島県のみなさまが『福島のことをもっと知ってほしい』というスタンスなので、都の職員もネガティブな気持ちではなく、ポジティブな気持ちで福島固有の原発事故、風評被害の払拭(ふっしょく)に全力を尽くしていただけると、と思います。やはり、いまもなお復興途上で、われわれ東京都が果たすべき仕事が、まだあると痛感しています。福島が東京都へ支援を求めているかぎりは、やり続ける意味はあると私は思っています」

東京都 支援活動を続けることに

東京都は、東日本大震災が発生した直後に、福島、宮城、岩手の3つの県に現地事務所を設けました。その後、復興に一定のめどがたったとして、岩手県の事務所は2016年に、宮城県の事務所は2019年にいずれも廃止しました。ただ、福島県については津波や原発事故からの復興でいまも支援を続ける必要があるとして当面は、活動を続ける方針です。

また、東京都は、現地の事務所のほかに福島県や県内の自治体に応援職員の派遣を続けています。

今年度・令和3年度は14人を派遣していて、来年度も12人が派遣される予定です。
4月から現地に赴く予定の職員の多くはみずから希望したということで、都は当面、支援活動を続けたいとしています。

  • 稲田 清

    首都圏局 記者

    稲田 清

    2004年入局。鹿児島・福島・政治部を経て現在は都庁担当。 福島では震災復興からアニメ、お笑いまで幅広く取材した。

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