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消火器の使用期限切れに注意 いざという時に破裂のおそれも

  • 2021年2月12日

底がさびて抜け、穴が開いてしまった筒状の容器。使用中に底が抜けた消火器です。腐食が進んだ消火器を使うと、中の圧力に耐えきれず破裂し、死亡事故につながるおそれもあるそうです。
「家にある消火器は大丈夫?」
古くなった消火器は、どこを見ればまだ使えるかわかるのでしょうか。取材しました。
(アナウンサー 内藤雄介)

きっかけは、中継でした

今回の記事は、阪神・淡路大震災から26年になろうという1月に、私がテレビで担当した中継がきっかけでした。NHKの昼過ぎの情報番組「ごごナマ」で、東京・墨田区の本所防災館から、地震からの火事が広がるのを防ぐため、小さいうちに消し止める「初期消火」の大切さを訴えたのです。その際、初期消火に欠かせない消火器について「家庭用消火器の使用期限はおよそ5年です。ご自宅の消火器は大丈夫ですか?」と呼びかけました。

放送後 意外な反応が…

放送から1時間後、まず知り合いの千葉県在住の男性から、SNSでこんな連絡が入りました。

「我が家の消火器をチェックしたら、製造年が2000年、注意書きに8年経過したものは使用しない事と書いてある(汗)」

 

その後、都内在住の女性からは、こんな写真も。

「我が家には、スゴい物がありました(汗)簡易消火器(天ぷら火災用)で、缶裏には2000.1と印字されています。この埃まみれの汚れ、サビ具合、かなりヤバイですよ(笑)」

 

缶裏の2000年1月というのは、品質保証期間。なんと20年以上過ぎています。

底のほうを見ると、かなり腐食が進んでいます。

写真のものは、正確には「エアゾール式簡易消火具」と呼ばれるもので、消火器ではありません。
しかし、腐食が進むと破裂する恐れが無いとは言えません。台所は水気が多い場所だけに、腐食も進みやすいのです。

ここに至って私は、初期消火の大切さもさることながら「消火器の期限切れ」についても、詳しくお伝えした方がよかったのではないかと思い、この記事書きました。

家庭用は自主的に点検しないといけません

そもそも、家庭にはどのくらい消火器があるのでしょうか。実は消火器の設置には2種類あります。
事業所や店舗、工場、マンションなどには法令で設置が義務付けられていて、半年に一回の点検も義務付けられています。

一方、一戸建てなどの一般住宅では設置は義務ではなく、任意です。逆に言えば、自主的に点検しないと使用期限が切れた消火器を持ち続けてしまうことになります。東京消防庁が、平成30年に都内を対象に調べたところ、一般家庭での消火器の保有率は34.2%でした。

私にメッセージを寄せてくれたのは、消火への意識が高い家庭ということになります。でも期限が切れていて、いざというときに役立たなかったら、せっかくの備えがもったいないですよね。

家庭用の消火器どう管理したらいいの?

中継にも協力してくれた東京都墨田区・本所防災館の田村 等 副館長に聞きました。

Q.消火器の期限が切れるとどうなりますか?

外側の腐食が進んでしまうと、中に湿気が入り薬剤が固まってしまうことがあります。すると、いざというときに消火剤が出なくなります。 

まず、「火事だー!」と慌てて消火器を持ってきても、消火剤が出てこないということが恐ろしいですよね。さらに万が一の備えなのに、そのタイミングで役に立たないという…。ゾッとします。

そして、田村さんが見せてくれたのが、冒頭の写真。破裂して底が抜けてしまった古い消火器です。

Q.安全を守るための消火器が、凶器になってしまうおそれがある?

消火器はレバーを握ると高圧で内部の消火剤を押し出す仕組みになっているのですが、年月が 経って本体容器の腐食が進むと、圧力に耐えられず底が抜けることがあるのです。その際、激しく吹きとんだ消火器が頭に当たるなどして使用者が大けが、最悪の場合は死亡してしまう事故が過去に何件も発生しています。

5年間で破裂事故10件 1件は死亡事故

総務省消防庁の発表では、平成25年までの5年間で消火器の破裂事故は少なくとも10件発生し、うち1件は死亡事故になりました。
最近作られたものは破裂しにくい「蓄圧式」の消火器がほとんどですが、10年以上前までは「加圧式」という、老朽化の状況によって破裂する恐れのあるものが主流でした。ここポイントです。

古くなった消火器はどこで判断? 

Q.では、自宅に消火器がある場合、破裂の危険性はどこで判断したらいいのでしょうか?

消火器の多くには、本体容器側面に使用期限が記されています。基本的には期限切れの消火器は使用しないようにしてください。そして期限内でも、雨水がかかる・湿気が多い、潮風が当たるなど、設置場所や状況によっては老朽化が早く進みます。期限内外に関わらず、容器上下の溶接部がさびていたり、側面に傷や変形が生じていたりするものは破裂の恐れがありますので絶対に使用しないでください。

処分方法は

Q.期限切れの消火器はどう処分したらいいのでしょうか?

現在、消火器はリサイクルすることになっていて、ゴミ回収などでは処分できません。消火器を取り扱っているお店などに持ち込んで引き取ってもらってください。また、郵送で引き取ってもらえるサービスもあります。詳しくは、「消火器リサイクル推進センター」にお問い合わせください。

Q.では、エアゾール式簡易消火具の処分はどうすればよいでしょうか?

消火器と違って製品ごとに処分方法が異なります。容器の表示を確認し、ゴミとして処分することができる場合は各自治体の方法に従い、不明の場合はメーカーのホームページで確認してください。ただし、先ほどの写真のような容器の腐食が進んだものは危険です。できるだけ触れず、製造メーカーにお問い合わせください。

家庭用の消火器具をお持ちの方、この機会に改めて使用期限の確認をお願いします。そして、使用期限が切れたもの、腐食などの劣化が進んでいるものは使用せず、速やかに交換するようにしてください!
 

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