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台風19号(2019年)の被害・死者 いまも続く影響をデータで見る

  • 2020年10月12日

去年の台風19号から1年。関東甲信越では、「災害関連死」も含めた死者・行方不明者が50人を超え、この数十年で最大規模の水害となったことが改めて明らかになってきました。今も続く深刻な被災の実態を、都県ごとのデータで見ていきます。
(関東甲信越各局 台風19号取材班)

死者・不明者51人 最も多いのは神奈川県

去年の台風19号では、関東甲信越の各地で一級河川の氾濫や内水氾濫の被害が相次いだほか、土砂崩れも各地で発生し、甚大な被害が出ました。
あれから1年。各自治体に取材すると、関東甲信越の死者・行方不明者は8の都県で、51人にのぼっていたことがわかりました。その内訳です。

死者・行方不明者
神奈川17人、長野15人、埼玉・群馬・栃木4人、東京・茨城3人、千葉1人

最も多いのが、神奈川県です。相模原市緑区で土砂崩れが相次ぎ、住宅が巻き込まれたり一家4人が川に転落したりしました。川崎市の沖合では、外国籍の乗組員が乗ったパナマ船籍の貨物船が沈没し、8人が死亡しています。

沈没した貨物船の捜索

「関連死」13人 いったい何が?

次に多かったのが、長野県。千曲川の氾濫などによる直接的な被害で亡くなった人が5人。それに加え、10人が、災害後に亡くなる「災害関連死」に認定されています。

堤防が決壊した千曲川

この「災害関連死」に認定された人は東京都で2人、埼玉県でも1人いて、3都県で13人にのぼります。いったい何が起きているのでしょうか?

長野県で先月、「災害関連死」に認定された1人、長野市の80代の女性の場合です。市によりますと、被災したあとに訪問介護が受けられなくなったり、避難先を転々としたりして生活環境が変化し、体力が低下して死亡しました。

ほかにも、避難生活など生活環境の変化で肉体的・精神的な疲労がたまり、亡くなった人が相次いでいるということです。今後、新たな死者を出さないためにも、避難生活を続けている人への継続的な支援が求められています。

「仮住まい」の人は3949人も

仮住まいを続けている人は、どれくれいいるのでしょうか。
次の地図は、仮設住宅やいわゆる「みなし仮設」、それに公営住宅での暮らしを余儀なくされている人です。

仮設などで暮らす人
長野1781人、千葉1403人、栃木344人、埼玉164人、茨城139人、東京77人、神奈川32人、群馬9人

自宅を再建できず「仮住まい」の生活を続ける人が、あわせて3949人にのぼっているのです。千曲川の氾濫で広域が浸水した長野県や、台風15号の暴風による被災に台風19号の大雨が追い打ちをかけた千葉県だけでなく、栃木に埼玉、茨城、東京、それに群馬と広い範囲で、今も多くの方が避難生活を続けている深刻な被災の実態が明らかになりました。

コロナ禍の影響も 今、支援を考えよう

ただでさえ深刻な被災地の現状に加えて、取材班が被災地を回ると、復旧復興を妨げる要因のひとつとして新型コロナウイルスの影響をよく耳にします。生活再建を担う建設業者や、その後押しをするボランティアなどが、被災地に入りにくくなったと言うのです。

取材やデータを通して見えてきた、今も続く台風19号の深刻な被災の実態。それは、私たちの住むすぐそばに被災地があり、もしかしたらすぐそばに被災者がいるかもしれないということです。あれから1年がたつ今こそ、必要な支援を考えて実行に移していくことが大切だと感じます。
 

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