自宅で被災したとき、突然トイレが使用できなくなることがあります。
そういった時役立つのが、水が無くても使用できる「備蓄トイレ」。必要な数、使い方のコツなど事前に知っておきたいポイントを紹介します。
取材後、我が家も備蓄トイレを備えました。実際に備えてみてさまざま気づくことがありました。
(内藤雄介アナウンサー)
災害時の備えと言えば、水・食料は準備していても、トイレまでは備えていなかった、という方は多いのでは?
トイレメーカーなどで作る日本トイレ協会の調査によれば、およそ85%の人が自宅に非常時のトイレを備えていないとのことです。
いざというときトイレの備えがないと、トイレに行く回数を減らそうとするあまり水分補給を控えるようになってしまい、熱中症になるなど体調に影響する恐れもあります。
新型コロナウイルスの影響で、避難所での「3密」を避けるため、自宅で安全を確保できる方には「在宅避難」が呼びかけられています。
下水道の処理能力を上回る雨が降ったり、地震で水道管が破損し断水したりすることで、トイレは突然使えなくなります。水・食料に加えて、災害用備蓄トイレも欠かせずに備えましょう。
備蓄トイレ
備蓄トイレとは、水を使わずに袋の中に用を足して捨てることができる「携帯トイレ」です。
こちらのタイプは便器にセットして使うのですが、便座の下にセットするのではなく、便座も覆って使うようにしましょう。
便座を覆って使いましょう
便座にかぶせてないもの(×)と かぶせたもの(○)
用を足す際に便座に飛沫が付着することがあります。その中にはウイルスなどが含まれている恐れもあるので、便座ごと覆えば次に使う人も安心です。
凝固剤を忘れずに!
(凝固剤がついていないタイプのものもあります)
用を足した後は付属の凝固剤を入れ、袋の口を結んで燃えるゴミの日に捨てましょう。
(※お住まいの自治体のルールに従ってください)
夏場や在宅避難が長引いてしまったときを想定して、防臭剤などもあわせて備えておくとよいでしょう。
内閣府は、最低3日分、推奨は1週間分としています。
災害で断水が発生した場合、小学校などの避難所のトイレも使えなくなる恐れがあります。
内閣府は、避難所に仮設トイレが届くまで早くても3日はかかるとしています。それまでは排泄できる環境を自分で確保することが求められています。
日本トイレ協会によると、トイレの平均回数は大人1日5回。
我が家は3人家族なので、備蓄トイレ3日分となると5(回)×3(人)×3(日)で45回分必要になります。
45回分というと「結構多いな」と感じましたが、こちらの備蓄トイレはこの箱の大きさで50回分。
こんなにコンパクトで50回分も!
玄関の下駄箱3分の1ほどで収まりました。
いろいろな種類の備蓄トイレ
備蓄トイレはホームセンターなどで販売されているほか、100円ショップでも扱っています。種類も、液体のみに対応したタイプのものもあります。
備蓄トイレは避難所に避難する際にも持参すると、より安心してトイレを使うことができます。
不特定多数の人が利用する避難所のトイレは、利用者の中に感染している人がいるかもしれません。
新型コロナウイルスは、便の中にも含まれています。
仮設トイレは少量の水を有効利用して勢いよく流す仕組みになっているため、一般の洋式トイレより水が飛び散りやすくなっています。
そこで、持ち出し用防災グッズの中にも備蓄トイレを入れておくことで、感染リスクを減らすことができます。自分自身の安全を守るほか、具合が悪いと感じたときは、次に使う人やくみ取る人への配慮として仮設トイレに備蓄トイレをセットして使いましょう。
さらに、除菌シートも備えておくと、仮設トイレを利用する際にはドアノブやペーパーホルダーのふたなど、人の手が触れるところを拭いてから使用することができます。
日本トイレ協会の調査によると、備蓄トイレを備えているという家庭はわずか15.5%。
8割以上(※)の人が家にトイレの備えがないということになります。(※首都直下地震や南海トラフ地震で大きな被害が予想される1都9県の住民を対象にしたアンケート)
私も、取材をするまでは水、食料は備えていましたが、トイレはありませんでした。
実際に備えてみると、思ったよりずっと場所をとらずに備えることができました。
コロナ禍で避難所への避難に不安を感じる方もいると思います。いざというときにより安心してトイレを使うことができるよう、改めてトイレの備えについて、家族と一緒に確認するのが大事だと思いました。
●30秒でわかる「防災備蓄トイレ」4ポイント【動画】
●内藤アナが取材「災害時のトイレの備え」入門編【動画】