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西武ライオンズが整形外科クリニック プロスポーツチームがなぜ?

  • 2024年04月02日

プロ野球で初めて球団が関わる整形外科クリニックが開設されました。西武ライオンズが帝京大学や民間企業と協力して実現したものです。プロスポーツチームが関わるクリニックが増えてきています。

(さいたま放送局記者/海老原悠太)

球場のすぐそばに整形外科クリニックが

所沢市にある西武ライオンズの本拠地、ベルーナドーム。
そこから200メートルほどの場所に「ライオンズ整形外科クリニック」が開設されました。

4月1日のオープンに先立って選手や関係者を招いて内覧会が、3月26日に開かれました。

クリニックの説明を受ける選手

球団によりますと、プロ野球の球団が整形外科クリニックの開設に携わるのは、これが初めて。最新のMRIなど診察や治療に使われる機械だけではなく、リハビリルームには最新のトレーニングや計測の機器が備えられています。

体験する増田投手

増田達至投手が体験しているのは「レッグプレス」というトレーニングマシンですが、下半身の筋力やスピード、パワーなどを計測できるようになっています。データを解析することで、リハビリをしながら競技復帰の時期を見極めることができるということです。

源田選手はビデオ動作解析を体験

源田壮亮選手は「フォースプレート ビデオ動作解析システム」を体験しました。体の動きをセンサーで計測したデータとともに、カメラで撮影した映像を合わせることで、三次元の動作解析ができるものです。体の動きを数値化することで、けがの前の状態と比較したり、回復具合を確かめたりできるということです。

こうした最先端の機器を備えることで、けがの治療からリハビリ、トレーニングまで一貫して患者を支える体制をとっています。

松井稼頭央 監督
「これまではナイターで遅くなると検査がなかなか難しかったかもしれないですが、クリニックが近くにできたので、必要な時にすぐに診てもらえるのは心強いです」

源田壮亮 選手
「ここを利用する機会がないことが一番いいことだと思うんですけど、選手にとっては、こういう環境があるので思い切ってプレーできますし、すごく安心感が増しました。最先端の機器もあるので、トレーニングに活用できるところは活用したいです」

選手のためだけではなく

このクリニック、ライオンズのチームドクターでもある帝京大学スポーツ医科学センターの医師や理学療法士などが、住民やアマチュア選手など一般の患者にも対応します。

最大の特徴は、トップアスリートの治療などで培ったノウハウを生かして、医療やリハビリのサービスを提供することです。
野球のピッチングの際に、球速や回転数、回転軸、リリースポイントの位置などを計測できる最新機器も導入しました。プロ野球やアマチュア野球の強豪チームなどが活用しているものですが、ひじや肩に故障を抱える少年野球の選手もリハビリで利用できます。

ライオンズ整形外科クリニック 増田裕也 院長
「信頼される医療機関になりたいと思っているので、痛みがあったら来てもらって一人一人に丁寧に対応していきたいです。最終的にはクリニックのファンになってもらって、クリニックのファンが治療後にライオンズの試合を見に行こうかという形になれればいいかなと思っています」

相次ぐプロチームによるクリニック開設

いま、プロスポーツチームによる医療機関の開設が相次いでいます。

ラグビーのリーグワン「埼玉パナソニックワイルドナイツ」は、おととし埼玉県熊谷市に「ワイルドナイツクリニック」を開設しました。

スポーツ医療を専門とする医師やスタッフが、地域の高齢者やけがに悩む学生の診察にあたっています。

利用者

「いろいろな器具があるし、先生も丁寧な診察をしてくれます」

利用者

「20年ほど足のしびれに悩まされていたけど、だいぶよくなっています。
身近にこういったクリニックがあるのは、ありがたいですよね」

地元のラグビーチームに所属する高校3年生(取材時)の九鬼苺花さんは1年ほど前、試合中に右ひざのじん帯を損傷しました。このクリニックで治療を受けながらプレーを続け、去年の秋、全国大会に出場したあと手術を受けました。

手術のあとも理学療法士にマンツーマンでサポートを受けながら、リハビリとトレーニングに励んでいます。

九鬼さんは4月から大学に進み、プレーを続けることにしていて、夏の本格的な復帰を目指しています。

九鬼苺花さん
「全国大会に出るために厳しいトレーニングやケアもしっかりとやってくれて、筋力も向上できてよかったと思います。大学でもけがなくラグビーを続けていきたいです」

ワイルドナイツクリニックは、アスリートへの治療だけでなく、高齢者を対象に運動機能が低下しないための介護予防の講習会や、子供たちを対象にした「かけっこ教室」なども開いて、地域の健康づくりに取り組んでいます。

ワイルドナイツクリニック 立花陽明 院長
「専門的な理学療法士がマンツーマンでついて、リハビリができる施設はなかなかないと思います。アスリートを万全の状態で早く復帰させるにはどうすればよいか、培ってきたノウハウを地域社会の人たちにも生かして診療しています」

ワイルドナイツクリニックを利用した患者は去年1年間で延べ2万3000人あまりにのぼります。

こうしたクリニックはサッカーJ1の鹿島アントラーズも2015年に設けていて、地域のスポーツ医療にかかせない存在になっているといいます。

地域に根付いたプロスポーツチームに

西武ライオンズも、こうしたクリニックの運営を通じて、地域により広く貢献していきたいと考えています。

西武ライオンズ 後藤高志オーナー
「地域に貢献するということも1つの大きな目的であると承知しているので、野球ばかりではなく、それ以外のスポーツも含めて、スポーツの持つ力を最大限に生かして日本全体を元気にしていきたいです」

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