特殊詐欺を少しでも減らしたい!立ち上がったのは所沢市の高校生です。生徒たちが警察と協力して作ったのはすごろく。被害を防ぐためのポイントが満載です。その内容とは?
(さいたま局・記者 海老原悠太)
被害があとをたたない特殊詐欺。埼玉県警によりますと、去年の被害金額は30億9000万円。前の年に比べて1億7000万円増え、増加傾向だということです。
被害を少しでも減らしたい!立ち上がったのは、所沢市にある県立所沢西高校の生徒たちです。去年12月、所沢警察署の協力を得てアイデアを出し合いました。
「私が考えるのはすごろくです。年末年始とか、親戚同士が集まるときに子どもとおじいちゃんやおばあちゃんがすごろくをやれば、家族一緒に学べるかなと思いました」
「自分が歩く形にするのか、ボード上ですごろくをするのか、
どうしますか?」
「どちらも楽しそうだけど、体育館みたいな大きな場所で自分で動いたほうが楽しそうですね。自分も移動しながら体感的に学べるので、知識が身につきやすいかなと思います」
生徒からは、ふだんの暮らしを起点にしたアイデアが次々に出てきます。
「私は日めくりカレンダーを作りたいです。自分のおばあちゃんは、電話機の近くにカレンダーを置いているので、特殊詐欺の電話がかかってきた時に目に入り、被害を防ぐのに役立つかもしれないと思いました」
「日めくりだと365日分のネタを考えないといけないから大変ですね(笑)。
月ごとのカレンダーはどうですか?」
生徒からは、折り紙セットに特殊詐欺への注意を呼びかけるチラシを入れる案や、孫と一緒に遊びながら特殊詐欺の被害防止を学べるカルタを作る案などが提案されました。最終的に、すごろくとカレンダーが選ばれました。
およそ2か月、試行錯誤を繰り返して完成させた特殊詐欺被害防止すごろく。
参加した人は「現金100万円」と「キャッシュカード」を持ってスタート。
ゴールしたときに「所持金」が最も多い人が勝ちというルールです。
床に並べられたたくさんのマス。詐欺グループの典型的な手口が書き込まれています。
被害を防ぐための重要なポイントが書かれたマスも。
被害を防ぐ行動で、「所持金」のアップも!
途中には、詐欺を防ぐのに必要なクイズの関門も。皆さん、答えはどれか分かりますか?
問題
「特殊詐欺被害を防ぐには家族で合言葉を決めることが大切です。次のうち、適切では無い合言葉はどれですか?
答えは ①自分の生年月日 でした。
詐欺グループは、生年月日などの個人情報を不正に入手した上で、家族をかたってうその電話をしてくることが多いです。このため、電話をかけてきている相手が、家族本人かどうかを確認する合言葉としては不適切です。合言葉は、家族しか知り得ないものにするのが被害を防ぐために重要です。
マスのなかには、警察官を装う犯人が自宅を訪れてお金をだましとろうとするものも。
しかし、参加者は犯人の誘いをきっぱりと断り、被害を免れていました
参加した人たちはすごろくを通じて、特殊詐欺の注意点や被害を防ぐポイントを学んでいました。
「楽しみながら詐欺に対する対処のしかたを学ぶことができました。
ふだんの生活の中でも、気をつけたいと思います」
「想像していたより皆さんが楽しんでくれてよかったです。
周りの友人や家族にも対策が広がればと思います」
すごろくのほかにも、生徒たち自らが考えたイラストと被害防止をよびかけるメッセージがデザインされたカレンダーを参加した人たちに配りました。
所沢署は、高校生が作ったすごろくやカレンダーを通じて、特殊詐欺の被害防止に取り組むことにしています。
所沢警察署 日向昇一生活安全課長
「一緒に体験しながら学ぶことで、ご高齢の方がだまされないようになるだけでなく、若い人たちが自分たちが守るんだという意識をもってもらえました。各世代で防犯力を高めることにつながったと思いますし、この取り組みを各家庭に持って帰ってもらい『家族の絆』で被害を防いでもらえればと思います」