埼玉県川越市で、家族の思い出を1冊にまとめる取り組みをしている女性がいます。大切にしているのは‘家族の時間’です。
歩んできた人生が一目でわかる年表や、家族のつながりを表した家系図。思い出の写真とそのエピソードなど。
こちらは「きおくあつめブック」と名付けられた本。家族の歴史とアルバムをかけあわせた、「家族史アルバム」です。
作ったのは、田島由衣香さん。普段は川越市でデザイン事務所を営んでいます。
田島さんは、自身や家族の人生にもっと向き合う機会を作ってほしいと、2年前から、セミナーやワークショップを無料で開いています。
みなさんには、ぜひ、思いをちゃんと家族に伝えておいてほしいですね。
その背景には祖父との別れがありました。
田島由衣香さん
「私おじいちゃん大好きだったんですよね。亡くなった時に葬儀で写真とか飾るじゃないですか。ほとんど私が知らないおじいちゃんで、私は何にも知らないまま、お別れをしてしまったっていうのが悔しくって。
(父に)おじいちゃんの写真を見ながらいろいろ話を聞かせてもらったら、全然知らないことばっかりで、じゃあ、それを1冊にまとめてみようかって」
こうして誕生した家族史アルバムは、長寿のお祝いや、結婚式の贈答品、ペットとの思い出アルバムなど、様々な場面で活用されています。
アルバムをつくる上で最も大切にしているのは、家族にじっくりと話をきく、インタビュー取材の時間です。
この日インタビューを受けたのは、さいたま市に住む西浜さん夫婦。娘たちが、両親への感謝の気持ちを贈り物にしようと依頼しました。
両親が歳とってきて、いろんなこと聞いてないなというのがあって。何か形にできたらいいなと。
過去の写真を用意してもらい、じっくりと話を聞きます。そこで飛び出したのは両親のプロポーズでのエピソード。
浦和の別所沼公園で、花束手に持ってるのよ~
これまで聞いたことがなかった話に娘たちも大盛り上がり。田島さんという第三者が入ることで、様々な思い出が引き出されていきます。夫婦の懐かしい記憶が蘇ってきました。
ありがとう、感謝します。
インタビューのあとは編集作業。家族の姿そのものを文字やデザインに落とし込んでいきます。
取材中に感じた空気感や、読んでいる人がその場にいるような気持ちになれる編集のしかたみたいなものを意識しています。
インタビューからおよそ1か月後。ついに家族史アルバムが完成、お披露目の日がやってきました。
初めてで最後の大きなプレゼントです
もう泣けちゃうよ…。ほら!こうくん(※お孫さんの名前)いたよ~。
写真入りの家系図に孫たちも興味深々。家族がつながってきたことを実感できる瞬間です。
大きくなってからもおじいちゃん、おばあちゃんは、こうだったんだよって見返せていいなと。
作る工程もみんなで記憶をたどるということでよかった。
人生の明るいほうの終活になって大満足。
思い出の「記憶」を「記録」に。
家族それぞれの大切な記憶が形となってこれからも受け継がれていきます。
アルバムを依頼するのは有料ですが、アルバムの作り方などを教えるワークショップは、材料費のみで開いているということです。
3月には川越まちゼミというイベントでも開催予定です。