サッカー女子のパリオリンピックの出場権をかけた最終予選、北朝鮮戦が24,28日に開かれます。その代表を率いているのがJリーグ創生期に浦和レッズでプレーをし、現在は埼玉県在住の池田太さんです。どんな指導や思いで北朝鮮戦に向かうのか伺いました。
(さいたま局 アナウンサー/吉田 一之)
池田太さんは女子代表の監督になって4年目です。2011年のワールドカップ優勝で人気が高まった女子サッカーですが、その後の2016年のリオデジャネイロオリンピックの出場権を逃したことなどから人気が低迷しています。池田さんには、強いなでしこジャパン復活の期待が掛けられています。
やはり女子サッカーの発展ですとか、もっもっと底辺というか競技人口も増やして、女子サッカーをもっと知ってもらいたいし、またやる人も増えてほしいです。
そして応援してくれる人も増えてほしいと言う部分もありますんで、オリンピックというのは、国民の皆さんの熱度、熱量と言うのはやはり多い大会です。なんとしても最終予選勝って勝ち上がってオリンピックの出場権を獲得したいですね。
池田太さんは、埼玉県の武南高校から青山学院大学、浦和レッズでプレーをしました。
池田さんが現役当時の監督やゼネラルマネージャーだったのが横山謙三さんです。1968年のメキシコオリンピックの銅メダリスト、日本代表監督の経験もあるサッカー界のレジェンドです。
横山さんは、2月1日に放送したNHKさいたまのFM番組「ひるどき!さいたまーず」の中で、当時の思いを池田さんに話してくれました。
池田くんは、現役時代には俊敏性みたいなものがなかったこともあって、頭でわかっていても実際のプレーでは出来なかったことがあったと思う。だけどサッカーの話をすると、ものすごい理解力があって、チームに伝えることがうまかった。池田くんは指導にあたるのはふさわしいと、私は現役時代から思っていたよ。
現役時代に、横山さんにそういう風に見ていただいたことを今、知りました。まあ自分は、現役時代はサッカーで一生懸命やる。まあ下手くそだったので、考えてやって、人を動かすのにコーチングしながらやっていました。そんな部分で、指導者って道はどうだってと、横山さんから声をかけていただいて指導の道に入ったものですから。
横山さん、ありがとうございます。
オリンピック最終予選頑張ってな!
ありがとうございます。頑張ります
現役は4年で引退をしましたが、その後の池田さんのコーチ歴は27年になります。高い戦術の理解力を生かし、浦和レッズやアビスパ福岡でコーチを歴任してきました。
実際に指導を始めてみて、いかがでしたか?
ピッチの上で選手たちと目標に向かって切磋琢磨したり作り上げたりしていく毎日です。何かを仲間たちと一緒に作り上げていくということは昔から好きだったので、目標に向かって進んでいく、積み上げていくと言う作業は充実したものですね。
去年の夏のワールドカップではベスト8にとどまりました。パリ・オリンピックに向かう池田さんが取り組む選手のやる気をアップさせる方法がありました。
指導ではどんなことを気を付けていますか?
ものを伝えるときに、どのタイミングで選手に伝えたら、いちばん選手に伝わるかそのタイミングを考え、悩んで発信する事はあります。
選手に良いタイミングで褒めてあげたり声をかけてやると、それに選手が自信を持ってまたそのプレイを続けてくれることがあります。
また逆にタイミング悪く話すとか、ちょっと余計な一言を追加して言っちゃって、そこから話が少しまとまらないこともあるんで伝える量ですとか言葉選びというのは考えますね。
ミーティングでは、試合にスタートから出ない選手を「試合の流れを変える選手」と伝えるそうですが、どんな意図があるのですか?
誰かの代わりと言う感覚ではなくて、自分が出たときにどうチームにプラスになってくれるかが大切です。流れを変える選手かもしれないですし、試合を最後にしめる選手という意味合いの選手も必要です。
私は先発の11人だけでなくチーム全員で試合に臨む考えを選手たちにも示し、途中出場の際の役割を明確にしているんです。
すべての選手が責任感も含めて大切な選手で、スタートが大切じゃなくて、全員チームの一人ひとりが大切だと言うメッセージがそこにはありますね。
オリンピックに向けての取り組みとして、ワールドカップが終わった秋から、ディフェンスを3人から4人に変更されました。
もちろん作戦の引き出しを増やす意味合いもあるのでしょうが、新しいことに取り組むことでチームに刺激を与えてチームを活性化させるという狙いもあるんですか?
新しいものをトライすることによってそれによってまた問題も起きるかもしれないんですけれども、それをチーム内で解決していくって言うことが大切です。チームビルディングじゃないですけれども、そういう試みがあって、自分たちがまたチームが成長できると言うような事は考えていたので達成できたときにはチームとして1つまた成長出来ると思っています。
「人生を決める大舞台」である中学・高校・大学などへの入学試験に臨んでいる受験生やその保護者のみなさんにも参考にしてほしい!と思いました。受験とか大きな節目を迎えている方は参考になりますね。
大きな舞台に臨むときは、そこにたどり着くまでの”最初の気持ち”を思いだして、改めていつものことを繰り返してほしい。そのことで”平常心”を保ち、「重圧をはねのける」ことが出来ると思います。
パリオリンピックを掛けた最終予選はアジアのライバル北朝鮮です。24日がアウェイで、28日が東京国立競技場です。
北朝鮮に向けては何が必要になってきますか?
いろんな想定しないことも起きるかと思うんですよね。気温が低くて、ピッチ状態が凍ってるかもしれないとか、芝の状態がどういう芝なのか、人工芝なのかとかの環境面の対応もあります。
さらに相手が想定してきたような戦い方をしてくるか、こちらがスカウティングして準備して選手と共有していることじゃなくて、何か日本に対して北朝鮮が違うことをやってくるかもしれない。
そういうことに対して動揺しないで、ブレずに今までやってきたことを出していけるか、臨機応変に対応する対応力が大事になってくると思います。
女子サッカー人気復活の為には北朝鮮戦はどんなサッカーを見せることが大切ですか?
まずは選手が”いきいき”と良い表情って言ったらおかしいですけれども、チームのための献身性も含めて大好きなサッカーで世界と戦っている。
良い表情で戦っていると言う姿というのは、選手たちも大事にしてほしいです。そしてそのことで応援してくれる方の心を動かせたら、これからの女子サッカーの発展につながっているって言う風には感じてはいます。
池田監督はどんな心境で試合を迎えることができますか?
どうですかね?その時にどんな心境になっているのか。まあただ自分自身がその試合に”ワクワク”して臨めるような、そういう状態を作っていきたいなとは思っていますね。
選手は”いきいき”と監督は”ワクワク”と臨みたいという北朝鮮戦は、ホームでは28日に東京の国立競技場で行われます。キックオフは午後6時30分です。私たちの応援は必ず選手たちの力になるはずです。応援に一人でも多くの方が行ってほしいと思います。
サッカー女子のパリオリンピックアジア最終予選の北朝鮮戦、NHKの放送予定です。
○サウジアラビアで行われる第1戦は
NHKBSで今月24(土)の午後9時59分から中継で、
総合テレビでは今月25(日)の午前0時30分から録画放送でお伝えします。
○東京の国立競技場で行われる第2戦は、
総合テレビで、今月28(水)の午後6時25分から中継でお伝えします。