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JR川口駅に上野東京ライン停車を 川口市 約400億円の計画案

  • 2024年02月09日

埼玉県川口市はJR京浜東北線の川口駅に、現在は通過している「上野東京ライン」を停車させるため、およそ400億円を負担してホームを新設して駅舎の建て替えなどを行う計画を進めることになりました。

川口駅には現在、京浜東北線のホームしかなく、並行して走る上野東京ラインと湘南新宿ラインの電車は通過しています。

川口市の奥ノ木信夫市長は8日、記者会見を開き、川口駅に新たに上野東京ラインのホームを設けるとともに、駅舎を建て替える計画案を発表しました。
事業費は389億円から431億円を見込んでいて、一部は国の補助を得るものの市が大半を負担する考えで、今後、JR側と協議を進めたうえで最終的な負担額などを決めるとしています。
完成までは12年から16年程度かかると見込まれています。

川口市は、駅の利用者が増えて混雑が激しくなっているなどとして、上野東京ラインなどの中距離電車を停車させて混雑を分散させるよう、JR東日本などに求めていました。

川口市 奥ノ木信夫市長
「都市間競争に勝てるまちづくりが必要で、実現すれば、通勤や通学の利便性向上に加え、他の地域からの来訪も期待できる」

上野東京ライン 悲願の川口停車へ

「上野東京ライン」は、東京・上野間を直通して、埼玉や品川方面を行き来する列車の愛称として使われています。
2015年にJRの上野・東京間のおよそ4キロを結ぶ路線として開業し、宇都宮線、高崎線、常磐線が上野から東京に乗り入れることができるようになりました。
宇都宮線や高崎線は東海道線との直通運転が行われ時間の短縮などにつながっています。

川口市では15年ほど前からJR東日本や国土交通省などに、上野東京ラインや湘南新宿ラインなどの中距離電車を川口駅に停車させるよう、たびたび要望してきました。

2022年3月にはJR東日本なども参加した検討会で「川口駅周辺まちづくりビジョン」を策定し、この中で鉄道輸送力の増強として「中距離電車の停車のためのホームの増設」を取り組み例の一つとして示していました。
2022年11月以降、JR東日本とともにホームを増設するために必要な工事や費用などについて調査を進め、今回、計画案をとりまとめました。

川口市の計画案は

計画案は、現在、公園などがある駅の西口にある市有地に鉄道用地を広げて線路の一部を移し、新たにホームを設けるほか、駅舎も建て替える規模の大きなものです。
改札口は京浜東北線と上野東京ラインのホームの間に設置し、混雑緩和を目指します。

現在、駅の北側にある歩行者用のデッキを拡幅するかなどによって事業費は変わりますが、JR側は389億円から431億円の3つの案を示しています。
市は歩行者デッキと一体で整備することで、駅周辺の公共施設や商業施設への回遊性が高まるとしています。

(川口市発表の資料より)

湘南新宿ラインではなく上野東京ラインの停車を求めた理由について、川口市は、2031年度の開業を目指す「羽田アクセス線」に上野東京ラインが乗り入れる可能性があること、湘南新宿ラインの場合、埼京線と一部で線路を共有するため事故などの際に影響を受けやすく、さらなる本数増加も難しいことを挙げています。

また、事業費の負担割合については今後JR東日本と協議するとしています。
一部は国の補助でまかなうなどして、財政への負担を軽減したいと説明しています。 

混雑緩和 利便性向上への期待

川口市の奥ノ木市長は今回の計画の意義を「都市間競争に勝てるまちづくりが必要だ」と強調しましたが、人口が増えてきた中で川口駅の利用者が増え、混雑が課題となっています。

JR東日本によりますと、川口駅の乗車人数は2022年度、1日平均7万1000人余りで、埼玉県内のJRの駅では大宮駅、浦和駅に続いて3番目に多くなっています。
一方で、京浜東北線しか止まらないため、朝のラッシュ時を中心に混雑が激しく、川口市によりますと事故で運転見合わせになると駅の外まで人があふれることもあるということです。

JRの時刻表をみると、平日朝7時台に京浜東北線の川口駅に停車する上野東京方面行きは22本あります。
これに対して、上野東京ラインは隣の赤羽駅に普通電車14本が停車しています。
仮に、このすべてが川口駅に止まるとすれば 1.6倍に増える計算です。

また、上野東京ラインは並行して走る京浜東北線より停車駅が少ないため、川口市は川口駅への停車が実現すれば東京駅や品川駅までの時間が10分程度短縮するのではと期待しています。

川口市の人たちは

「京浜東北線しか止まらないため、朝は客が集中してしまって駅が混んでいる印象がある。上野東京ラインが通ってくれればうれしい」

「いつも隣の赤羽駅で乗り換えているので、上野東京ラインが通れば、だいぶ楽だと思う。電車を使う機会が増えると思う」

一方、SNS上には「赤羽の人乗れなくなるかな」とか「だったら南浦和に止めてくれた方が」、「遠距離客の所要時間がのびる」といった否定的な声もみられます。

街の魅力向上へ

東京・北区と足立区に隣接する川口市。人口はおよそ60万6000と、県内では、さいたま市に次ぐ多さです。世帯数の増加が続いていることが大きな特徴です。

大手住宅ローン会社の「アルヒ」が融資の実績をもとに、住宅の専門家とともに東京や埼玉、神奈川、千葉から交通の利便性や住環境などの観点から選んだ「本当に住みやすい街大賞2020」と「2021」の2年連続で川口が1位に選ばれました。
理由には、駅周辺の再開発や立地条件のわりに中古マンションの価格が安く、コストパフォーマンスがよいことなどが挙げられています。

JR川口駅周辺では大規模なタワーマンションや商業施設が相次いで建設されていて、市によりますと駅周辺で再開発が完了したり、進められたりしている地区は10に上ります。
総務省が住民基本台帳にもとづいてまとめた人口移動報告では転入が転出を上回る 「転入超過」の人数が、川口市は2023年に2292人と全国で13番目に多くなっています。

川口市は上野東京ラインの停車によって、輸送力やアクセスの改善が期待でき、街の魅力の向上につながるとしています。

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