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「なでしこジャパンは足を止めません」 佐々木則夫元監督が語るチームの礎とは

  • 2024年02月13日

女子サッカーのパリ オリンピック出場権を掛けた最終予選、北朝鮮戦が24日と28日に開かれます。勝ったらオリンピック、負けたら敗退です。
女子サッカーに注目が集まる中、さいたま在住の女子サッカーの名伯楽、なでしこジャパンの元監督、佐々木則夫さんに、今の代表にも繋がる指導への思いとエピソードを伺いました。

(さいたま局アナウンサー/吉田 一之)

なでしこジャパン 佐々木則夫元監督

なでしこジャパンは、2011年のFIFA女子ワールドカップで優勝を果たしました。それを率いたのが佐々木則夫さんです。
その年、FIFA・国際サッカー連盟から女子年間最優秀監督賞も贈られています。
現在も、女子サッカーのとりまとめ役の日本サッカー協会・女子委員長で、普及にも努めています。

子どもたちを指導する佐々木さん
吉田アナ

子どもたちにサッカーを通してどんなことを学んでほしいですか?

佐々木則夫さん

サッカーって足でやるスポーツなので、手でやるスポーツと違ってすぐ成長するのは大変なんですよね。でもコツコツ毎日毎日継続していかなければうまくならないので、やっぱり継続する。そういう、できる楽しさを学ぶためにも、コツコツ、コツコツやるというところの要素ですね。

それと、やはり1人だけではできないのでお互いに関わる楽しさ、もちろん選手だけじゃなくて、指導者とも関わったり、それとプレーの中では、選手間の中でパスしたりそして、お互いに助け合ったりボールがない時も、それも含めてサポートしたりとかね。

それとスポーツですから、やはり動く楽しさが学べるわけですよね。それがやはり体の健康、心身の健康にもつながる訳ですから、これだけの要素が学べるっていうところの中では、サッカーは本当にスポーツの王様だなと思っています。

サラリーマンからプロへ 妻の言葉が背中を押した

佐々木さんは、大宮アルディージャの前身のNTT関東などでプレーをした後、33歳の時にサラリーマンとしてサッカー指導者の道を歩みました。

監督就任時の会見

転機となったのは47歳の時です。日本サッカー協会から、会社を辞めてプロ契約を結んで女子の指導をしないかと声が掛かったのです。

佐々木さんと妻の淳子さん

その時、妻の淳子さんが背中を押してくれました。安定したサラリーマン生活から、結果が求められるプロの世界への転身に佐々木さんには迷いがあったそうです。

佐々木さん
「サラリーマンでやっていたので、そういった意味では、家庭を守るためにやっぱり妻の意見が必要だなと思って相談したんですけれども、もうパパやりなよと背中を押してくれたのは間違いないですね。飛び出していくというか、切り替えるのには非常に勇気づけられましたね」

結果が出なければ解任されてしまう代表監督。そのプレッシャーで悩んだ時にも、淳子さんからの言葉が支えになりました。

佐々木さん
「結果を先に大きくしてしまうと、まぁいい決断とかもできなくなって、そういった要素を妻は感じているのか、もう家族を守るために結果を恐れるんではなくて、あなたらしいチーム作りをしてフランクにあの子たちにサッカーを楽しませたらいいんじゃないって」

「楽しませる」象徴の澤選手

選手にサッカーを楽しませる!それを象徴する選手がいました。

2011年FIFAの最優秀選手賞にも選ばれた澤穂希選手です。
澤選手の長所を伸ばすために、攻撃を中心に行うポジションから守備も求められる位置にコンバートしました。

佐々木さん
「ちょっと後ろ目に下がるだけでも違う。後ろに下がるのが両面(攻撃、守備)を生かせるというところを分析し、彼女の資質を見たときにやることによって、これは全然チームとしても彼女の資質としても2倍にも3倍にもなるんじゃないかなというところをイメージしたときに決断したんですけれども、最初はやはり彼女はそのポジションっていうのは自分には合わないって言うようなイメージがあったんだと思いますね。
良いところの部分は彼女に最初伝えて、実はとウイークなところは後回しに伝えてあげましたね。彼女にもプライドがあると思いますし、そしたら本人も納得していましたね。
この大会(2011年W杯)でも得点王にもボランチでなっているわけですから」

子どもの「良さ」を引き出すために

吉田アナ

澤さんの話を聞いて、親は子どものどんなところを見てやれば、良さを引き出せると思いますか?

佐々木さん

自分(親自身)が持ち合わせしていないから、何かそうじゃ困るなという感じでアプローチが多すぎて、逆に言うとお子さんが拒否してしまうみたいなことにもなってしまうかもしれませんしね。焦らずにしっかとお子さんの悪いところってすぐ見えてきちゃうと思うんですけれど、
やはり良いところをもっともっと見てあげるのも1つなんじゃないかな。

決勝のPK戦 妻の言葉を思い出す

2011年の決勝はペナルティーキック戦にもつれ込みました。佐々木さんが淳子さんの言葉を思い出すシーンがあります。

佐々木さん
「結果を考えすぎるとやっぱりギスギスして悲痛な顔になると思うんですけれども、PKのときにはここまで素晴らしいサッカーをなでしこジャパンの君たちは楽しんだのだから、もう結果をおそれないでやってという言う感覚になったので、僕は円陣組んでるときには多分笑顔だったと思うんです。
ですから、常にそういうようなスタンスで、なでしこジャパンを率いていたというところは、まさしく妻の言葉の体現をしてきた中でのなでしこでの活動だったのかなと思いますけれども」

なでしこジャパン パリオリンピック目指し

こうした佐々木さんが育てた「なでしこ」の遺伝子を継ぐ現在の代表が、パリオリンピック出場を掛けて決戦にのぞみます。
相手は、アジアのライバル北朝鮮。24日、そして28日には東京・国立競技場で行われる予定です。

佐々木さん
「なでしこジャパンはもう足を止めませんから、攻守にわたって本当動き回って戦う姿勢は男子に負けない位の気持ちでやってくれてますので、そういう姿勢を、皆さんに見ていただきたい。ぜひ国立の素晴らしいスタジアムに足を運んでいただいて後押しをしていただきたいと思っております」

北朝鮮戦 NHKの放送予定は

サッカー女子のパリオリンピックアジア最終予選の北朝鮮戦、NHKの放送予定です。

○サウジアラビアで行われる第1戦は
NHKBSで今月24(土)の午後9時59分から中継で、
総合テレビでは今月25(日)の午前0時30分から録画放送でお伝えします。

○東京の国立競技場で行われる第2戦は、
総合テレビで、今月28(水)の午後6時25分から中継でお伝えします。

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