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広がる新しい農業「アクアポニックス=魚養殖×野菜栽培」 さいたま市・千葉県木更津市

社会課題の解決に役立てる動き
  • 2024年1月30日

魚の養殖と野菜の水耕栽培を組み合わせた、新しい農業「アクアポニックス」が注目されています。 いま、この農業を新たな事業として導入する企業や福祉施設が増え、課題解決に役立てられようとしています。この新しい農業が活用される現場を取材しました。

(さいたま局/ディレクター 金田昌也)

農業未経験でも導入可能 新たな栽培システム

アクアポニックスは、魚を育てた水で野菜を栽培する新しい農業です。
魚の排泄物を含んだ水が、微生物の働きによって作物の成長に必要な養分豊富な水に変わります。そして、作物が養分を吸収することで、魚の養殖に適したきれいな水に戻ります。
このサイクルを繰り返す循環型の農業です。

アクアポニックスのシステム図

土を耕したり、肥料を与える必要はありません。水の量や水温などをマニュアル通りに調整すれば農業の経験がない初心者でも栽培できます。

千葉県木更津市の農業施設

千葉県木更津市の農業施設では、高麗にんじんとニシキゴイが育てられています。

高麗にんじん ニシキゴイ

施設を運営している佐藤吏(つかさ)さんは、レスリング元日本代表のアスリートですが、農業未経験ながら、この新しい栽培システムを導入しました。

アクアポニックスを導入した佐藤吏さん

アクアポニックスを導入 佐藤吏さん
「チェックをマニュアル通り行えば、比較的経験がない方でも始めやすいです。あとは、栽培方法も手間がかからないのが大きい」

佐藤さんの会社では、単価の高い観賞用のニシキゴイと高麗にんじんを育てることで、比較的多くの利益が得られるといいます。このようなことから、様々な業種の企業などが導入を進めています。

高齢になった塗装職人のセカンドキャリアに

この施設に視察に来た千葉県で外壁塗装会社を営む鈴木直哉さんは、社員が年をとり体力が衰えても働き続けてもらえるよう、この事業を導入しようと考えています。

アクアポニックス視察の様子

アクアポニックスは、土づくりや草むしりなど、体を酷使する作業が少ないため、高齢者雇用の促進につながると注目されているのです。

外壁塗装会社社長 鈴木直哉さん

外壁塗装会社社長 鈴木直哉さん
「(外壁塗装の仕事は) 重たい作業やキツい作業も行わなければいけないので、ある程度の年齢になると出来なくなる人も出てきます。そういう人でも出来る仕事がないかということで、前向きに検討して取り入れたいと考えています」

福祉作業所で賃金アップの起爆剤に

障害者の賃金を上げようと導入する動きも出てきています。埼玉県の福祉作業所では、今年の夏から高値で売れるニシキゴイとニンニクを育てています。

ニンニクを植え付ける作業

ふだん、この施設では、単純な作業で比較的単価の安い仕事を行なっていますが、アクアポニックスが軌道にのれば、より多くの収入が得られるとみています。
 

社会福祉施設を運営する高橋寛さん

社会福祉施設を運営 高橋寛さん
「内職仕事は、1 時間、我々がやっても 50円とか100円も稼げません。アクアポニックスで高単価なものを育てることで、事業も安定するでしょうし、事業が安定してくれば、施設で働く方々の工賃も上げられると思います」

さらに、アクアポニックスという新たな仕事に挑戦することが、施設で働く皆さんの大きなやりがいになっています。

社会福祉施設を運営 高橋寛さん
「自信を持って、意味のあることを自分たちもやっていると思っている。大切に丁寧に作って、それを購入してくれた人が喜んでくれるようなものができればいいんじゃないかなって思っています」

福祉作業所で今回栽培されたニンニクは、ことし1月にネットで販売され、完売したということです。

アクアポニックスは、企業が空き倉庫を利活用したり、自治体が新しい農業を体験できる観光資源として導入しようとするなど、活用の幅が広がろうとしています。

  • 金田 昌也

    さいたま放送局 ディレクター

    金田 昌也

    今回初めて企画を担当しました。 これからも魅力あふれる埼玉の情報を発信できるよう頑張ります。 

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