直径約20~25cm、重さは約2kg!世界最大級の柑橘類、晩白柚(ばんぺいゆ)が12月から収穫期を迎えています。この晩白柚、埼玉県川口市の農業を盛り上げる新たな作物として期待されています。さらに、地域のお店や工房とタッグを組み、様々な加工品に生まれ変わりながら、その魅力を広めています。
(首都圏局 ディレクター/髙松夕梨子)
青々とした葉の中に映える鮮やかな黄色、そして枝がしなるほどの大きさ!
晩白柚(ばんぺいゆ)という世界最大級の柑橘類です。直径20~25cm、重さは約2kgにもなり、子どもの頭ほどの重さがあります。
マレー半島原産で、日本では温暖な九州地方で多く作られていますが、埼玉県川口市でも生産されています。
特別に一つ収穫させていただきました!
枝から離れた瞬間に、ずしっと重みが伝わってきました。
晩白柚は、お正月飾りとして1か月ほど玄関や床の間に飾って、香りや色を楽しんでからいただくことも多いのだそうです。
この大きな晩白柚、中身はどのようになっているのでしょうか?
晩白柚を育てている髙山甫さん、豊江さんご夫妻に切っていただきました。
包丁を入れると、かんきつの爽やかな香りがいっそう広がります。
みずみずしい大きな果実は、厚く真っ白な「わた」に覆われています。
この「わた」もお砂糖漬けにしたりして、食べられるんですよ。
黄色い外の皮は浴槽に浮かべて晩白柚風呂にするなど、皮も実もすべて余すところなく楽しむことができます。
皮をむき、一房ずつにしたものがこちら。実がぎっしり詰まっています。
どのような味なのか、実際にいただいてみました。
果汁がすごい!ジューシーでおいしいです!
このおいしさにハマってしまう人も多いんですよ。
まだ酸味が少し強いですね。
1か月置いておくと、より甘くなります。
収穫時期の早い酸味の強いものと、追熟させた甘みの強いもの、好みによっていろいろな味を楽しめるのも魅力の一つです。
髙山さんの晩白柚は、川口の農業をさらに盛り上げる作物として期待され、「川口農業ブランド」の推奨品に認定されています。
「川口農業ブランド」とは、意欲ある生産者とその農作物をブランドとして認定し、川口の農業をさらに盛り上げようという取り組みです。
川口市は、江戸時代から続く植木栽培が盛んな地域です。しかし、最近は宅地化が進み、農地が減少、後継者不足も深刻になってきています。
そこで、植木栽培に限らず、意欲的な農家とその農産物を評価することで、川口の農業の認知度向上や後継者の育成を目指そうとしているのです。
さらに、地域の商店や学校とコラボして、マルシェの開催や、商品開発・販売をするなど、市民を巻き込み、地域全体で盛り上げていこうとしています。
髙山さんの晩白柚も、地域の商店や工房の手によって、様々な加工品に生まれ変わっています。
まずは、晩白柚ジャム。地元の手作りジャム工房の井上二三世さんが作っています。
晩白柚の実だけでなく、皮や白いわたの部分まですべて使って作られています。
晩白柚のきれいな色や香りを生かしつつ、多くの人の口に合うように、試行錯誤しています。
晩白柚の皮は苦みが強いので、しっかり水にさらして苦みを抜きます。
そして、このジャムを使って作られたようかん。こちらも地元の老舗和菓子店の近藤春夫さんが作りました。
晩白柚のきれいな黄色が出るように、こしあんではなく白あんを使っています。
他にも、地元のビール醸造所では、晩白柚を使ったクラフトビールが作られ、好評だったそうです。軽くてすっきりした味わいで、晩白柚の爽やかな香りがしっかりと残るように工夫しました。
これらの加工品は、晩白柚の収穫とともに、順次製造・販売される予定です。地域のみんなで盛り上げる晩白柚の魅力、今後の広がりが楽しみです。