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さいたま市 市役所本庁舎移転に伴って新しいまちづくりへ

  • 2023年05月26日

去年、さいたま市の市役所本庁舎は8年後、令和13年度をめどに、JRさいたま新都心駅周辺に移転することが決まりました。さいたま市は、新しい市役所の基本計画を今年度中に策定する予定で、審議会での議論が行われています。また、移転にあわせた新しいまちづくりについても検討が進められています。
さいたま市はどのような形に変化しようとしているのか、取材しました。

さいたま局 粕尾祐介記者

新しい市役所本庁舎、移転先は?

去年、市議会で、さいたま市役所本庁舎を現在の場所から移転することが決まりました。
移転先はJRさいたま新都心駅近くの「さいたま新都心バスターミナル」のそばで、8年後、令和13年度をめどに移転する計画です。

新庁舎はどのようなものになる?

審議会の検討資料 出典:さいたま市本庁舎整備審議会

さいたま市は新しい本庁舎の基本計画を今年度中に策定するため、市民の代表や商工会議所の代表を含めた審議会をことし1月に設置しました。新しい本庁舎にどのような機能を持たせるかや、本庁舎の建て方など、検討を進めています。
5月10日に開かれた審議会では、さいたま市は新しい市役所の本庁舎の機能について、市の方針として、次のようなことを説明しました。

▼まちのにぎわいをつくり、憩いの場となるように市民の広場や展望施設を設置する
▼広域防災拠点としての機能を強化するため、免震構造にすることやヘリポートの設置を検討する

また、審議会ではほかにも商業施設やホテルなどの民間施設やマンションなどの居住スペースを入れることについてや、民間機能を仮に入れる場合、行政機能と同じ建物にするか分けて建設するかなども話し合われています。

市役所移転にあわせて新しいまちづくりを検討

上空から見たさいたま市浦和区

さいたま市は、市役所本庁舎の移転に伴い、移転先の新都心地区や移転後の浦和区についての影響などを話し合い、新しいまちづくりを検討するための「さいたま市総合振興計画審議会」を去年11月に設置しました。
審議会では専門家などを含めて、さいたま市の新しいまちづくりについて話し合いが行われ、今月23日、さいたま市の清水市長に答申しました。答申の中で、重点が置かれていたのは、移転後の本庁舎周辺の交通網の整備や、新しく本庁舎ができる地域と移転後の浦和区のまちづくりでした。

交通網をどう整備?

埼玉高速鉄道 浦和美園駅

交通網の整備として、答申には市役所本庁舎の移転先となるさいたま新都心周辺地区を通る市の東西を新たにつなげる道路や現在、浦和美園駅までとなっている埼玉高速鉄道の延伸の早期実現などが盛り込まれました。
埼玉高速鉄道の延伸について、審議会は、東武野田線とつなげることで人の移動を促し、岩槻地域の発展を図りたいとしています。

首都高埼玉新都心線 さいたま見沼出入口

また、鉄道以外の道路などの交通網を整備することで、人や物の往来を活発にし、将来的にさいたま市が発展する効果を見込んでいるということです。
このため、さいたま市は、現在、「さいたま見沼」までとなっている首都高速道路の埼玉新都心線と東北自動車道を結ぶ東西の道路について、国に要望しています。このほか、大宮駅の西口に都内にあるバスタ新宿のようなバスターミナルを建設できないか事業計画の作成にむけて国と話し合いを行っています。

建設にむけての課題は?

首都高 さいたま見沼出入口周辺 付近には見沼田んぼが広がる

答申に盛り込まれた交通網の整備については多くの課題が残されています。
首都高と東北道を結ぶ道路の建設については途中に自然豊かな見沼田んぼがあり、建設による環境への影響を考慮する必要があります。また、騒音などについても、地域住民の理解を得ることが必要です。

埼玉高速鉄道については、延伸計画をさいたま市だけでは決められず、県や沿線の川口市などと協議していく必要があるため、計画の実現にむけては時間がかかると見られています。

本庁舎移転後のさいたま市は?

現在のさいたま市役所本庁舎

答申では、新しく本庁舎ができる地域と移転後の浦和区のまちづくりについて、次のように、まとめられています。

▼JR大宮駅から新しい本庁舎が移転するさいたま新都心駅周辺までの間で、人の流れができるようなまちの目玉を作ること
▼JR浦和駅周辺の地区とJR大宮駅周辺の地域で、一帯になって、さいたま市の拠点とするためのまちづくりを行うこと

審議会は大宮駅から浦和駅までの地域を一帯としてまちづくりを進め、「新庁舎の整備を契機として、さいたま市を象徴する誰にとっても居心地の良い都市空間の形成を目指す」としています。移転後は、交通の要衝である大宮駅周辺、新しい本庁舎ができるさいたま新都心駅周辺、現在の本庁舎があるJR浦和駅周辺を一体としてさいたま市の拠点にしていく、という新たなさいたま市の形が提示されています。

浦和区にある現在の市役所本庁舎は移転が完了しだい、取り壊される予定ですが、跡地をどうするかはまだ決まっていません。今回の答申では、公共施設の再整備や移転後の庁舎の跡地の有効活用を行うとしていて、今後検討が行われていくことになります。
市は答申された内容を精査し、今後必要に応じて予算などを議会で話し合っていくことにしています。

取材後記

現在、大宮駅や浦和駅周辺では再開発が盛んに行われています。さらに、市役所本庁舎の移転後の新たなまちの姿も構想ができつつあります。変わり続けるさいたま市。どのような変化をしていくのか、引き続き取材していきたいと思います。 

  • 粕尾祐介

    さいたま局 記者

    粕尾祐介

    2019年入局。警察担当をへて、さいたま市政担当

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