ページの本文へ

  1. 首都圏ナビ
  2. 埼玉WEB特集
  3. “相撲は全然好きじゃなかった” 大相撲 初優勝の阿炎に聞く

“相撲は全然好きじゃなかった” 大相撲 初優勝の阿炎に聞く

  • 2022年12月22日

大相撲九州場所で初優勝を果たした越谷市出身の阿炎。埼玉県出身力士の優勝は去年初場所の大栄翔以来、史上2人目です。地元でどんな少年時代を送ったのか、泉アナウンサーが伺いました。

優勝決定戦は12勝3敗で並んで、高安、貴景勝とのともえ戦でした。 どんな思いで臨んだんでしょうか。

緊張もせず、ただ向かっていくという感じでした。全力で戦うことだけを意識しました。相手は大関や大関経験者でしたので、負けてもともとだと思っていましたし、自分だけがチャレンジャーだったので、緊張したらよくないと思っていました。

2連勝して優勝が決まった瞬間の気持ちはいかがでしたか。

“勝ったのかな”と、自分でもよくわからない気持ちでした。“勝ったんだ”とは思ったんですが、ずっとおどおどした感じでした。

場所中、師匠の錣山親方は体調不良で入院中でした。優勝はどういう形で報告したんでしょうか。

次の日の朝に電話しました。

師匠からどんな言葉をかけられましたか。

電話の内容は言うなと言われているんですが、とりあえず、“おめでとう”と言われました。

“全然、好きじゃなかった相撲”

相撲との出会いはいつだったんですか。

小学校3年生の頃に越谷市のわんぱく相撲に出て、近所の仲の良かったお兄ちゃんたちがやっている相撲クラブに入ったんです。

始めた頃の相撲の印象はどうでしたか。

全然、好きじゃなかったんですよ。相撲が。痛いし、勝てないし、小学校のときは、毎日、やめたい、やめたいと言っていました。

やめたいと思わなくなったのはいつ頃なんでしょうか。

高校3年生くらいですかね。相撲界に入ろうと決めたときから、やめたいとは思わなくなりました。

やめたいと思いながらも、相撲を続けてこられたのはなぜですか。

シンプルに負けず嫌いだったんだと思います。 あとは、天の邪鬼だったので、自分がやめたいと言ったとき、お母さんから“じゃあ、やめればいいじゃん”と言われると、やめたくなくなるんです。

今から考えると、(お母さんから)うまいこと勧められていたんだと思います。手のひらで転がされていましたね。

“手のひらで転がされて”相撲界に

中学時代には、鹿児島で行われた全国中学校相撲選手権大会で個人戦3位に入賞しました。

勝つことの楽しさを知りましたし、相撲で高校に行けるんだったら、行こうと思いました。

高校は千葉県立流山南高校に進学して、高校時代も全国3位の結果を残しました。高校卒業後に錣山部屋に入門するわけですが、最初は家業を継ぐと言っていたそうですけれども、本当ですか。

そうですね。最初はプロに入るつもりは全然なかったです。でも、一緒に相撲をしていた同級生が相撲界に入ったとき、お父さんから“昔、こいつらに勝ったことがあるんだぜ”とかダサいことは言うなよと言われまして、そのときに“じゃあ僕も相撲界に行こう”と思いました。

だから結局、(両親の)手のひらでうまいこと転がされていたんです。

初土俵は2013年の5月場所、2015年の3月場所で十両に昇進して、しこ名を阿炎に改めました。阿炎というしこ名にはどんな意味が込められているんでしょうか。

師匠が親しい人から言われていたあだ名が「アビ」だったそうです。師匠と両親が食事していたときに、阿炎というしこ名をつけようということになったみたいです。

師匠への感謝

その後、相撲以外のところで協会から処分を受けて土俵に上がれない時期がありました。 あの時期は今振り返ると、どんな胸の内でしたか。

相撲に戻れるチャンスをいただけたので、どうにかして自分は変わらなければならないと思いながら今まで過ごしてきました。

相撲への思いは変わりましたか。

すごく変わりました。やはり相撲は自分一人でやっているんではないんだと思いましたし、応援してくださった人たちがいたからこそ、相撲が取れていたんだなと思いました。

千秋楽翌日の会見では師匠について、“入門してからよく言えばやんちゃだったので心配やご迷惑ばかりかけてきた。稽古以外は父親みたいな存在です”と話していましたね。 

本当に親身になって、なんでもしてくれるので、優勝を重ねて、少しずつでも恩を返していければいいと思います。

これからの夢や目標を教えてください。

夢は入門したときから変わっていないんですが、師匠を超えることが夢なので、その目標に向かって頑張りたいと思います。

キャスターからひと言

今月20日、地元・越谷市のイオンレイクタウンで、優勝パレードと報告会が行われました。どんな気持ちで臨みますかと聞いたところ、「すごく恥ずかしい気持ちで臨みます。照れくさいです」と、うれしそうに話してくれました。

ページトップに戻る