ラグビーのリーグワンが12月17日に開幕し、昨シーズン、初代チャンピオンに輝いた埼玉パナソニックワイルドナイツが東芝ブレイブルーパス東京に22対19で競り勝って、2連覇へ向けて好スタートを切りました。ワイルドナイツの注目選手や来年のワールドカップについて、立正大学ラグビー部監督の堀越正己さんに泉浩司アナウンサーが伺いました。
2年目のリーグワンにはどんな期待をしていますか。
やはり、各チームに揃ったワールドクラスの選手たちがどれだけ“世界の力”を見せてくれのるかというのが楽しみですし、こうした選手を迎え撃つ日本代表の選手が“俺たちも黙っていないぞ”という意気込みで戦ってほしいと思っています。
ワイルドナイツの連覇には期待していいですか。
選手層も厚くなりましたので、期待していいと思います。
堀越さんが今シーズン、注目する選手は誰ですか。
堀江翔太選手や稲垣啓太選手、そして、ケガで離脱していた松田力也選手も復帰するので、こうした日本代表クラスの選手たちには引き続き注目したいんですが、特に新しく加入したロックのルード・デヤハー選手、そして、センターのダミアン・デアレンデ選手の2人の南アフリカ代表に注目してほしいですね。
どんな特徴の選手ですか。
デヤハー選手は代表選手としての経験が60試合以上あります。ラインアウトからスクラム、モール、すべてのプレーにおいてカギとなる選手だと思います。デアレンデ選手は突破力、パスの能力が優れていますので、タックルやランに期待したいと思っています。
デヤハー選手は身長が2メートル6センチですね。
リーグワンは、どのチームにも身長が2メートルを超える選手が数人いる状態になってきました。私が現役だった時代には信じられなかったんですが、身長180センチ台はあまり大きくないというくらいに、選手の大型化が進んでいます。
来年はワールドカップも控えています。リーグワンの選手の多くが代表として出場すると思うんですが、私たちはどのような楽しみ方をすればよいですか。
特に代表選考のボーダーライン上の選手や代表を狙っている選手に注目して、試合を通してどれだけ成長して、日本代表に繋げていくのかということを見守る気持ちで楽しんでもらえればいいと思います。
個人的には、竹山晃暉選手に注目しているんですが、いかがですか。
本来のポジションはウイングですけれども、フルバックやスタンドオフでもプレーできて、キックもランもできます。ディフェンス力が上がってくれば日本代表に入ってくる選手だと思います。
2年目のリーグ戦、ディビジョンワンは4月まで16試合が予定されています。長丁場の戦いになりますね。
選手層の厚さがどのチームにとってもカギになると思います。ワイルドナイツは、フッカーでキャプテンの坂手淳史選手の控えに堀江選手がいるなど、選手層はどのチームよりも厚いんじゃないかと思います。
優勝を争うのはどのチームになりそうですか。
去年のリーグ戦ベスト4の埼玉パナソニックワイルドナイツ、東京サントリーサンゴリアス、クボタスピアーズ船橋・東京ベイ、 東芝ブレイブルーパス東京の4チームが軸になってくると思います。
あとは、南アフリカ代表のスクラムハーフ、ファフ・デクラーク選手が加入した横浜キヤノンイーグルスに注目したいですね。デクラーク選手がどのようなプレーをするのか、どのようにチームを引っ張っていくのかが楽しみです。
ワールドカップでも日本戦で活躍しましたね。
プレーが激しくて、早くて、うまい選手ですね。試合中でも相手が嫌がる位置に常にいる選手です。
ワールドカップのフランス大会は来年の9月から10月にかけて開催されます。日本代表はこの秋、強化試合を3試合行いました。オールブラックス、ニュージーランド代表に31対38で敗れ、イングランド代表には13対52と完敗。3戦目のフランス代表にも17対35で敗れました。
試合に勝てなかったことは残念だったんですが、戦える部分もかなり見えてきたと思うんです。キックを使うようになって、キックしたボールをどうやって再び獲得するのかという部分にチャレンジしていたように見えました。また、日本のチームらしく速いテンポでボールを回して相手の隙を突くという部分も見えました。
私が代表で試合していた頃は、強化試合でニュージーランド、イングランド、フランスと戦うこと自体が夢みたいなことでしたし、それだけ日本代表のレベルが上がってきたのだと思います。
ただ、強化試合ではスクラムで劣勢になってしまうシーンが見られましたので、特にプロップのポジションの強化を急がなければならない。あとは、スタンドオフもいろいろな選手を試していました。ワイルドナイツの松田選手がケガから復帰しましたので、ポジション争いが激しくなるのではないかと思います。
ワールドカップで日本代表が勝ち抜くには何が必要ですか。
キャプテンの坂手淳史選手も話していましたが、まずは選手のフィジカルの力を上げていくということが一番必要です。あとは、ボールを動かして相手より先に動いていく日本らしいプレーを磨いていくことが世界に通用する部分になってくると思います。
堀越さんが監督を務める立正大学ラグビー部はことし、関東大学リーグ戦1部に復帰し、8チーム中5位と大学選手権に出場できる3位以内には惜しくも一歩届きませんでした。堀越さんは「チームとしてはやろうとしたことはやりきることができたので、何が足りなかったのかをしっかり考えながら来年に向けて準備をしていきたい」と話してくれました。