シートベルトとチャイルドシートの着用を呼びかける運動が、今月埼玉県内で行われています。シートベルト・チャイルドシートはなぜ必要なのか。着用の効果などについて、埼玉県警察本部交通総務課の柏崎紀子警部補に保坂友美子キャスターが伺いました。
今月1日から埼玉県内で「シートベルト・チャイルドシート着用促進運動」がはじまりました。月末にかけて、警察が高速道路や一般道で交通指導や取締りを強化するほか、自治体などと連携してホームページや広報紙などを通じて、シートベルト・チャイルドシート着用の効果や必要性について情報発信を行います。
なぜ、シートベルトやチャイルドシートに着目したのでしょうか。
例年8月は、子どもの夏休みやお盆で、旅行や帰省など自動車の利用が増え、高速道路を利用する機会も増えると思います。
警察庁と日本自動車連盟が合同で実施している「シートベルト着用状況全国調査結果(2021年)」によると、埼玉県内では、高速道路・一般道ともに、運転席および助手席でのシートベルト着用率は95%を超えており、シートベルトの着用が浸透していると言えます。
運転席や助手席では浸透しているということですね。
しかし、後部座席については、高速道路での着用率は9割、一般道では約5割にとどまっており、自動車の利用が増えるこの機会に、広くシートベルト・チャイルドシートの正しい着用を呼びかける必要があると考えています。
着用することで、どれくらい効果があるんでしょうか。
埼玉県内で去年起きた交通死亡事故のうち、20人が車に乗っていました。この半数あまりの11人がシートベルトを着用しておらず、頭部に致命傷を負ったり、車外に放出されたりするなどして亡くなっています。
車にはエアバッグが備わっていますが、エアバッグだけでは死亡事故は防ぎきれないということなんですね。
エアバックなどの安全装備は、シートベルトの着用を前提に設計されており、シートベルトやチャイルドシートを正しく着用することで、死亡事故や重傷事故につながる損傷や、車外放出の危険性を低減することができます。
特に、後部座席の同乗者が前席の運転者などに衝突し、致命傷を負わせる危険性もあるため、すべての座席でシートベルトを着用することが必要です。
先ほどのお話で、後部座席ではまだシートベルトやチャイルドシートの着用の浸透に課題があるということでしたが、どのような理由が考えられるんでしょうか。
自宅を出発する際にはシートベルトを着用していても、休憩などで自動車から降りて最出発する際に、着用を忘れてしまう場合があるようです。また、同乗者がシートベルトをしていないのを見落としてしまう場合もあります。
シートベルトは自分や家族を守るものですから、自動車に乗るすべての人が「自動車に乗ったらシートベルトを着用する」ことを習慣として身につけて頂きたいと思います。
チャイルドシートは、利用者が取り付ける必要がありますが、どのような点に注意すればいいのでしょうか。
チャイルドシートには、乳児用、幼児用、学童用の3種類がありますが、子どもの体格に合ったものを後部座席で使用することが大切です。
また、3年に前行われた「チャイルドシート使用状況の全国調査」によると、チャイルドシートを使用している場合でも、車両への取り付けや固定が不十分だったり、正しく着座させられていないケースが多くみられます。このような場合には、事故時にチャイルドシートがシートベルトから外れたり、子どもがチャイルドシートから飛び出したりするなど、本来の効果が得られない場合があります。取扱説明書に従って、腰ベルトの締め付けが十分か確認してください。
そのうえで、柏崎さんは、子どもを乗せる際に次のことに注意が必要だとしています。
・ハーネスの締め付けが適正か
・よじれやねじれがないか
・子どもの成長に応じ調整されているか
チャイルドシートの使用は、法律で6歳未満の子どもを乗車させる際に義務づけられていますが、6歳以上の子どもであっても、体格が十分でなくシートベルトを適切に着用することができない場合は、学童用のチャイルドシートの使用を検討することも必要だということです。
今回のキャンペーンが事故防止につながってほしいですね。最後に、このキャンペーンについて、メッセージをお願いします。
「シートベルト・チャイルドシート着用推進運動」を通じて、ひとりでも多くの方に、シートベルトやチャイルドシートを着用することの大切さをご理解頂きたいと考えています。そして、安全運転を心がけて、交通事故のない夏休みを過ごして頂きますようお願い致します。
ことしは7月末時点で61人が交通事故で死亡しているということです。夏休みやお盆で車の利用が増える時期なので、自分や家族の命を守るためにも改めて出発する前にシートベルトやチャイルドシートの着用を同乗者同士で確認することが大切だと感じました。