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公共冷蔵庫で食品ロス削減と生活困窮世帯支援 埼玉県草加市

  • 2022年08月05日

食品ロスの削減と生活困窮世帯の支援を両立させる“コミュニティ フリッジ(公共冷蔵庫)”という取り組みが先月から埼玉県草加市で始まりました。どんな取り組みなのでしょうか。草加市でスーパーを経営する全栄物産株式会社の代表取締役、植田全紀さんに武田涼花キャスターが伺いました。

“コミュニティ フリッジ”とは、どういった取り組みなのでしょうか。

町の中に置いた冷蔵庫に家庭で食べきれない食品や店で売れ残った食品を入れて、食品を必要とする人は誰でも自由に持ち出すことができる仕組みです。こうすることで地域の食品ロスの削減と生活に困っている人を助けることが同時に可能となります。

この仕組みを草加市の私が経営するスーパーの敷地で先月から始めました。

海外のコミュニティ フリッジとの違いは、誰もが冷蔵庫を利用できるわけではないことです。プレハブの建物の中に冷蔵庫があって、事前に登録した人しか建物の鍵を開けることができないようになっています。

登録できるのは、児童扶養手当や就学援助などを受給している家庭です。登録した人は365日、24時間、いつでも冷蔵庫を利用することができます。

困った人がいつでも食品を受け取ることができるわけですね。今はどんな食品が冷蔵庫に入っているんですか。

近所の農家からいただいたジャガイモのほか、ジャムやレトルトのカレー、ごはん、それに、おせんべいやソーメンなどが入っています。

コミュニティ フリッジを始めようと思ったきっかけはなんだったんですか。

テレビなどの報道で、日本の子どものおよそ7人に1人が相対的貧困の状態にある一方で年間522万トンの食品が食べられる状態にあるにもかかわらず廃棄されていることを知って、食品を捨てるのであれば困った人に分けてあげればいいのではないかと思ったのがきっかけです。

利用者からはどんな反応がありますか。

「とても助かります」と多くの人に喜んでいただいています。なかには、「本当にうれしかったので、この活動をぜひ手伝いたい」と言ってくれる利用者もいます。

食品を提供していただいた企業などからは「自分たちがつくった食品を捨てるのはつらいし、捨てるのにもお金がかかるので、ありがたい」という声をいただいています。

今後、コミュニティ フリッジをどのような場所にしていきたいですか。

コミュニティ フリッジは現在、草加市で子どもの学習支援や子ども食堂を運営している「こども応援団マイカ」や、子育て中のひとり親世帯などへ食品の提供を行っている「草加子育て応援フードパントリーひろっぱ」にも協力していただいています。

こうしたボランティアの方々と一緒に、無料で食品をもらうことができる場所と言うよりは、困った人の心の支えになるような場所にしていきたいと思っています。

キャスターからひと言

コミュニティ フリッジの開設は関東では草加市が初めてだということで、利用者は開始から1か月余りですでに100人を超えているということです。食品ロス削減と困窮世帯支援を両立させるこの取り組み、ぜひ広がってほしいと思いました。

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