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近藤良平さんがつくる埼玉オリジナルの盆踊り

  • 2022年7月28日

夏祭りなどで踊る盆踊り。今、埼玉県で新しい盆踊りをつくろうとしている人がいます。彩の国さいたま芸術劇場の芸術監督、近藤良平さんです。振り付け家でダンサーでもある近藤さんは、新しい発想で埼玉ならではの盆踊りづくりに取り組んでいます。

(さいたま放送局・渡部泰山カメラマン)

近藤良平さんは6年前に亡くなった演出家の蜷川幸雄さんの後を継いで、この春、彩の国さいたま芸術劇場の芸術監督に就任しました。近藤さんは芸術監督として、ダンスや演劇、音楽などさまざまなジャンルのアーティストが互いに刺激を与え合い、そして、地域の人々とも交わり合うことで新しい表現を生み出したいと考えています。就任後、近藤さんがまず選んだのが埼玉の盆踊りづくりでした。伝統にとらわれすぎず、新しい発想で地域の人たちなどと一緒に取り組んでいます。

近藤良平さん

盆踊りは盆にやる踊り、1年に1回だけやる踊りというイメージがあり、みんなで同じことを思い浮かべる機会になると考えています。盆踊りをつくることで、人類共通の面白いものを見つけられたらいいですね。
(近藤良平さん)

歌詞は川柳から

東京で生まれ、ペルーやチリなど南米の国々で育った近藤さんは、これまで埼玉について詳しく知りませんでした。そこでまず、埼玉のことを詠んだ川柳を広く募集することにしました。

川柳は県内外から集まったおよそ400句には、ユニークで、そして、埼玉への深い愛情が込められていました。

埼玉県 都会と田舎 いい塩梅

海行くと 連れて行かれた 狭山湖に

青々と 見沼田んぼを わたる風

恥ずかしがり屋ですと言っておきながら、全然、恥ずかしがり屋ではないように思います。みなさん意外と爆発するものを持っていますので、前へ前へとゆっくりでも進もうという感じの盆踊りになると思いますね。
(近藤良平さん)

振り付けも埼玉らしく

最も重要な踊りの振り付けは、近藤さんと一緒に活動する「コンドルズ」のプロのダンサーと考えました。

まず三味線などの音楽を流しながら、ダンサーに自由に踊ってもらいました。その動きを近藤さんが選んで、連続性のある踊りに変えていきます。盆踊りは浴衣を着て踊ることが多いため、極端に足を上げないなど注意する必要があります。さらに近藤さんは埼玉県で農業が盛んと知り、農作業の種まきや耕すような動きを加えました。

農作業を表現

近藤さん:耕して、種をまいてみたいなのは、どうかな。
ダンサー:手で耕す動きを表現するのはどうでしょう、開拓みたいな。
近藤さん:これ意外といいね。

近藤さんは、踊りに参加する人たちが一体感を持つことができる振り付けを考えていました。しかし、新型コロナの感染が心配されるなか、振り付けにも感染防止に向けた配慮が必要です。ダンサーの一人が手を合わせあう動きを提案しましたが、近藤さんは手を合わせるのではなく、互いの顔が見えるよう向かいあう動作を取り入れることにしました。

向かい合って踊る

今は手を触れあう踊りはできませんが、互いに心を触れあうことをしてはいけないとは誰も言っていません。心の触れあいを踊りで伝えることができたらいいなと考えています。
(近藤良平さん)

子どもたちに受け入れられるか

さいたま市立与野本町小学校でのワークショップ

盆踊りは子どもからお年寄りまで幅広い年代が楽しみます。新しい盆踊りが子どもたちに受け入れてもらえるのか、実際に小学校で試してみることにしました。

近藤さんは踊りを細かく区切りながら、からだ全体を使って子どもたちに教えていきました。テンポの早い踊りに最初は戸惑っていた子どもたちも、時間がたつにつれてダイナミックに踊るようになりました。農作業を表現するパートでは、ユニークな動きに笑顔も見せていました。

盆踊りの最後は、埼玉の頭文字「S(エス)」を体で表現します。近藤さんが右手を上に、左手を下にして両手でSの字をつくると、参加していた女の子の一人が左足を後ろにクロスしました。

それを見た近藤さん、「今の動きいいですね、足が入ってかっこいい」と即座に女の子の真似をして振り付けに取り入れました。

(盆踊りは)つくり終えて完成ということではなく、みんなで育てていきたいと思っています。一人の力だけでは絶対にできません。ほんの少しずつでも始めて、続けていくことが大事だと考えています。
(近藤良平さん)

さいさい盆踊り

近藤良平さんがつくる新しい盆踊りは「さいさい盆踊り」と名付けられました。踊りにあわせた歌詞や音楽も完成させて、8月下旬には、さいたま市で開かれる祭りで地域の人たちと一緒に踊る予定です。

取材後記

南米で育った近藤さんは、イメージが沸いたらすぐに身体で表現し、動きながら考えるという独自の方法で創作活動を行っています。

子どもたちとの間に壁をつくることなく一緒に踊りをつくり出していく様子を見ていて、さまざまな人の考えを取り入れることができる柔軟性と度量の広さが、近藤さんの原動力なのだと感じました。

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