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そらまめくんシリーズの絵本作家なかやみわさん(絵本作り編)

NHKさいたま「子どもプロジェクト」
  • 2022年07月04日
絵本作家:なかやみわさん(左) アナウンサー:古野晶子(右)

NHKさいたま放送局では、子どもたちが直面する課題や子育て中の親への支援などについて特集する「子どもプロジェクト」を毎月ラジオで展開しています。6月は「そらまめくんシリーズ」で知られる絵本作家・なかやみわさんをゲストに迎えました。絵本づくり編と子育て編の2回にわたってお届けします。

(ひるどき!さいたま~ず 2022年6月17日放送)

絵本作家 なかやみわさん

さいたま市出身で、企業のキャラクターデザイナーを経て絵本作家に。そらまめのキャラクターが主人公の「そらまめくんシリーズ」など、愛らしいキャラクターたちが活躍する絵本作品は世代を超えて読まれています。ことしでデビュー25周年。

「落書きの延長線上でキャラクターが動き出したら・・・」

「そらまめくんのベッド」なかやみわ 作・絵 福音館書店

絵本をつくる時はどんなイメージでつくるか、決めているんですか?

もともとかわいいキャラクターが好きなので、落書きしている延長線上でなんかこんな子が動きだしたらかわいいなとか、本当にささいなきっかけからなんです。絵本のお話はキャラクターに沿ったものを後付けするという形です。

さいたま市見沼区出身ということで子どものころの話を聞かせてください。

物心ついた時からイラストが大好きだったんです。イラストを描くことぐらいしかとりえがなくて、運動や勉強もすごく苦手でした。

ご自宅の周りは田んぼとか自然が豊かなところでしたか?

私が住んでいたころはまだ自然がたくさん残っていて周りに雑木林がありましたし、外で遊ぶには事欠かない場所でした。そらまめくんの絵本に出てきている周りの原っぱなどは、わりと子どものころに親しんだ風景だったと思います。

なぜ、そらまめが主人公?

そらまめが主人公の絵本でデビューされていますが、なぜそらまめをテーマに扱おうと思ったのですか?

もともと会社員時代に独自のキャラクターを提案して、社内で人気が高かったものが商品化される機会があり、このコンペで提出したキャラクターがそらまめくんの原型になるようなキャラクターだったんです。豆はフォルムもコロンとしていてかわいいし小さくて、その中でも存在感があって、黒いへたというか特徴もあってデザインしやすかったです。

絵本の前にすでにキャラクターができあがっていた?

そうですね。会社を辞めて絵本を描きたいと考えるようになった時に、豆のキャラクターとふわふわのさやを使って何かお話をつくったらおもしろいかもしれないと思いました。絵本をつくるために一生懸命考えたというよりは、自然にそういうキャラクターができあがってお話が後でつけられたという感じですね。

物語の発想はさやをむいた時に

「そらまめくんのベッド」
そらまめくんがお気に入りのふわふわのさやのベッドをめぐるお話です。えだまめくんやグリーンピースのきょうだい、さやえんどうさん、ピーナッツくんが次々に「寝かせてよ」と頼んできますが、そらまめくんは「だめだよ、僕のだよ」と断ります。そんなある日、大事なベッドが突然なくなってしまい、やっと見つけるとうずらがたまごを産んで温めていたのです。その時、そらまめくんは・・・

豆はたくさんありますけど、そらまめのさやは特徴的でふわふわとして大きいですよね。

母がスーパーでそらまめを大量に買ってきて、さやをむくのを手伝ったことがありました。恥ずかしながら大人になるまでそらまめのさやを見たことがなくて、むいたことがなかったんです。むいてみたらさやはふわふわでものすごく頑丈だし、むいたら1個しか入っていないということもあって、なんてぜいたくな豆なんだろうと思いました。そこで、そらまめくんのわがままというか性格もなんとなく思い浮かんで、ふわふわのさやを知らない子どもたちがもっとびっくりするだろうと思いました。このさやをむいた時にそらまめが寝ているように見えたので、そこからそらまめくんのベッドというお話の発想ができあがったんです。

作品づくりには、なかやさんがふだん触れたりして感じられたことが反映されているんですね。

そうです。キャラクターの性格づけは私の独断と偏見で決めてしまうところがあります。

それぞれ個性があっておもしろいなと思って拝見していますけれども、物語はいつもどのように考えているのですか?

例えばそらまめくんの話だったら、ポイントとなるキャラクターや性格づけをしっかり考えて、そのキャラクターをとりまく友だち関係や背景をどんどん設定していきます。そうすると世界観ができるので、そこから子どもたちの視点に立って考えていきます。この絵本にはほかのまめたちが出てきますが、子どもたちははじめて集団に入って触れあう友だちや仲間というのができてきて、例えば3歳ぐらいの子どもならどう対応するかなとか、どういうところに興味をもつかなということを考えながらお話をつくっていきます。そらまめくんはわがままなんだけれども、最後は自分の大切なものを仲のいい友だちに貸してあげてみんなと仲良くできるといった物語がわいてきて、規定のページ数に合わせて仕立てました。

丁寧に絵も描かれていますが、絵を描くうえでどんな工夫をされているんですか?

フィクションではあるんですが、子どもたちはリアル感がある方がお話に入っていきやすいのではないかと思いました。もしかしたらふだん歩いている原っぱにそらまめくんがいるかもしれないと思うとわくわくしませんか? そういう時にそらまめくんの背景をしっかりと本物や図鑑を見て描き込んであげる。そうすると、子どもたちは散歩に出かけた時に「あっ、これはそらまめくんの本にあったね」とか、そういう会話が実際にあるみたいなんですね。そらまめを実際に自分でむいてみて、本当にふわふわだねとかやはり実体験があると子どもたちは物語をより楽しめると思いますし、記憶にも深く残ると思っています。このため、きちんと草花を描くようにしています。

とても細かく、ひげの部分とか植物の花の部分とか描いてありますよね。

子どもたちはよく見ていて、「絵本の背景に描かれている草花はなんですか」とか「図鑑で調べたのですがわからないので教えてください」といった質問が編集部経由できたりするんです。例えば、花びらの枚数を間違えて描いたりすると子どもたちから指摘がくるので、そういった小さい所もきちんと調べて描いています。

 (子育て編はこちら) 

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