埼玉県深谷市に野菜の魅力を紹介する体験型の施設「深谷テラス」がオープン。隣にはアウトレットモールの建設も進んでいます。新たな観光スポットとして、ネギだけじゃない、深谷の野菜や農業の魅力を発信しようとしています。
5月29日、「深谷テラス ヤサイな仲間たちファーム」がオープンしました。場所は関越自動車道の花園インターチェンジから1.5キロほど。「野菜の魅力をもっと知って、野菜を好きになってほしい」と、大手食品メーカー「キユーピー」が深谷市と連携して完成させました。
広さ6000平方メートルの体験農園では、葉物野菜の「ケール」や赤色や紫色などカラフルなじゃがいもなど、市場に出回る量が少ない珍しい野菜を中心におよそ30種類を栽培しています。
年間を通じて100種類ほどの旬の野菜を育てて、収穫体験ができます。
野菜の直売所「マルシェ」では、地元の農家が育てた野菜などを販売します。色とりどりの野菜が並び、野菜ソムリエがおいしい食べ方を紹介するということです。
そして、レストランでは、旬の野菜をふんだんに使い、素材を生かした料理が楽しめます。メニューは、その日に入ってくる野菜によって変わるそうです。
今後は、野菜について学ぶことができる野菜教室を開いたり、地元の菓子メーカーや農家と連携して新たな商品を開発したり、新規就農者の支援を行ったりして、地域を盛り上げていきたいとしています。
大手食品メーカーで企画を提案 松村佳代さん
「野菜の魅力を多くの方に知ってもらいたいと企画しました。畑を歩いて見てもらいたいし、気軽に公園に来る感覚で楽しんでもらいたいです。深谷市内の回遊につなげるなど、野菜を観光資源として、地域に貢献できたらいいと思います」
この体験型施設に隣り合う形で「深谷テラスパーク」もオープンしました。広さおよそ1万5000平方メートルの公園です。
大型遊具は、深谷ねぎを始め、トマトやトウモロコシ、チューリップなど野菜や花をモチーフにしたデザインです。子どもが水遊びを楽しめる「じゃぶじゃぶ池」や噴水もあります。
広場では、地元の農産物やご当地グルメを販売するイベントを開いたり、バーベキューができたりするようになっています。
管理棟のモニターでは地元野菜をはじめ、深谷市周辺や秩父地方の観光名所を映像で紹介しています。パノラマデッキからは秩父や群馬の山々が一望できます。
深谷テラスの隣にはアウトレットモールの建設も進んでいて、ことし秋にオープンする予定です。
また、すぐ近くを通る秩父鉄道には「ふかや花園駅」が4年前に設けられました。
こうした一連の施設は、深谷市が農業と観光の振興で地域を活性化させようと、およそ50億円を投じて整備を進めてきたプロジェクトの一環です。
深谷市は「深谷ねぎ」が有名ですが、ブロッコリーやキュウリなどの生産も盛んで全国でも有数の野菜の産地です。そこで、地域全体を野菜が楽しめるテーマパークに見立てた「ベジタブルテーマパーク フカヤ」を掲げています。
巨額の公費を投じたプロジェクトを巡ってはさまざまな議論がありましたが、観光客を呼び込み地域の活性化につなげていくことができるのか、その成果が注目されています。