埼玉県立川越高校応援部の生徒たちが、新型コロナウイルスの影響を受けている地域の人たちを勇気づけようと熱いエールを送りました。コロナに「勝つ」という思いを込めた、いつもとは違う形でのエールとなりました。(さいたま局所沢支局/高本純一)
旧制中学校時代からの伝統がある川越高校応援部は現在、部員7人。
運動部の試合などで応援を行って、仲間たちを奮い立たせてきました。
ことし1月、川越高校に地元の川越八幡宮から「新型コロナの影響で疲弊している地域を勇気づけてほしい」という依頼が届きました。
求められたのは「勝」のひと文字が記された書の奉納です。
それなら「勝利を目指す仲間にエールを送っている応援部が書くのがふさわしい」と、応援部に白羽の矢が立ちました。
筆をとることになったのは、書道の経験がある部員の伊東弘貴さんです。
担当の教諭のアドバイスを受けながら、縦およそ1メートル70センチの紙いっぱいに筆を走らせました。
川越高校応援部 伊東弘貴さん
「精いっぱい書けたと思います。この書を見てもらって『コロナに勝つ』という勇気を持ってもらえたら」
書の奉納に合わせて伝統の応援歌などを披露することになり、応援部員たちは校舎の屋上で練習に励みました。
ここ2年ほどは新型コロナの影響で、運動部の試合や地域の催し物などに参加してエールを送る機会が大きく減少。
学校の外の人たちに活躍を見てもらう貴重な機会に、練習にも一段と熱が入りました。
川越高校応援部 団長の長嶋一輝さん
「入学してから新型コロナで応援部も存続の危機にあり、川越高校の伝統そのものが失われかけているなかで、ぼくたち応援部が率先して、伝統を守っていかないといけないという思いでやってきました。神様にいい演舞を奉納して、川越市の人たちにも元気になってもらいたい」
3月19日、川越八幡宮への奉納の日を迎え、畳10枚分もの大きさがある団旗が掲げられました。
地域を勇気づける書が奉納され、神事が行われました。
応援部員たちは練習を重ねた応援歌を、吹奏楽部の演奏にあわせて披露しました。
「奮え友よ 奮い立て今」「今こそ誇れ 勝利の王座 勝利の王座」
(川越高校第一応援歌「奮え友よ」より)
「勝つぞ、勝つぞ、川越」と、心の底からエールを送っていました。
「いつもより力が入っていると思えるほど、すばらしかったです。地元のために懸命に活動してくれて本当にうれしく思います」
「力強い演舞は神様に届いたと思います。市民のみなさんがコロナに負けずに健康でますます元気になることを祈っています」
川越高校応援部 団長の長嶋一輝さん
「きょうは『勝つ』という気持ちを強く持って臨みました。私たちの応援で川越市の人たちが少しでも元気になってもらえたらうれしいです」
奉納された「勝」の書は、1年間、神社に掲げられるいうことです。