鼻息だけで音を奏でる「鼻笛」。南米の民族楽器がルーツです。埼玉県羽生市の濱野沙織さんは鼻笛に魅せられて、地域の町おこしをしようと活動を続けています。岩﨑愛キャスターが話をうかがいました。
濱野さんが鼻笛と出会ったきっかけはなんだったんですか。
行田市の「古代蓮の里」という施設を訪ねたときに、露店で民族楽器を売っていたお兄さんがいて、すごく丁寧に鼻笛のことを教えてくださったんです。お兄さんの鼻息でまだぬくもりのある売り物の鼻笛を演奏させてもらって、これまで鼻笛のことをまったく知らなかったので、それから虜になりました。
その鼻笛、どんなものなのでしょうか。
構造はすごくシンプルで、息が通る穴が1つしかない楽器です。ほかの笛にあるような音程を変える穴はないんです。素材は木や竹、それに、瀬戸物やプラスチックまでいろいろあります。牛乳パックでもつくることができるんです。
一つの穴だけで、いろいろな音程が出せるんですか。
2オクターブ半のドレミファソラシドが出ます。
どうやって演奏するんですか。
とても簡単です。声を出す声帯や舌、それに、口の大きさを変えながら音程を変えるんですが、みなさんが鼻歌を歌うときと同じ要領で鼻息を出すだけです。近所の子どもは、私がなにも教えなくてもすぐに吹くことができるようになりました。30分くらい練習すれば、たいていの人は演奏できるようになります。
鼻笛を演奏することで、うれしい効果もあるということですよね。
鼻息を使うので、花粉症の症状が軽くなる方が多いようです。特にお風呂で演奏すると、水蒸気で鼻にも良いし、音の反響もよいので、気分良くお風呂に入ることができます。
濱野さんは鼻笛を使った町おこしにも取り組んでいるんですよね。
羽生市は藍染めが有名なので、藍で染めた木製の鼻笛をつくっています。また、今はコロナで中断しているんですが、市内の老人ホームや学校などで鼻笛の演奏会も開いていました。
今後、鼻笛を使ってどんなことをやりたいと考えていますか。
音楽は脳の活性化に効果があるといわれています。鼻笛は演奏するのがすごく簡単なので、リハビリ施設や医療機関などで鼻笛を演奏できる機会が増えていったらいいなと思っています。特に演奏で手を使う必要がないので、寝たきりの方にも楽しんでもらえるのではないかと思っています。
濱野さんの鼻笛の演奏を聞いたのですが、オカリナのようなとてもやさしい音色で、心が落ち着きました。楽譜が読めなくても演奏できるので、私もぜひ、挑戦したいなと思いました。濱野さんが制作する藍染めの鼻笛は、販売もしているということです。