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月3万円ビジネスで女性活躍 ! 埼玉県杉戸町

  • 2022年03月01日

都心のベッドタウンとして発展してきた杉戸町。しかし、近年、人口は減少に転じ、駅前の商店街もかつての活気を失いつつあります。町では今、地元の女性が中心となって、“人と仕事が集まる町に!”を合言葉にさまざまな取り組みを進めています。choinaca合同会社代表の矢口 真紀さんに岸田 祥子キャスターがうかがいました。

矢口さんが立ち上げたchoinaca合同会社、とてもかわいらしい名前だと思ったんですが、どんな思いが込められているんですか。

都会でも田舎でもない、“ちょっとだけ田舎”という杉戸町の特徴を強みに変えられたらなという思いを込めて名付けました。

どんな取り組みを進めているんでしょうか。

杉戸町は東京で働く男性が寝に帰る場所という意味でベッドタウンと言われているんですが、私たちは、地域で昼間の時間を支えている人たち、例えば、シニア世代や子育て中の母親が、もっと顔が見えるような仕掛けをつくりたいと思っていたので、まずは、自分でなにか商売をやりたいと思っている人が気軽に参加できるマーケットを開くことから始めました。

それが、“しあわせすぎマルシェ”というイベントなんですね。

今はコロナ禍で終了しましたが、活動初期から5年間、開催しました。私たちの町が杉戸町で、お隣が幸手市で、ちょうど2つの町の間で開催していたので、「幸」と「杉」で“しあわせすぎマルシェ”という名前にしました。

このマーケットと並行して、月3万円のビジネスというプログラムも始めたということですが、どんなプログラムなんですか。

「月3万円ビジネス」は藤村靖之さんという方が提唱しているもので、自分がやりたいことで月に3万円を稼ぐスモールビジネスをつくって複業にすることで、組織に依存しない自由な生き方をしようというものです。このプログラムをベッドタウンに住む女性向けにアレンジしました。

最終的には私たちのマーケットにデビューしてもらうことを目標に、4カ月かけて計6回の講座を受けてもらいます。「月3万円ビジネス」なので、私たちは「3ビズ」と呼んでいます。今では杉戸町のほかに、同じ東武スカイツリーライン沿線の草加市や県中央部の伊奈町、北部の上里町、それに、群馬県の館林市など5地域の9市町村で「3ビズ」プログラムが広がっています。これまでに260人がプログラムを卒業しました。 

どうしてこのプログラムを始めようと思ったんですか。

マーケットを始めた当時、「やろうよ!」と声をかけても、肝心の女性がなかなか乗り気になってくれなかったんです。よく聞いてみると、お店やビジネスをすることに自信がないと言うんですね。結婚や出産で社会から離れて自分が後回しになっているうちに、自分の価値を見失ってしまったんだなと感じたので、だったら、自信をつけることができる仕組みをつくろうと思ったのがきっかけです。

これまでどんなビジネスが生まれたんですか。

アクセサリーやドライフラワーなど、手仕事から生まれる作品を販売する人が多いです。あとは食ですね。例えば、家庭菜園で余った野菜をいろいろな人に持ち寄ってもらって、不定期に食堂を開く人ですとか、食べ物の素材から自分たちで育てて料理することの楽しさを体験してもらう親子向けのプログラムを開催する人もいますね。

本当に自分の得意なもの、しかも、目標が3万円でいいということなので、気軽に始めることができそうですね。

そうですね。まずは自分のできることから、そして、“やりたいこと”と地域の課題だったり、誰かが困っていたりすることを掛け合わせることで、ビジネスを生み出してもらっています。

このプログラムで地域にどんな変化がありましたか。

一番大きいのは受講したメンバーのお金の使い方が変わるということですね。自分が小さなビジネスを実践したからこそ、地域で商売をしたり、農産物を生産したりしている人をリスペクトする気持ちが湧いてくるんです。例えば、ファストファッションやファストフードといった、材料がどこから来て、誰がつくって、誰にお金が回るのかわからないような買い物ではなくて、ちゃんと顔が見える人から買おうとみんなが意識するようになるんです。

確かに自分でやることによって、仕事の大変さもわかりますからね。

地元の農家や個人商店にまわるお金が増えていくのが肌で感じられることが、すごく楽しいなと思っています。

こうした取り組み、今後、どのように発展させていきたいですか。

今、活動の中心のほとんどが女性なんですが、もっとほかの世代、そして、男性も巻き込んでいきたいと思っています。今、一番ワクワクしているのは、子どもですね。まずはお母さんに好きなことを仕事にしてもらって、子どもたちにも、好きなことを仕事にしてみようかなとか、地元で仕事をするって楽しいかもしれないなということを考えてもらえるようになればいいなと思っています。都会に通勤して会社に雇われて働く以外の選択肢を子どもたちに提示できるんじゃないかと思っています。 

キャスターからひと言

矢口さんは、「好きを仕事にする」というテーマで、杉戸町の小学校で出張授業も行っているということです。矢口さんたちの取り組みは本当に素敵で、私も杉戸町に住んでみたいなと思いました。

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