埼玉県本庄市にキャンパスがある早稲田大学では、地元の放置竹林問題に取り組んでいるサークルがあります。サークルを立ち上げた大井 晃亮さんに岸田 祥子キャスターが伺いました。
早速なんですけれども、まずはサークルの名前を教えてください。
サークルの名前はBAM部と言います。竹の英語名であるバンブーをもじって付けました。
どんなサークルなんですか。
地域で放置されたままになっている竹林の伐採を行ったり、伐採した竹を生かして、農業や商品開発を行ったりしています。
どれぐらいの部員がいるんでしょうか。
早稲田大学を中心に都内の他の大学の学生も含めて、40人ほどで活動しています。
サークルは2020年7月に大井さんが立ち上げたということですが、どうして放置竹林問題に注目したんですか。
もちろん、全国の地方で問題になっているということもあるんですが、特に大学のキャンパスがある本庄市の児玉町で放置竹林の問題が深刻だったことがあります。児玉町はかつて養蚕業が盛んで、蚕の餌となる桑畑がたくさんあったんですが、今では衰退してしまって、桑畑が竹林になったまま放置されているんです。
実際に伐採活動に取り組んでみて、いかがでしたか。
伐採は大変だと思われる方も多いんですけれど、竹は内部が空洞なので、比較的、簡単に切ることができます。
でもなかなか手を付けられないのが現状ですよね。
どの地域も高齢化だったり、住む人が少なくなったりしているので、こういった地域ではなかなか手が付けられずにいるんだと思います。
伐採した竹を活用した農業も行っているということですが、どういうことなんでしょうか。
私たちは持続可能なサイクルで社会課題を解決したいと思っているので、竹のさまざまな活用方法を提案して、しっかりとお金を生み出して、次の活動につなげていこうと考えています。伐採した竹を炭にして細かく粉砕することで、土壌改良剤として畑にまいて、環境にこだわった野菜を生産し、販売する取り組みを進めています。
野菜を育てるうえで、竹の炭にはどんな効果があるんですか。
竹の炭には、多孔質と呼ばれる無数の穴が開いています。その小さな穴に微生物が棲むことで、畑の有機物の分解が促され、土壌改良の効果があると言われています。
どんな野菜を生産しているんですか。
児玉町の名産品にもなっているナスを生産しました。また、トマトやピーマン、それに、スイカもつくりました。地元のJAに協力していただいて、直売所で地域の住民の方々と交流を行いながら、販売させてもらいました。
商品開発も行ったということですが、どんなものをつくったんですか。
自分たちで育てたかぼちゃを使ったプリンですとか、竹の炭をパウダー状にして練り込んだパウンドケーキをつくりました。
地域のイベントにも参加しているんですよね。
ありがたいことに、いろいろな方からお声がけをいただいて、地域のイベントにも出店させてもらっています。
竹を使った子ども向けの工作教室も開いたということなんですが、どんな反応でしたか。
どの子どもも興味津々で取り組んでくれました。竹は地域では邪魔者扱いされているんですが、子どもたちは竹という素材自体に魅力を感じてくれていたので、そのギャップを感じましたね。本当にやってよかったなと思っています。
今後の抱負を聞かせてください。
今まで本庄市を中心に活動を行ってきたんですけれども、今後は都内でも、本庄市の竹や農作物をアピールしたり、活用したりする活動を行っていきたいと思っています。
大井さんは、放置竹林問題であれば学生が主体的に取り組めると考えてBAM部を立ち上げたということですが、今では規格外野菜や空き家の活用など、さまざまな分野に活動の幅を広げているということです。社会課題を持続可能なサイクルで解決するというSDGsの理念に沿った取り組みが、学生から広がっていることを実感できて、非常に頼もしいと感じました。