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空家スイーツで町おこし 埼玉県鳩山町

  • 2021年11月09日

都心から電車で1時間ほどの埼玉県鳩山町。かつて都心のベットタウンとして開発された鳩山ニュータウンは住民の減少と高齢化が進み、“空き家”が問題になっています。
4年前に移住したアーティストの菅沼朋香さんは、空き家などの庭に実ったフルーツを使ったクッキーを「空家スイーツ」として販売。県外からも注文が届くほどの人気商品となっています。泉 浩司アナウンサーが伺いました。

空家スイーツということですけれども、これ、どういった取り組みなんですか。

実は町にある鳩山ニュータウンというところが、埼玉県内で高齢化率がナンバーワンなんですね。それで、空き家も多くて、果物の木が庭に植わっている空き家もたくさんあるんですけれど、そういった果物、収穫されないままになってしまう果物を提供していただいて、それを、ロシアケーキなんですけれども、クッキーにして、鳩山町の土産物をつくっていくプロジェクトなんです。 

どんな果物があるんですか。

全部で8種類ありまして、例えば6月ごろだと梅やビワ、今の時期からだと柿やゆずだったり、キンカンやハッサクだったり、ちょっと珍しいところだとキウイが実っている家もあるんです。 

そのスイーツ、どこで販売しているんでしょうか。

鳩山ニュータウンに町おこしの拠点で「鳩山町コミュニティ・マルシェ」という公共施設がありまして、そちらのシェアキッチンでつくって、施設の店頭で委託販売していただいています。

生活芸術家でアーティストの菅沼朋香さん

地域の皆さんの反応はいかがでしょうか。

まずはネーミングに驚かれる方が多いですね。新聞に取り上げていただくことも多くて、それを見て地域の方が買いに来てくださったりしてくれています。

この取り組み、やってみようと思ったきっかけは、なにかあったんですか。 

2017年に私がコミュニティ・マルシェの立ち上げにスタッフとして入ったんですけれど、そのときに友達の山本蓮理さんという焼き菓子作家も一緒にスタッフとして働いてくれていて、自分でつくったお菓子をマルシェに出品したいってなったんです。

でも、町おこしの施設なので、この比企地域の材料を使わなきゃいけないというルールがありまして、それで、農産物直売所に行って、鳩山町の産物ってどんなものがあるのか、日々、探していました。

ちょうど今頃の時期だったんですけれども、鳩山ニュータウンの空き家に実っていた柿が収穫されないまま道端に落ちているのを発見しまして、「これは鳩山産の果物なんじゃないか」と閃きました。それがきっかけとなって始まったという感じです。

空き家の庭に実っていたフルーツでスイーツをつくって地域の皆さんに喜んでもらう。これ、今でいうSDGsな取り組みだと思うんですが。 

果物を提供していただいている大家さんだったり、フルーツの提供者を見つけてくださる営業みたいなことをしてくださる近隣の方がいらっしゃったりするんですけれども、いろんな方が協力してくださるのも、やっぱり「もったいないな」「活用したいな」というところが、皆さんの共感を得るきっかけにはなっているのかなと思っています。

鳩山町の魅力って、どう捉えていますか。

結構、楽しい活動をしている方がたくさんいらっしゃるし、周辺地域の方からも「鳩山町、今、盛り上がっているよね」と言われることが増えてきたんですよ。新しい店もできたりしているので。もともとは空き家が多い、高齢化率ナンバーワンというようなニュースが多かったんですけれども、そういったところがすごく魅力的だなと思っています。 

SNSで募集した仲間たちと栗拾い

キャスターからひと言

菅沼朋香さんは、昭和レトロと高度成長期をテーマに活動する現代芸術家で、みずからも空き家を改装した喫茶店をオープンさせるなど、鳩山町に刺激を与え、住民を巻き込んだイベントも開催しています。
空家スイーツの製造・販売には、近隣のシェアハウスに住む学生も参加し、菅沼さんが所属する会社では、月に32時間働くと家賃が無料になる仕組みもつくりました。空家スイーツを通じて、空き家だけでなく、学生の生活も救う取り組み、近々、改めて紹介したいと思います。

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